•  マモルのキャッチフレーズは「日本の防衛のこと、もっと知りたい!」です。防衛省・自衛隊の政策や活動を広く国民にお知らせすることがマモルの使命なのです。

     そこで、読者の皆さんから募った防衛に関するさまざまな疑問、質問について、われらが広報アドバイザー・志田音々さんがインタビュアーとなって、各界の識者に教えていただこうと思います。

    室内用のマルチコプター・ドローン(ヘリコプタータイプ)を持つ志田さん 機体提供/株式会社ブルーイノベーション

    【志田音々さん】
    タレント、女優。1998年、埼玉県出身。2月14日に3rd.写真集(講談社)が、2種類同時発売。2023年から防衛省広報アドバイザー(注1)に就任中

    【嶋本学さん】
    一般社団法人 日本UAS産業振興協議会(JUIDA)参与。1965年、北海道出身。89年に防衛大学校を卒業後、陸上自衛官に任官。防衛駐在官などを務め、2022年退官

    (注1)防衛省・自衛隊の各種広報活動に協力することを目的として2023年に設けられた制度のこと

    防衛で使われているドローンについて教えて!

    画像: 2022年12月に初フライトを行った航空自衛隊三沢基地(青森県)のグローバルホーク。23年6月には3機目が配備され、偵察機として運用している。運用部隊では、操縦士や整備員の教育訓練も行われている 写真提供/防衛省

    2022年12月に初フライトを行った航空自衛隊三沢基地(青森県)のグローバルホーク。23年6月には3機目が配備され、偵察機として運用している。運用部隊では、操縦士や整備員の教育訓練も行われている 写真提供/防衛省

    志田音々(以下、「志田」):仕事柄、テレビ番組の撮影などでドローンを目にする機会が多いです。戦場でも使われているようですが、ドローンは、いつごろからあるのですか?

    嶋本学(以下、「嶋本」):原形は、1935年にイギリス海軍が射撃訓練の標的用に開発した無人飛行機「クィーン・ビー」だといわれています。さらに40年にアメリカ軍がラジコン飛行機を改造した「ターゲット・ドローン」を開発し、その名称が世界中に広まり、無人航空機を「ドローン」と呼ぶようになりました。

    志田:昔から飛んでいたんですね。

    嶋本:そうなんですよ。70年代から偵察用ドローンが開発され、90年の湾岸戦争では既に実戦配備されています。

     また95年には「プレデター」(注2)が初めて実戦投入され、98年には、現在も各国で運用されている「グローバルホーク」(注3)が初飛行し、イラク戦争などに投入されました。このころのドローンは、遠隔操作できるように軍用機を改造したり、主翼がある飛行機タイプが主流でした。

    志田:私が撮影のときに見た、小型でヘリコプターのように1カ所にとどまることができるドローンはいつごろから登場したのですか?

    嶋本:2000年ごろから欧米ではドローンの小型機が開発されるようになりました。地上からドローンを操縦するには正確な位置情報が必要ですが、ちょうどそのころ、軍用の正確なGPSの測位情報が民間でも利用できるようになりました。

     10年ごろには志田さんが見たような小型ドローンが市場に溢れ、世界中で使用される契機になりました。

    (注2)長い航続距離と長時間の飛行が可能で、赤外線センサーなどを搭載した偵察用、ミサイルを搭載した攻撃用など、さまざまなバリエーションがある

    (注3)偵察用に特化して設計されたドローン。高精度なセンサーやカメラを搭載し、悪天候でも地形を精密に読み取ることができる

    開発競争が進み、ドローンが高性能かつ安価になっていった

    ターゲット・ドローンの工場で働くマリリン・モンロー 写真/David Conover(1945)

    志田:さまざまな国が使用するようになったのですね。ですが、どうしてそれほど広まったのでしょうか?

    嶋本:GPSやカメラをはじめ、各種センサーなどの機器を搭載できるドローンは、「空飛ぶスマートフォン」とも呼ばれています。スマホが最初は一般の人には手が出ないほど高価だったものが、開発競争が進むうちに高性能で安価になったのと同じ現象がドローンにも起きました。

     ウクライナで使用されている小型ドローン1機は約8万円あれば購入できますが、そのドローンによって破壊されたとみられる「アイアンドーム」(注4)など既存の防空システムは約80億円もの金額になります。

     仮にドローン1機で防空システムを破壊できれば、その費用対効果はすさまじいものになります。貧しい国ほど、安価なドローンに手が出しやすいのが分かるでしょう?

    志田:なるほど。自衛隊でもドローンを活用しているのでしょうか?

    嶋本:大きなものでは、航空自衛隊の三沢基地(青森県)に「グローバルホーク」が偵察用として配備されていますね。22年に閣議決定された「防衛3文書」(注5)では、装備品の無人化、省人化を進めるとあり、今後さらにドローンの導入や防御手段の研究が進められていくでしょう。

    志田:これからの発展に期待、ということですね。

    嶋本:実は今日、志田さんのために本物のドローンを持ってきました。というのも、ドローン業界では「ドローンと写真を撮った女優は大成する」というジンクスがあるんですよ。

    志田:どういうことですか!?

    嶋本:女優のマリリン・モンローはもともと「ターゲット・ドローン」の工場で働いていて、そのときに撮ったドローンとの写真がきっかけで銀幕デビューし、有名になったといわれているんですよ。

    志田:うわあ、うれしい! では、荒馬ならぬ“ドローンと女”のワンショットをお願いします!

    (注4)イスラエルが運用している防空システム。50~70キロメートル程度の射程をもつ敵ロケット弾を迎撃するため配備されている

    (注5)国の外交や防衛の基本方針を定めた「国家安全保障戦略」、防衛力の水準を規定した「国家防衛戦略」、5年間の防衛費や主要装備の数を定めた「防衛力整備計画」のこと

    (MAMOR2025年2月号)

    <文/古里学 写真/山田耕司(扶桑社)>

    志田音々のねぇねぇ防衛のこと、もっと教えて!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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