高度にシステム化されたデジタル機器も適切な整備がされていなければ宝の持ち腐れだ。システム通信・サイバー学校の第2教育部では、通信関連機器の整備要員を育成し、陸上自衛隊の通信環境を支えている。
この学校は、隊員に対する教育を行うだけではなく、各職種の将来へ向けた戦術や装備の研究を行う拠点でもあるために、システム通信・サイバー学校には「研究部」が設置されている。
通信電子に関する機器の「エンジニア」を育成する

高度にシステム化された通信機器の整備では、電子部品や回路などの知識が必要不可欠。教育では、電気工作などの実習を通じて基礎を学ぶ 写真提供/防衛省
システム通信・サイバー学校には、通信用の各種電子機器の整備を教育する部門もある。それが、第2教育部だ。同部では、陸自のレーダーや通信機器、電子機器などを扱う整備員を対象にした、基礎的な電子教育や整備教育を受け持っている。
「基本基礎、原理原則を理解させながら、学生自らが考える教育を重視しています」と教育方針について語るのは、第2教育部長の工藤1等陸佐。学生たちは、各種機器を整備するための基礎となる電気、電子回路などの知識を習得するための「基礎電子課程」を履修した後、機器別に整備教育を履修する。
工藤1佐は「教育修了後は、全国各地の整備部隊で一人前の整備員として活躍してくれることを期待しています」と語る
工藤1佐は、教育内容の進歩について次のように語った。
「情報通信技術の進化はめざましいものがありますので、適時に教育内容を見直し、また装備品の製造企業における研修など、外部との協力関係も活用しながら学生の教育を行っています」
この学校は、隊員に対する教育を行うだけではなく、各職種の将来へ向けた戦術や装備の研究を行う拠点でもあるために、システム通信・サイバー学校には「研究部」が設置されている。
任務のため通信技術や機器を「調査・研究」する

通信技術の研究に協力する衛星通信事業者と実施内容や予定を調整する研究部。将来の装備開発に関係する重要な業務の1つだ
システム通信・サイバー学校 研究部では、将来装備の研究・構想、民間機器の早期導入のため性能調査など、システム通信やサイバーにまつわるさまざまな調査・研究を行っている。
「例えば、次世代の通信装備に関する研究の場合、将来の世界情勢や陸上自衛隊の戦い方を調査・研究し、必要な通信方法や技術を見積もります。学校内にとどまらず、ほかの職種や契約を結んだ民間企業とも連携して検討、研究を行います」と語るのは、研究部長の金井1等陸佐。
金井1佐は、「システム通信やサイバーは、進化の著しい分野で広範にわたる研究が必要ですが、やりがいもあります」と語る
「私たちは、第一線部隊のニーズを踏まえて調査・研究を行うよう留意しています。今後も、将来のシステム通信分野を支えるために活動してまいります」
(MAMOR2025年5月号)
<文/臼井総理 写真/村上淳>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです


