•  航空自衛隊は2024年に創隊70周年を迎えた。そして日本の空を守る航空自衛隊は、合計400機以上の航空機を保有している。

     それぞれのパイロットをはじめ、搭乗する隊員たちに、「愛機」への熱い思いとともに紹介してもらった。

    KC-767:空中給油機としても活躍。多目的に使える輸送機

    画像: KC-767:空中給油機としても活躍。多目的に使える輸送機

    <SPEC>全幅:約47.6m 全長:約48.5m 全高:約15.8m 最大速度:約1028km/h

    【青野純也2等空佐】
    第1輸送航空隊飛行群第404飛行隊・飛行隊長。KC-767の機長を務める

    「KC−767は、ボーイング767−200旅客機を改造した航空機です。F−15やC−130Hなどへの空中給油や、航空輸送の任務に就いています。

     国内のほか、国際緊急援助活動や在外邦人等保護措置といった国外任務でも活躍する航空機です。ほかの機種と比べて操縦席が高い位置にあるので、最初は着陸時の感覚に慣れるまで苦労しましたが、操縦になれると、さすがはベストセラー機。装備や操縦の面でもすばらしい相棒です」

    C-130H:世界中で活躍する輸送機。プロペラ機特有の性質も

    画像: C-130H:世界中で活躍する輸送機。プロペラ機特有の性質も

    <SPEC>全幅:約40.4m 全長:約29.8m 全高:約11.7m 航続距離:約4000km(5t搭載時) 最大速度:約588km/h

    【髙坂慎也2等空佐】
    第1輸送航空隊飛行群第401飛行隊・飛行隊長。パイロットとして搭乗する

    「C−130Hは、アメリカ軍はじめ世界中で活用されている輸送機です。プロペラ機特有の性質を理解しなければ真っすぐ飛ばせない難しさもありますが、一方で『自分が操っている』という感覚が強く、操縦がとても面白いです。

     さまざまな任務をともにしてきた、心強いパートナーだと感じています。輸送機といっても、能力や操作性は民間機とは全くの別モノ。山岳地帯を低高度で飛んだり、空中から物資を投下したりと、さまざまな場で活躍します」

    U-125、U-125A:ビジネスジェットを基にした優秀な小型航空機

    U-125

    画像: 着陸する航空機の位置や進入角度、速度などを測る保安無線施設の点検を行うため、専用器材が搭載されている

    着陸する航空機の位置や進入角度、速度などを測る保安無線施設の点検を行うため、専用器材が搭載されている

    U-125A

    画像: 捜索レーダー、赤外線暗視装置、救援物資の投下機構など、要救助者を捜索・救助するための改良が施されている

    捜索レーダー、赤外線暗視装置、救援物資の投下機構など、要救助者を捜索・救助するための改良が施されている

    <SPEC>全幅:15.66m 全長:15.6m 全高:5.36m 最大速度:約860km/h(U-125)、約820km/h(U-125A)

    【亀澤 純2等空佐】
    航空救難団飛行群那覇救難隊・救難隊長。那覇救難隊長として部隊の指揮を執る

    「U−125Aは救難捜索を主任務とした航空機です。捜索レーダーや赤外線暗視装置などを装備し、遭難者を救援します。同型機に飛行点検機もあり、滑走路にある離着陸に必要な誘導装置など、全国の自衛隊基地の航空保安無線施設を点検します。

     同じU−125Aでも、それぞれ微妙にクセがあり、搭乗員との相性もあるように思います。私も、搭乗するときには愛情を持って扱うように心がけています。これからも人命救助のために、頼むぜ、相棒!」

    UH-60J:救難ヘリコプターとして遭難者の命を救う航空機

    画像: UH-60J:救難ヘリコプターとして遭難者の命を救う航空機

    <SPEC>全幅: 16.36m 全長:19.76m(寸法はローター回転時) 全高:5.13m 航続距離:約1300km

    【斉藤智大2等空佐】
    航空救難団飛行群小松救難隊・救難隊長。小松救難隊長として、救難隊の指揮を執る

    「UH−60Jは、世界のベストセラー機の1つで、とても優れたヘリコプターです。救難機として捜索に使う各種装置を搭載し、遭難者の救助が任務。航続距離も長く、遠くまで救助に行くことが可能です。

