機動力を生かし空から舞い降り、侵略から国を守る

CH-47JAからの落下傘降下訓練。第1空挺団では年間延べ1万回以上の降下訓練が行われる
(写真/長尾浩之)
「精鋭無比・挺身赴難(ていしんふなん)」(注)を標語に掲げ、過酷な日々の訓練で心身ともに限界まで鍛え上げている第1空挺団は、3つの普通科大隊と特科大隊、施設中隊、通信中隊など約2000人で構成されている。
(注)「並ぶものがないほど精強な部隊が、自ら進んで困難な任務に飛び込んでいく」という意味
空挺隊員にとって心身鍛錬は必須だ。隊員たちは上半身裸になって掛け声を出しながら駐屯地を走る
(写真/長尾浩之)
「近年は島しょ防衛の重要性が指摘されています。1万4000以上の島がある日本の地理的特性から、艦艇の上陸が難しい地形などでも、落下傘で上空から降下ができる空挺団の重要性はより一層高まっています」と語る空挺団長の石原将補。
2026年1月9日に実施された「国際空挺指揮官会議」。世界各地から空てい部隊が集まりさまざまな意見が交換された。参加国は増加傾向で、空てい隊員の“傘の絆”が強固に結ばれている
続けて近年、関係性が深まっている国際間の協力についてもこう話してくれた。
「厳しい安全保障環境を乗り切るには、同じ価値観を共有する国々の空てい部隊の連携が大切です。国は違えど落下傘降下の手法などは変わりません。私たちはこれを“傘の絆”(かさのきずな)と呼び、空ていコミュニティーを強化し続けています」
訓練の練度を確かめ多くの人に空挺団を知ってもらう
海などへの降下を想定した水上降下訓練。落下傘が覆いかぶさって溺れるリスクもあるため、着水寸前に落下傘を切り離して飛び降りる(写真提供/防衛)
2026年の降下訓練始めは、準備期間が約1カ月とタイトであった(1月11日に実施)。地上訓練展示の責任者・大久保2等陸佐と運営担当の安井3等陸佐は、安全第一を掲げた上で、「一般の方に第1空挺団を周知する広報の意味もあります。戦術と見栄えのバランスを重視し、飽きさせない進行を心掛けました」(大久保2佐)、「航空部隊や地上部隊、仮想敵それぞれの進入や射撃のタイミングに気を使いました」(安井3佐)と広報視点で工夫点を話してくれた。
積雪地帯に降下する訓練。冬季積雪地用の白い装備を着用する。厚い積雪に埋もれてしまわないよう、慎重に着地する(写真提供/防衛省)
また自衛隊で検証中の犬型無人機を操縦した白岩2等陸曹は、「搭載されたカメラの操作は地形の把握が難しいなど課題が見えました。運用次第で部隊の戦力になると実感しました」。落下傘降下の隊員を支援し小銃手として参加した牧島陸士長も、「地上に降りてからが本当の作戦。その連携を確認できた」と同訓練で得た知見を語った。
降下訓練始めへの思いを隊員に聞いた!
降下訓練始め予行でも、落下傘降下を披露した石原将補
「どんな階級であろうと、飛び降りたら自分1人で全てをこなすのが空挺団です」と語る。
「地形に合わせた訓練を行う」と話す大久保2佐
「近年は琉球石灰岩という固い土壌での迅速な陣地構築など、南西諸島の地形に合わせた訓練も行っています」と話す。
初めて地上訓練展示の責任者になった安井3佐
「18歳で空挺隊員になり、さまざまな立場で降下訓練始めに参加しています」と話す。
犬型無人機の操縦について話す白岩2曹
「訓練期間は約1カ月でした。地形を考慮しながらの操作が意外と難しかったです」と話す。
空挺隊員を目指し入隊した牧島士長
「高所からの飛び降りに慣れるための訓練が1番怖かった。もっと経験を積みたい」と話す。
降下を支える第1空挺団の“落下傘”
第1空挺団では、2種類の落下傘を作戦に応じて使い分けている。通常の降下で使用する円形の落下傘と、高高度から降下する自由降下の際に使用する長方形の落下傘、それぞれの特徴を紹介しよう。
13式空挺傘
<SPEC> 直径:約11メートル 重量:約18キログラム(主傘) 約7キログラム(予備傘)
2014年から使用されている国産落下傘。空中で落下傘同士が接触しても傘がつぶれず安定性に優れている。「自動索」と呼ぶひもを航空機のワイヤーに引っかけて飛ぶと、自動的に落下傘が開く仕組み。
自由降下傘RA-1
<SPEC> 横幅:約10メートル 縦幅:約4メートル 重量:約22キログラム(主傘と予備傘合計)
スカイダイビングなどで使われるものとほぼ同じ形の自由降下用の落下傘。長方形で操縦性に優れているのが特徴。高高度から降下するため、隊員は酸素マスクや酸素ボンベを身に着ける。
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(MAMOR2026年5月号)
<文/古里学 写真/荒井健(特記を除く) 写真提供/防衛省>
ー降下訓練始め予行ー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
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