ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年。実はこの年、マモル編集部では、いわゆるZ世代と呼ばれる若者たちを対象に、国防に関するアンケート調査を実施していた。
「もし日本が侵略されたら戦いますか?」。この問いかけに7割を超える若者が、「戦わない」と回答している。
彼らが戦わない選択をするのはなぜか。Z世代の国防意識について、今あらためて紹介していく。
「侵略されたら戦いますか?」Z世代の回答は…

陸上自衛隊公式サイトより(https://www.mod.go.jp/gsdf/event/fire_power/index.html)
Q:もし日本が侵略されたら戦いますか?
戦う:28.2% / 戦わない:71.8%
Q:「戦わない」を選んだ方にお聞きします。日本が侵略された場合、どのような態度を取りますか?
国内で避難を試みる:38% / 日本国外に避難する:22% / 侵略者を支持する:2% / 何もしない:38%
7割以上が「戦わない」。うち6割が避難を選択
マモルのアンケートの最初の設問は「もし日本が侵略されたら戦いますか?」というもの。71.8パーセントが「戦わない」と回答。
80年にわたって平和が続く日本。世界の大国の中でも珍しい存在だが、それだけに若者は「侵略者に抵抗する、戦う」ことをイメージできないのかもしれない。
実際、同様の世論調査を他国で行った例(注1)では、「戦わない」と回答したのは、ベトナムは3.6パーセント、中国は10.2パーセント、ロシアは22パーセント、アメリカは38.6パーセントとなっている。
徴兵制もなく、義務教育で国防に関する授業も行われていない日本において、若者たちの自然な考え方が表れているともいえる。
なお、この数値は男女合計の数値であり(注2)、男性に限っていえば約4割が「戦う」を選択している。
さらに「戦わない」を選んだ方に対して「日本が侵略された場合に、どのような態度を取るか?」という追加質問を試みている。その結果は、国内・国外への避難を試みるという回答が合計で6割。「何もしない」が約4割。ごくわずかではあるが「侵略者を支持する」という回答もあった。
(注1)世界数10カ国の大学・研究機関の研究グループが参加する国際プロジェクト「World Values Survey」が各国ごとに全国の18歳以上の男女1000~2000人を対象に2017~20年に行った「もし戦争が起こったら国のために戦うか?」という意識調査の結果
(注2)2022年8月12~19日、全国15~39歳の男女400人を対象にクロス・マーケティング社QiQUMOを利用しオンライン調査を実施(有効回答率100%)。本アンケートでは「分からない」、「未回答」の選択肢を設けていない
街頭で10〜30代の若者に聞いてみた

マモル・リポートでは、アンケート結果の数字だけでは分からない若者の考えを知るべく、2022年9月下旬、都内で道行く一般の若者にインタビューしている。
Q:なぜ、戦わないのですか?
「逃げます。アメリカなら安全かも」(男性・30代)
「何もしない。自分が戦わなくても自衛隊やアメリカ軍が何とかしてくれる」(男性・20代)
「逃げます。安全な場所を探して逃げ続ける」(女性・20代)
「服従する。嵐が過ぎ去るのを待ちます」(男性・20代)
島国の日本が侵略されて本当に逃げられる?
休日の午後、東京都心で20人の若者に「日本が侵略されたら戦いますか?」と聞いた結果、「戦う」と回答したのは6人。
「戦わない」と答えた14人に理由を聞くと、「怖い。戦いたくない。戦争反対」(男性・20代)、「自衛隊やアメリカ軍が守ってくれる」(男性・20代)などの声が。
さらに「逃げる」と答えた人に、侵略されている状況で、四方を海に囲まれた日本から出るのは難しいのでは? と聞くと困ったような反応を見せ、「戦わず逃げもせず侵略者に服従する」と答えた人に、「一般市民に対する拷問や殺人など、ウクライナで起きているといわれる戦争犯罪を知っていますか?」と聞くと「ニュースは見ないので知らない」という答えもあった。
(MAMOR2025年6月号)
<文/臼井総理>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです