
出典:国民保護ポータルサイト(https://www.kokuminhogo.go.jp/kunren/hinan/30-02H300610m-gunma.html)
弾道ミサイル攻撃などを想定した、日本に対する武力攻撃に対して、国民の安全を守るための法律が制定されている。その法律に基づいて、国や地方自治体が国民の避難に関する訓練や避難施設の指定など、さまざまな有事対策を講じている。それを知っておくことも、いざというときに自分や家族の身を救うのに役立つだろう。
国や地方自治体などには国民の生命を守る義務がある
他国から武力攻撃などが行われた際、国民の生命や財産などを保護し、国民生活などに及ぼす影響が最小になるようにするための措置を規定した法律「国民保護法」があるのをご存じだろうか。
「住民の避難に関する措置」、「避難住民等の救援に関する措置」、「武力攻撃災害への対処に関する措置」の3本柱で成り立っており、国や地方自治体などの責務と役割分担が決められている。
また、政府が定める国民の保護に関する基本指針に基づき、地方公共団体や指定行政機関は「国民保護計画」を作成している。上記の3つの措置を行うための実施体制などを定めたもので、住民の避難や救援などに関する事項、平素において備えておくべき物資や訓練などに関する事項も決められている。
住民の避難を想定した国民参加訓練が行われている

2017年7月に富山県高岡市で行われた「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」で、警察官の誘導のもと、地下街へと避難する住民
国民保護法に基づき、国と地方公共団体が共同して行う国民参加の「国民保護共同訓練」が行われている。2021年度は述べ20府県で実動・図上訓練(注)が2回、図上訓練が16回実施された。実動訓練では、都道府県や市町村の区域を越える広域的な避難などの国民保護に関する訓練が行われた。
そのほか、「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」も、17年3月に秋田県男鹿市で初実施されてから21年度末までに、45都道府県182市区町村で、489回実施されている。
注:地図などを使って状況判断などのシミュレーションを行う訓練
弾道ミサイル攻撃などを知らせるのがJアラート
「Jアラート」は、弾道ミサイル攻撃に関する情報や緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を、人工衛星と地上回線を通じて全国の都道府県、市町村などに送信し、市町村防災行政無線などを自動起動することで、人手を介さず警報音によって瞬時に住民に伝達するシステムだ。
国民保護に関する情報は内閣官房から、防災気象情報は気象庁から発せられる。現在は、国から携帯電話会社に配信したJアラート情報を個々の携帯電話利用者にEメールで伝達するルートも整備されている。
これが警報音だ!
いざというときに冷静に判断できるように前もって国民保護ポータルサイトの視聴ページで警報音を聞いておこう! これが鳴ったら弾道ミサイルなどか飛んでくる知らせだ。
※混乱を生じる恐れがあるため、周りに人がいるときは急にサイレンを鳴らさないでください
避難施設は「国民保護ポータルサイト」から確認を

内閣官房が開設している「国民保護ポータルサイト」には、弾道ミサイル落下時の行動なども示されているので、見ておこう
国民保護法において、都道府県知事は住民を避難させ、または避難住民などの救援を行うため、政令で定める基準を満たす施設を避難施設として指定しなければならない。
「国民保護ポータルサイト」の「避難施設」の項目を見ると、21年4月1日現在、全国に9万4125カ所の避難施設が指定されているが、そのうち弾道ミサイルの爆風などから直接の被害を軽減する効果がより高い一時的な避難に活用できるコンクリート造りなどの施設は5万1994カ所、さらにそのうち地下施設は1278カ所ある。
一時的な避難先としての地下施設例
46都道府県にある187カ所の地下施設を以下にまとめた。紹介できなかったほかの施設も多いので、気になる方は国民保護ポータルサイト「避難施設」一覧表(https://www.kokuminhogo.go.jp/hinan/index.html)より確認されたい。

(出典/国民保護ポータルサイト)
(MAMOR2022年9月号)
<文/古里学>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです