自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。
そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
東北唯一のヘリコプター部隊「第2対戦車ヘリコプター隊」

八戸駐屯地公式サイトより(https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/hachinohe/sp/sp5-400-troops.html#2ah)
八戸駐屯地(青森県)に所在する陸上自衛隊の部隊。東北唯一の対戦車ヘリコプター隊で、装備する対戦車ヘリコプターや観測ヘリコプターで防衛警備、災害派遣などの任務を行う。
「第二対戦車ヘリコプター隊隊歌」の歌詞を紹介
一
海峡のぞむ 八戸に 集う武士 幾百ぞ
トウ ロケット ガン 胸に抱き
ほふく飛行で 敵求め 初弾必中 我が愛機
我等はみちのく
第二対戦車ヘリコプター隊
二
八甲田 名久井 仰ぎみて 海鳥友に 回転翼たて
操 ガナー 連携 必勝の ヘリボン掩護 対ヘリ戦
地上の友と いざ征かん 我等は戦う
第二対戦車ヘリコプター隊
三
階上 田子 練武の地 有無の言葉 必通し
無事故の整備 我が誇り ファープの変換 軽やかに
必勝求め 肩を組む 我等は輝く
第二対戦車ヘリコプター隊
「第二対戦車ヘリコプター隊隊歌」の歌詞を解説
(1):対戦車ヘリコプターが武装できる3種の弾種で、「トウ」は対戦車ミサイル、「ロケット」は70ミリロケット弾、「ガン」は20ミリ機関砲のこと
(2):操縦席(後席)とガナー席(前席)が連携して任務を遂行する
(3):ヘリコプターにより部隊を機動・展開させるヘリボン作戦において、対戦車ヘリコプターが空中から火力で掩護をすること
(4):前方展開地に、不足した燃料と弾薬を再補給できる場所(ファープ)を開設すること
東北唯一の部隊としての矜持が伝わる隊歌

「1991年ごろ、当隊が新編された際に、部隊の団結強化と士気向上のために作られた隊歌だと聞いています」と答えてくれたのは、第2対戦車ヘリコプター隊(2対戦ヘリ)の本田3曹だ。
名前は分からないものの、作詞者は当時の2対戦ヘリの隊員、作曲者は当時の第9音楽隊の隊長だという。
「1番の歌詞にある『ほふく飛行』とは、低い高度で地面を這うように飛行する操縦技術のことです。また3番の歌詞にある『有無の言葉 必通し』は、指揮の命脈といわれる通信班の任務で、有線通信と無線通信を必ず通じさせるという意味です。どちらも陸自の航空科職種で唯一の火力戦闘部隊である2対戦ヘリの、不変の矜持を感じさせる歌詞ですよね」と本田3曹。
個人的には、3番の最後の「我等は輝く第二対戦車ヘリコプター隊」の歌詞がお気に入りなのだとか。部隊では、検閲の前に隊員の士気向上の目的で歌ったり、定年退職や異動する隊員の「見送り」の際に歌ったりするそうだ。
部隊としてのプライドと伝統を守り抜こうという思いがあふれる隊歌を、ぜひ聴いてみて!
(MAMOR2025年3月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
