•  太平洋戦争を戦い抜き、多くの命を救った旧日本海軍の駆逐艦『雪風』。実話を基に製作された映画『雪風 YUKIKAZE』が、戦後80年となる2025年8月に公開された。艦で働く乗務員の様子がリアルに描かれている。

     では現在、海上自衛隊の艦艇では、どのように仕事がされているのか。7つの科について紹介していく。

    艦内では業務別に7つの「科」がある

    画像: 艦内では業務別に7つの「科」がある

     海自の艦艇には、任務内容に応じて「砲雷科」、「船務科」、「航海科」、「機関科」、「補給科」、「衛生科」、「飛行科」の7つの「科」があり、乗組員は基本的にいずれかの「科」に所属している。

    砲雷科

     旧軍の「砲術科」、「水雷科」に相当し、主砲やミサイル、魚雷など、主に艦に装備されている「武器」を取り扱う。

     潜水艦などを探知する「ソナー」の運用も担当しているほか、出入港時に係留索をくいにかけるなどの甲板作業、荷物の積み降ろしや船体の整備なども砲雷科員の大事な役割だ。 

    船務科

     旧軍の「通信科」や「航海科」などが類似の役目を担っており、艦の「情報」を取り扱う。無線通信や暗号、レーダーや航空管制、航空機搭載のものを除く電子機器の整備も船務科の仕事。

     航海科は、旧軍の「航海科」に相当し、目的地に正しく安全に到達できるよう計画し、船のかじを取る。また、ほかの船などへの合図である各種信号や気象観測なども担当する。

    機関科

     旧軍の「機関科」に相当し、艦のエンジンの運用、整備を担う。エンジン(主機)のほか発電機やポンプ類などの「補機」を扱い、艦内で使う電気や水なども機関科の担当。

     また、敵の攻撃や事故などの際に艦が戦闘力を失わないようにする「ダメージコントロール」や応急修理も機関科が中心となって実施する。

    補給科

     旧軍の「主計科」に相当し、乗組員の給料計算や経費精算、交換部品などの各種補給物品の取り扱いや給食などを行う。

    衛生科

     旧軍の「医務科」に相当し、乗組員の健康管理や病気、けがの治療、衛生にまつわる器材の取り扱いを担当する。

     長期航海などの際は医官が乗り込むこともあるが、通常の場合は少人数で構成され、補給科のトップである「補給長」が衛生科も統括することが多い。

    飛行科

     旧軍の「飛行科」に相当し、航空機の運用や整備を担当する。ただし、航空機の格納庫を持たない艦艇には、そもそも飛行科員が乗艦していないこともある。

    (MAMOR2025年9月号)

    <文/臼井総理 写真/村上淳 写真提供/防衛省>

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
      

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