自衛隊と他国・地域との共同訓練は、その相手国、訓練の種類が年々増えている。世界の安全保障環境が不安定化し、自国の平和を当事国だけで守り抜くことが難しくなっているからだ。
2025年までに、自衛隊が参加してきた各種共同訓練の中から、海上自衛隊および航空自衛隊が参加した訓練をピックアップして紹介しよう。
弾道ミサイルの追跡・迎撃と対空戦を演練「パシフィック・ドラゴン」

ハワイ周辺海域を隊形を組んで航行する『はぐろ』と各国の駆逐艦やフリゲート艦
アメリカ海軍が主催する多国間でのミサイル警戒演習で、参加国海軍と海上自衛隊が弾道ミサイルの追跡・迎撃、対空戦訓練の共同演習を行う「パシフィック・ドラゴン」。
2024年は、日本、アメリカ、韓国、オーストラリア、カナダ、イタリア、オランダの計7カ国が参加。
訓練では各国海軍の駆逐艦、フリゲート艦、海自の護衛艦に加え、艦上戦闘攻撃機(マルチロール機)や無人航空機、艦対空ミサイルなども登場し、演練を繰り広げた。
訓練DATA(2024年)
●訓練開始年/2016年
●直近実施日/2024年7月29日~8月15日
●実施場所/ハワイ周辺
●参加国/日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イタリア、韓国、オランダ
●自衛隊の参加部隊/海自護衛艦『はぐろ』
サイバー攻撃から部隊を守れ。3カ国海軍が集結「ブルー・スペクトラム」

2024年5月にオーストラリア海軍の施設で行われた訓練に参加する海自隊員(左)
今や作戦の指揮、装備品の運用など、国防のあらゆる分野でネットワークが活用され、ここにサイバー攻撃が行われると致命的な打撃を受ける。
海上自衛隊のシステム通信隊群は、アメリカ艦隊サイバーコマンド、オーストラリア艦隊サイバーユニットと共同で、2024年に2回、サイバー演習を実施。
5月はオーストラリアに、9月は日本に各国担当部隊が集結し、サイバーセキュリティーの技量と相互運用性の向上を図った。なお、25年は情報戦の対応についての会議を行った。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/2024年
●直近実施日/2025年3月24~28日
●実施場所/海自海上作戦センター(神奈川県)
●参加国/日本、アメリカ、オーストラリア
●自衛隊の参加部隊・人数/海自システム通信群約30人
荒れた滑走路でC-130Hが離着陸訓練を実施「モビリティ・ガーディアン」

空自C-130H輸送機から物料を投下する空中輸送員
航空部隊の戦術技量や各国による共同対処能力、相互運用性の向上を図ることを目指すものであり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現にも資する、アメリカ軍主催の多国間共同訓練「モビリティ・ガーディアン」。
2025年は航空自衛隊の隊員とC-130H輸送機1機が戦術空輸訓練、即応機動訓練などに参加した。
C-130Hによる路面の荒れた滑走路での離着陸や物資の積み降ろし、空中からの物料投下など、高度な技量が必要とされる訓練が行われた。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/2017年(自衛隊の参加は23年から)
●直近実施日/2025年7月13~27日
●実施場所/グアム島アンダーセン空軍基地およびその周辺空域、テニアン島周辺空域(いずれもアメリカ)、パラオ国際空港
●参加国/日本、アメリカなど
●自衛隊の参加部隊・人数/航空支援集団約50人
多国間で連携して救難および災害対処能力を強化「パシフィック・エンジェル」

スリランカの空軍基地にて、多国間演習に参加した隊員らが大集合して記念撮影
海上での船舶や航空機の事故に対する捜索、救助活動は、広大なエリアを対象とするだけに他国の協力が必要となる。
そうした捜索救助や航空医療搬送などに関わる訓練や専門家交流を目的とした多国間演習が「パシフィック・エンジェル」だ。
2024年はアメリカ空軍とパプアニューギニア国防軍が、25年はアメリカ空軍とスリランカ空軍が主催。25年は日本を含む数カ国が参加して実施された。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/2009年(自衛隊の参加は24年から)
●直近実施日/2025年9月8~12日
●実施場所/カトゥーナヤカ空軍基地(スリランカ)
●参加国/日本、アメリカ、スリランカなど
●自衛隊の参加部隊・人数/空自4人
(MAMOR2026年1月号)
<文/古里 学 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
