自衛隊と他国・地域との共同訓練は、その相手国、訓練の種類が年々増えている。
2025年までに、自衛隊が参加してきた各種共同訓練の中から、陸上自衛隊が参加したものおよび陸・海・空の複数の領域を横断して行われた訓練をいくつかピックアップして紹介しよう。
ヘリコプターで機動・展開するヘリボーン作戦も実施「ダルマ・ガーディアン」

ヘリから建物の屋上に降下をし、迅速に展開する陸自隊員とインド陸軍隊員
インド太平洋地域の同志国であるインドの陸軍と陸上自衛隊による対テロ共同訓練は、2018年より両国どちらかの訓練場を使って毎年行われている(20年はコロナ禍で中止)。
25年に行われた、東富士演習場にある都市空間を模した市街地戦闘訓練場での総合訓練では、ヘリコプターから目標建物の屋上へロープを使ってのリぺリング降下や、地上から室内への突入・制圧など、両国隊員の協力のもと実戦的な訓練が実施され、作戦遂行能力と戦術技量の向上を図った。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/2018年
●直近実施日/2025年2月24日~3月7日
●実施場所/東富士演習場(静岡県)、朝霞訓練場(埼玉県)
●参加国/日本、インド
●自衛隊の参加部隊・人数/陸自東部方面隊、陸上総隊約200人
40年以上の歴史を誇る共同作戦の指揮所演習「ヤマサクラ(YS)」
伊丹駐屯地で行われた「ヤマサクラYS-89」の指揮所訓練の様子。指揮官の迅速かつ的確に決断する能力を磨く
日本とアメリカの共同作戦の実行時における指揮幕僚活動の演練や、それに関わる能力の維持・向上を目的とした日米共同演習「ヤマサクラ」。これまでは、陸上自衛隊の5個方面隊が持ち回りで実施してきた。
開始から半世紀近い歴史をもち、2023年からは加えてオーストラリアが参加(フィリピンをはじめオブザーバー参加国は多数)。25年は朝霞駐屯地や伊丹駐屯地などで実施し、島しょ部を含めた各種事態を想定して、リモートも含め各地の部隊が訓練に参集した。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/1981年
●直近実施日/2025年8月21日〜9月1日
●実施場所/朝霞駐屯地(東京都)、伊丹駐屯地(兵庫県)など
●参加国/日本、アメリカ、オーストラリア
●自衛隊の参加部隊・人数/陸上幕僚監部、陸上総隊など約2800人
自衛官3万人以上が参加する最大規模の実動演習「キーン・ソード」

島しょ防衛を想定し、空てい作戦でパラシュート降下を行う
日本とアメリカの最大規模の共同統合演習として、実動演習の「キーン・ソード」と指揮所演習の「キーン・エッジ」が毎年交互に行われている。
その目的は、さまざまな事態に対する日本とアメリカの共同統合運用能力と共同対処能力の維持・向上だ。

水陸両用作戦で海からボートを引き上げる陸自とアメリカ陸軍の隊員ら
2024年の「キーン・ソード」では、島しょ防衛を意識し南西諸島でも訓練が行われ、初めてアメリカ陸軍の長射程の高機動ロケット砲システムの展開や、V-22による患者輸送訓練などが行われた。
訓練DATA(2024年)
●訓練開始年/1985年
●直近実施日/2024年10月23日~11月1日
●実施場所/自衛隊施設、在日アメリカ軍施設および区域、民間空港・港湾、奄美大島、徳之島、沖永良部島(いずれも鹿児島県)、日本周辺海空域
●参加国/日本、アメリカ
●自衛隊の参加部隊・人数/統合幕僚監部、陸自、海自、空自など約3万3000人
複数領域を横断した日米韓3カ国の共同訓練「フリーダム・エッジ」

海自、アメリカ海軍、韓国海軍の艦艇が東シナ海に集結し、実動訓練を行った
日本とアメリカと韓国の3カ国による共同訓練「フリーダム・エッジ」が、2024年の6月と11月に引き続き、25年9月にも行われた。
東シナ海の上空域での海上作戦訓練、航空作戦訓練などの実動訓練だけでなく、サイバーの領域でも訓練を実施。日本、アメリカ、韓国が複数領域で連携・作戦遂行能力の向上を図った。
日本側からは護衛艦『ひゅうが』と『はぐろ』や、P-1哨戒機、SH-60K哨戒ヘリ、F-15戦闘機などが参加した。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/2024年
●直近実施日/2025年9月15~19日
●実施場所/防衛省市ケ谷地区(東京都)、東シナ海および同上空域、そのほか訓練参加部隊などの所在地
●参加国/日本、アメリカ、韓国
●自衛隊の参加部隊・人数/統合幕僚監部、統合作戦司令部、自衛艦隊、航空総隊など約700人
在外邦人などを警護、輸送する訓練も実施「コブラ・ゴールド」

タイ軍の基地にて、海外での有事に備えた在外邦人等保護措置の訓練も行われた
もともとはアメリカとタイの2国間訓練として1982年に始まった「コブラ・ゴールド」。
2005年からは毎年日本も参加し、44回目となる25年は、日本、アメリカ、タイ、インドネシアなど7カ国を主体に、オブザーバー参加国を含め約30カ国が参加する東南アジア最大の共同訓練となった。
単なる軍事訓練だけでなく、人道支援、災害救助活動、在外邦人等保護措置の訓練も行われた。
訓練の最終日には毎回、多国間実弾射撃訓練が行われることで有名(25年は悪天候で中止)。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/1982年
●直近実施日/2025年2月5日~3月7日
●実施場所/タイ
●参加国/日本、アメリカ、タイ、インドネシア、マレーシア、韓国、シンガポール、オーストラリア、中国、インドなど計30カ国
●自衛隊の参加部隊・人数/統合幕僚監部、陸上総隊、自衛艦隊、航空総隊など約230人
(MAMOR2026年1月号)
<文/古里 学 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