     機体はアメリカ人規格で作られているためか、いすや足元もゆったり。シートもふかふかで、大柄な私が長時間搭乗しても快適。自動操縦装置や制御装置も優れており、下手に動かすよりも、何もしないほうが安定することがあるほどです」

    C-1:50年経過もまだ現役。国産初のジェット輸送機

    画像: C-1:50年経過もまだ現役。国産初のジェット輸送機

    <SPEC>全幅:30.6m 全長:29m 全高:9.99m 航続距離:約1700km(3t搭載時) 最大速度:約930km/h

    【海老原和宏3等空佐】
    第2輸送航空隊第402飛行隊・第1飛行班長。U-4多用途支援機の操縦も行う

    「C−1は、初の国産ジェット輸送機です。初飛行からすでに50年以上が経過していますが、まだまだ現役。飛行計器のほとんどがアナログで、表示がおかしいときには、計器をたたけば機嫌が直る、ということも。

     自動操縦装置もそこまで能力は高くありません。最新の機体であればコンピュータがほとんどやってくれるようなことも、パイロットが自ら準備し手動で操作しなくてはなりません。しかし、それだけに操縦技術の基礎を磨かせてくれる機体です」

    C-2:新たな国産輸送機として世界を股にかけて活躍

    画像: C-2:新たな国産輸送機として世界を股にかけて活躍

    <SPEC>全幅:44.4m 全長:43.9m 全高:14.2m 航続距離:約6500km(12t搭載時) 最大速度:約1000km/h

    【鈴木基文2等空佐】
    第3輸送航空隊飛行群第403飛行隊・飛行隊長。飛行隊長として部隊を率いる

    「C−2はC−1を継ぐ次世代の国産輸送機です。先代と比較すると操作性は本当にスマートで、ストレスを感じません。パワーもあり、訓練で荷物を積んでいないときなどには、C−2が大型の輸送機であることを忘れさせるほどものすごい上昇率で上昇していきます。

     国外への輸送任務のような長距離飛行や、航空祭でお見せするようなダイナミックな機動飛行、さらには物資投下や空てい隊員の降下など、いろいろなことができる魅力たっぷりの航空機です」

    T-4:空自パイロット育成のための国産中等練習機

    画像: T-4:空自パイロット育成のための国産中等練習機

    <SPEC>全幅:9.9m 全長:13m 全高:4.6m 最大速度:約1040km/h

    【川島良介3等空佐】
    第4航空団飛行群第11飛行隊所属。ブルーインパルスのパイロットを務める

    「パイロットの教育訓練で使用されるT−4は、塗装などを変更してブルーインパルスとしても活躍しています。性能は変わりませんが、非常に慣れ親しんだ機体で、とても愛着があります。

     操縦性は非常によく、戦闘機などと比べると操作の入力に対する反応は穏やかです。イルカのようなかわいらしい見た目から『ドルフィン』という愛称をもちますが、見ごたえのあるアクロバット飛行に使えるほど機動性に優れているのもセールスポイントですね」

    U-680A:安全な運航のために各基地を飛行する航空機

    画像: U-680A:安全な運航のために各基地を飛行する航空機

    <SPEC>全幅:約22m 全長:約19m 全高:約6.4m 最大速度:約830km/h

    【漆畑正之2等空佐】
    飛行点検隊飛行隊・飛行隊長。C-1パイロットを経て、現在は飛行点検任務に従事

    「U−680Aはビジネスジェットがベースの航空機で、非常に扱いやすいです。コックピット周りは非常にシンプル。正面に大きなディスプレーのみがあり、アナログ計器は1つもありません。

     画面もさまざまな情報が見やすく、自動化も進んでおりパイロットの負荷も軽減されています。飛行点検という、派手さはないものの安全に航空機を運航させるために必要不可欠な任務を淡々と実施しています。これからも堅実に飛び続けてほしいですね」

    (MAMOR2024年7月号)

    <文/臼井総理 写真提供/防衛省>

    ありがとう、航空自衛隊!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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