わが国の危機に際して自衛隊が防衛活動するときに、国民の理解と協力、在日アメリカ軍との連帯が不可欠です。また、日ごろから、有事に備えて防衛施設の充実を図ることも大切です。そのために、日本各地で、表舞台に立つことなく黙々と汗をかくのが「地方防衛局員」たち。そんな地方防衛局員が、どんな思いを込め、どのように仕事しているかを知るために、全国の防衛局であった事実を基に、分かりやすい物語にしたマンガでお届けしよう。
「日米相互理解の事業企画」の巻
中国四国防衛局 企画部地方調整課の場合
子どもの交流が地域全体の交流に
地域住民と在日アメリカ軍の交流事業として、岩国航空基地(山口県)に駐留している在日アメリカ軍海兵隊の活動を理解してもらうため、中国四国防衛局はコンサートやスポーツ大会など親睦を深める交流事業の企画・運営をしている。
近年は基地近隣の周防大島町と岩国基地に居住している在日アメリカ軍海兵隊の子どもたちのサッカー大会を開催。子どもたちは日本語と英語で話しながらお互いの文化を学び、交流する。保護者やアメリカ軍の基地関係者との交流も深まり、サッカー大会は毎年10月の恒例行事となっている(注)。
(注)2020、21年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催を中止
【中国四国防衛局 企画部地方調整課】
日米交流事業について自治体と調整するほか、地元自治体の長へ『防衛白書』の説明などを行っている部署
「防衛施設の財産管理」の巻
中国四国防衛局 企画部施設管理課の場合
境界を巡る課題を丁寧な対応で解決
基地・駐屯地など防衛施設の安全な運用のため、防衛施設周辺の土地の取得や借り上げをしている地方防衛局。中国四国防衛局の管轄区域では、自衛隊施設と民間敷地の境界があいまいで、土地の所有者と境界を定める話し合いが持たれたことがあった。
このような場合、防衛局員はわが国の平和と安全のために自衛隊の活動への理解を土地の所有者へ説明。時には何度も相手の家に赴き、話し合いを重ねて所有者の希望を聞き、それ対して地方防衛局ができる可能な限りの対応を考えて提案し、地域住民の方に協力を依頼することもある。
【中国四国防衛局 企画部施設管理課】
自衛隊施設やその周辺の行政財産および民間と共有する施設の管理などを行う部署
「防衛施設周辺の整備」の巻
九州防衛局 周辺環境整備課の場合
万が一の災害時に役立つ施設を補助
地方防衛局では、自衛隊や在日アメリカ軍の活動や飛行場などの防衛施設の設置・運用により、 その周辺地域に生じる障害の防止、軽減、緩和などの措置を講じている。九州防衛局では、航空自衛隊新田原基地がある宮崎県児湯郡新富町を通る道路の改修に補助金を交付した。
道路の拡幅工事を行えば、住民が災害時に速やかに避難でき緊急車両も移動しやすい。万が一の航空機事故にも対応できる。このような地域のニーズに応える補助事業を実施し、地元自治体へ自衛隊の活動の理解を促進し良好な関係の維持を目指す。
【九州防衛局 周辺環境整備課】
自衛隊や在日アメリカ軍の活動などのトラブルを未然に防ぐため、防衛施設周辺の環境整備などを行う部署
「在日アメリカ軍施設の返還」の巻
沖縄防衛局 武藤技官の場合
負担軽減のため精力的に動く
沖縄県に所在する在日アメリカ軍施設の用地は、土地所有者と国が賃貸借契約を締結して使用することを基本としている。施設が返還される際は、建物などの取り壊しや不発弾探査など跡地利用に支障となるものの除去(いわゆる支障除去措置)を実施。不発弾発見時は自衛隊による処理に関わる調整などを自治体と協力して行う。また引き渡し後すぐに土地を使用できない場合には、給付金を支給している。
沖縄防衛局にはこれら業務を円滑に実施するため、全国の地方防衛局で唯一「返還対策課」を設置している。
【武藤拓矢 沖縄防衛局 管理部返還対策課 返還措置第4係】
2015年入局。山梨県出身。休日は模型制作や映画鑑賞などを楽しむ
(MAMOR2022年4月号)
<文/古里学 撮影/村上由美 マンガ/やまがき秀>