今年のパリオリンピックに焦点を当て、毎日練習に励む自衛隊体育学校所属のアスリートを毎回1人紹介します。日本の活躍を祈り、みんなで応援しましょう!
【競泳(平泳ぎ) 渡辺隼斗 2等陸曹(広島県出身)】
1993年生まれ、広島県出身。趣味はゲーム。2023年8月に第1子が誕生してからは育児優先の生活を送り、オフの日は家族と過ごすことが多い。好きな食べ物は焼き肉、すし、チョコレート。嫌いな食べ物はトマト。体を動かすことが好きで、水泳をしていなくても「おそらく何かしらのスポーツをしていた」とのこと
種目解説「競泳」
1896年第1回アテネ大会より オリンピック種目として採用。50~1500mの距離を、決められた泳法で泳ぎタイムを競う。
泳法は背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎ、自由形の4種類。個人種目とリレー種目があり、メドレーリレーは1チーム4人の構成で、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、自由形の順番で泳ぐのに対し、1人で4泳法を泳ぐ個人メドレーはバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順で泳ぐ。
2021年東京大会より、男女各2人が1チームとなり競う、男女混合リレーが新種目として採用された。
代表入りへ手応え。理想の泳ぎを追求し、パリで最高の結果を
興味あることは継続して取り組めるのが長所。友人の母に勧められて、5歳から水泳を始め、25年がたった。
「これまでつらいこともあったけど、辞めたいと思うことはあまりなかったです。水泳が好きなので、今でも集中して取り組めています」
パリオリンピックへの出場が期待される渡辺2曹だが、幼いころは全国レベルではなかったという。才能が開花したのは大学時代。水泳の強豪校である日本体育大学へ入学し、環境がガラリと変わったことで力を伸ばし始めた。
「練習の量も質も大きく変わって、競技力は上がったと思います。オリンピック選手を何人も輩出しているコーチに指導してもらえたのも、大きかったですね」
実力者が集う学校だけに部内のレギュラー争いも熾烈だ。激しい競争は渡辺2曹を一回りも二回りも成長させた。
「大学1年生のときに試合で自己ベストを出してもレギュラー争いに勝てず、インカレ出場を逃して非常に悔しい思いをしました。“このままレギュラーに入れず大学を卒業するのは絶対に嫌だ”と思い、練習に取り組む姿勢や考え方も変わりました」
心身ともに成長した彼は、2年時にインカレ出場を果たし3位入賞。「このころから少しずつ全国で戦える実力になってきた」と語る。
自衛隊体育学校を選んで後悔なし
大学卒業後は、1番アスリートらしい生活ができるという理由で、自衛隊体育学校へ入校。
「大学のときの生活リズムを崩すことなく競技に集中できて、食事面やトレーナーのサポートも受けられる。体のコンディションを整える環境も抜群。自衛隊体育学校を選んで、後悔はありません」
さらなるレベルアップに向け、現在追い求めているのは、“いい意味で脱力した泳ぎ”だ。
「泳ぎが『少し硬い』のが自分の課題です。今は力が入り過ぎて、レース後半にバテてしまう傾向があります。だから、力を抜くべきところは抜いて、力を入れるべきところも力みすぎずに、必要最低限の力で泳ぐ。自分の泳ぎをコントロールできるように取り組んでいるところです」
その先に見据えるのはパリの舞台だ。
「まずは2024年3月のオリンピック選考会で結果を出せるように、残りの期間、集中して練習に取り組みたいです。日本代表に選ばれたら、決勝・メダル獲得と行けるところまでいきたいです」
そう力強く決意を口にする渡辺2曹。入校以降、右肩上がりに成長できていると話す彼は、日々着実に進化を遂げ、五輪の舞台で最高の結果を目指す。
(MAMOR2024年3月号)
<文/ナノ・クリエイト 撮影/中川菜美(扶桑社)>