わが国の空の安寧を70年間にわたって守り続けてきた航空自衛隊。
私たち国民が、平和に暮らせるのも、空の守護神が常に目を光らせているからだ。
2024年に70周年を迎えた、空自の活躍がブルーサーマルに乗って上空に、そして宇宙に向かって広がるように祈りながら、今一度、その基礎知識についておさらいしよう。
航空自衛隊の主要部隊と全国の主要施設はこれだ!
航空自衛隊は日本全国の空の防衛を担う巨大な組織だ。主要な構成部隊と、それらが全国各地をどのようにカバーしているのか紹介しよう。
航空自衛隊は、大きく分けて5つの主要な部隊で構成される。このうち「航空総隊」は、航空戦闘任務を与えられた第一線実動部隊であり、戦闘機、偵察機、救難機を飛ばして航空作戦を実行する。
2つ目は「航空支援集団」。航空総隊を支援する組織で、司令部以下空輸、管制、気象、点検などの機能を持つ部隊で構成されている。具体的には、輸送機の運用を行う部隊や、航空管制を行う部隊などが属している。
3つ目の「航空教育集団」。パイロットをはじめ、空自隊員のあらゆる教育を一元的に行う組織であり、基礎教育から各種訓練、各分野における専門知識や技術を身に付けるための教育機関、各種学校や教育隊を有する。
4つ目は「航空開発実験集団」。航空機や各種装備品に関する研究開発をはじめ、航空医学や人間工学についての開発実験機能を持つなど、幅広い研究を行う。空自の戦力を整備増強するための重要な役割を果たす集団だ。
最後は「補給本部」。空自の活動に必要な装備品、燃料、弾薬などの調達や保管、補給、整備などを担当する組織だ。
これら主要部隊以外にも、防衛大臣を補佐するスタッフの集まりであり、航空幕僚長率いる幕僚組織である「航空幕僚監部」がある。防衛省のある東京都市ケ谷地区に所在する、空自の要となる組織だ。
そのほかの部隊としては、情報通信ネットワークの運用を行う「航空システム通信隊」、広報イベントなどで活躍する「航空中央音楽隊」、幹部航空自衛官の育成を行う「幹部学校」などの各種部隊・機関がある。
近年は南西方面を強化。4つの方面隊が空を守る
航空総隊のもとには、日本全土を4つのエリアに分けたそれぞれに「航空方面隊」が置かれている。北部・中部・西部そして南西の各航空方面隊があり、戦闘機を持つ航空部隊などが属している。
なお、4つの航空方面隊のうち、司令部を那覇基地に置く南西航空方面隊は、かつて「南西航空混成団」という部隊だったが、近年の安全保障環境の変化、自衛隊の南西方面の戦力強化のため、2017年に方面隊へと昇格した。
これら航空方面隊の所属以外にも、警戒航空団や航空救難団、航空戦術教導団など航空総隊直属の部隊がある。
(MAMOR2024年7月号)
<文/臼井総理 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです