•  陸上自衛隊では、日ごろの訓練の熟練度を測るため、敵、味方に分かれての模擬戦を行い、戦地における行動、判断、 作戦能力などを審判が判定する「訓練検閲」という“実地試験”がある。

     2025年9月には、東富士演習場で、第14普通科連隊(14普連)と 第35普通科連隊(35普連)が、攻撃側と防御側に分かれて7日間戦う「第10師団訓練検閲」が行われた。

     訓練検閲の終盤で攻撃戦闘が散発した5~6日目、加えて講評が行われた7日目の様子をレポートする。

    DAY5〜6【攻撃戦闘開始】14普連が35普連の監視部隊を撃破し前線を突破

    画像: 35普連の前線部隊と14普連の前線部隊が近接戦闘を開始する。14普連が35普連の前線陣地を攻撃して訓練検閲は幕を閉じた(図中の番号は写真番号)

    35普連の前線部隊と14普連の前線部隊が近接戦闘を開始する。14普連が35普連の前線陣地を攻撃して訓練検閲は幕を閉じた(図中の番号は写真番号)

     7日間行われる訓練検閲も後半となる5日目。攻撃側の航空機や戦闘車両による35普連の陣地への攻撃や、14普連の遊撃部隊による陣地への侵入と、それらに対する防御戦闘が各地で散発的に起きていた。

    画像: ①攻撃に関する主要事項の調整を実施:攻撃を始める前に、チーム編成や攻撃のタイミング、侵入する方向などについて話し合う14普連の隊員たち 写真提供/防衛省

    ①攻撃に関する主要事項の調整を実施:攻撃を始める前に、チーム編成や攻撃のタイミング、侵入する方向などについて話し合う14普連の隊員たち 写真提供/防衛省

     そんな中、14普連の主力部隊を先導する最前線の隊が、35普連の前線突破を虎視眈々と狙う。

    画像: ②茂みに身を隠し敵の陣地へと移動:攻撃の対象となる35普連の陣地に向けて移動する14普連の前線部隊。敵に見つからないように茂みへと足早に歩を進める 写真提供/防衛省

    ②茂みに身を隠し敵の陣地へと移動:攻撃の対象となる35普連の陣地に向けて移動する14普連の前線部隊。敵に見つからないように茂みへと足早に歩を進める 写真提供/防衛省

     2、3キロメートルにわたって等間隔に構築された35普連の第1線の陣地=前線を攻略するには、正面突破は厳禁だ。

     もし前線の中央から攻撃を仕掛けて突破する場合、前線に連なる35普連の各陣地の部隊から一斉攻撃を受け、撃破されるのは必至だからだ。

     そこで、右側か左側のどちらかに位置する陣地を攻撃し、前線を突破するのが定石となる。

    画像: ③35普連の部隊に攻撃を開始:14普連の前線部隊が敵の陣地への攻撃を開始。同士撃ちを避けるため、射撃を行うのは最前列の隊員だけだ 写真提供/防衛省

    ③35普連の部隊に攻撃を開始:14普連の前線部隊が敵の陣地への攻撃を開始。同士撃ちを避けるため、射撃を行うのは最前列の隊員だけだ 写真提供/防衛省

     訓練検閲6日目。14普連の前線部隊が、日が落ちるのを待って動き始めた。

     身を隠せる森林や茂みがあって敵に見つからずに侵入することができ、比較的に防御が手薄と見た、南西の端に陣取る35普連の警戒部隊に攻撃を開始。

    画像: ④35普連の隊員がえん体から機関銃で射撃:14普連からの攻撃に対し、えん体から5・56㎜機関銃で応戦する35普連の警戒部隊の隊員

    ④35普連の隊員がえん体から機関銃で射撃:14普連からの攻撃に対し、えん体から5・56㎜機関銃で応戦する35普連の警戒部隊の隊員

    「パパン、パン、パン!」。突然、小銃の射撃音が鳴り始めた。「敵、下がった下がった!」、「回り込んで撃て!」。14普連の隊員の声が響く。

    画像: ⑤敵を迎え撃つための攻撃を準備:14普連の部隊を迎え撃つため、次の戦闘に備えて小銃を構える35普連の警戒部隊の隊員たち

    ⑤敵を迎え撃つための攻撃を準備:14普連の部隊を迎え撃つため、次の戦闘に備えて小銃を構える35普連の警戒部隊の隊員たち

     14普連の前線部隊は80人ほどを擁する1個中隊。隊員数で劣る35普連の警戒部隊はたまらずに後退する。

    画像: ⑥前衛部隊に加わる主力部隊が前線へ移動:16式機動戦闘車とともに陣地付近へと移動する14普連の主力部隊。前線部隊の援護を受け、引き続き攻撃を行う 写真提供/防衛省

    ⑥前衛部隊に加わる主力部隊が前線へ移動:16式機動戦闘車とともに陣地付近へと移動する14普連の主力部隊。前線部隊の援護を受け、引き続き攻撃を行う 写真提供/防衛省

     両者による激しい近接戦闘の末、14普連は35普連の第1線の陣地の突破に成功。

    画像: ⑦後退後に事後戦闘に関わる情報交換を実施:敵に前線を突破され、後退した地点で今後の戦闘について情報交換を行う35普連の警戒部隊の隊員たち

    ⑦後退後に事後戦闘に関わる情報交換を実施:敵に前線を突破され、後退した地点で今後の戦闘について情報交換を行う35普連の警戒部隊の隊員たち

     後退した35普連は前線の再構築へと移行し始めたところで、訓練検閲の終了となった。

    DAY 7【講評】訓練検閲の終了後に「AAR」を実施

    画像: スクリーンに作戦図を表示し、10高射の曹士たちの訓練での行動について、反省すべき点がレクチャーされた

    スクリーンに作戦図を表示し、10高射の曹士たちの訓練での行動について、反省すべき点がレクチャーされた

     7日間の訓練検閲の終了後に実施されるのは、AAR(アフター・アクション・レビュー)。

     今回の訓練検閲で検閲対象となったのは攻撃側の14普連と、防御側の35普連と共に戦った10高射の隊員たちだ。

    画像: 10高射の幹部自衛官に、「敵の戦闘機やヘリコプターが出現した際に対空戦闘を適切に実施できていた」と話す統裁部長

    10高射の幹部自衛官に、「敵の戦闘機やヘリコプターが出現した際に対空戦闘を適切に実施できていた」と話す統裁部長

     各部隊とも幹部隊員と曹士隊員に分かれ、訓練で良かった点と改善すべき点が第10師団の統裁部(注4)の上官から示され、講評された。

    (注4)訓練検閲に参加しなかった部隊の幹部などで構成され、戦場の状況を付与したり、審判の役目を担う

    (MAMOR2026年2月号)

    <文/魚本拓 写真/村上淳 写真提供/防衛省>

    自衛隊、われらの7日間戦闘

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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