• 「防衛装備品」というと、戦車や護衛艦や戦闘機などを思い浮かべるが、国を守る道具は、私たちに身近なモノから、「これは何?」と見ただけでは用途が分からないモノまで、多岐にわたる。

     そこで、マモルでは、自衛官が任務を遂行するために、日ごろから使っていて、しかし、私たちの目に触れることが少ない道具を中心に紹介する。

    「能書は必ず好筆を用う」という。はたして、国防の志士たちが駆使する道具とは?

    自衛官が使う珍しい道具を一挙大公開!

     防衛装備品は、国を守るための道具。それだけに、自衛隊以外ではあまり使われない特殊な装備品もたくさんあり、見ただけで興味を引かれる道具もある。

     道具を知れば任務が分かる。日本の防衛に対して、多くの方に関心を持っていただきたいと考えるマモルは、魅力的(?)な道具を集めてみた。

    医官等識別ベスト

    自衛隊の医療従事者を示す機能的なベスト

    <SPEC> 長さ:約55cm、幅:約55cm、重さ:約1kg

     災害派遣などの際、自衛隊の衛生隊員が医療従事者であることを示すために着用するベスト。大小複数のポケットがあり、感染防護衣、点滴、止血帯、聴診器などの救護用品を収納できる。

    航空用ヘルメット

    頭部の保護と酸素吸入でパイロットを守る

    <SPEC> 高さ:約30cm(酸素ホースを除く)、幅:約26cm、重さ:約1.7kg

     戦闘機パイロット用の航空ヘルメット。機体に接続して、酸素を送るホースが付いているが、これによりフライト中、高度や加速度に応じた圧力の酸素がパイロットに供給され、低酸素症などを防止できる。

    ヘルメットバッグ

    航空用ヘルメットを収納するバッグ

    <SPEC> 縦:約53cm、横:約52cm

     航空機の搭乗員がヘルメットを収納し、機内などへ持ち運ぶ際に使用するバッグ。ヘルメット以外に緊急脱出や火災の対応などが書いてあるチェック表なども収納可能。ナイロン素材で軽量かつ頑丈で、内部はクッション性が高く、繊細な機能をもつ航空用ヘルメットを傷つけないために必須。

    信号照明弾 救難用

    救難信号を発するペン型の信号弾

    画像: ペンのような形をした発射筒

    ペンのような形をした発射筒

    画像: 照明弾ケースと蓋(ケースの中に7つの照明弾が入っている)

    照明弾ケースと蓋(ケースの中に7つの照明弾が入っている) 

    <SPEC> 発射筒の長さ:約12.8cm ケースの縦:約4.5cm、横:約12.7cm

     航空機の搭乗員などが、万が一遭難した際に使用する道具。照明弾をペン型の発射筒に装着し、引き金を引いて発射させると信号弾が空中に放たれ、光を発して要救助者の位置を知らせる仕組みだ。

    信号筒 救難用

    遭難者が救難信号を出す道具

    画像: 遭難者が救難信号を出す道具

    <SPEC> 長さ:約14cm、直径:約4.5cm

     自衛官が遭難した際に使用する信号筒。発煙するタイプの昼間用か、発光するタイプの夜間用のどちらかを時間帯に応じて使用する。夜間用の信号筒の容器には突起がついていて暗闇でも隊員が触って識別しやすくなっている。

    ストラップカッター

    輸送物資の梱包を解くナイフ

    画像: 輸送物資の梱包を解くナイフ

    <SPEC> 長さ:約17cm、重量:約400g

     物資を梱包しているベルトを切るナイフ。にぎりやすいようグリップがついているほか、刃がむき出しになっていないため、輸送物資を傷つけることなくベルトのみが切れる安全な構造となっている。

    画像: ストラップカッターには握りやすいようグリップが付いている

    ストラップカッターには握りやすいようグリップが付いている

    救命胴衣灯

    遭難した隊員を点滅して知らせる

    <SPEC> 長さ:約6cm

     空自パイロットが航空機から緊急脱出し、海中に着水した場合に点滅して位置を知らせる装備品。救命胴衣に付けられており、着水すると水に反応して点滅する。

    フカよけ布

    サメに襲われるのを防止する装備品

    <SPEC> 長さ:約5m(展開時)

     救命胴衣に備え付けられている、黄色く長細い布。パイロットが航空機から海上に緊急脱出した際に使用するサメよけ。サメは自分の体長より大きな動物は襲わないといわれているため、この布を周囲に漂わせ、身の安全を守る。

    中帽1型

    衛生隊員が使用する災害用のヘルメット

    <SPEC> 高さ:約16cm、幅:約22cm、重さ:約400g

     赤十字のマークが表示された、衛生隊員専用のヘルメット。通称「ライナー」と呼ばれる。衛生兵を攻撃してはならないとジュネーブ条約で定められているため、赤十字が目立つように付いている。

    医療用リュック

    救護用品を収納し災害派遣などで使用

    <SPEC> 高さ:約40cm、幅:約28cm、奥行:約15cm、重さ:約1kg

     空自の衛生隊員が有事や災害派遣などの際、救護活動に使用するリュック。内側に小分けのポーチが面ファスナーで固定されていて、解熱・鎮痛剤やばんそうこう、脱脂綿、ガーゼ、包帯、マスクなどの救護用品を用途別に入れることが可能だ。リュックとショルダー、手下げの3Way仕様。

    ※寸法などスペックの記載がないものは公表されていません

    (MAMOR2024年8月号)
    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

    <文/魚本拓 写真/星 亘(扶桑社)>

    誰も知らない防衛装備品54

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