日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。
今回は北海道稚内基地分遣隊の「チャーメン」を紹介します。隊員食堂でご当地グルメが食べられる!と評判のメニュー。豚肉やシーフードをメインに、野菜もたっぷり入ったあんがとろ〜り。寒い日にガッツリ食べたい麺料理です。
日本最北の部隊「海上自衛隊稚内基地分遣隊」
上自衛隊稚内基地分遣隊は2024年に開隊50周年を迎える、海自大湊地方隊に所属する日本最北の部隊です。稚内港の掃海や宗谷海峡警備業務のために寄港する艦艇の受け入れなどを担っています。
航空自衛隊稚内分屯基地内にあり、陸上自衛隊も所在するため、陸・海・空全ての自衛隊が同じ敷地にある珍しい基地。快晴の日は遠くサハリンの島影を望むことができます。
体が温まる稚内のソウルフード
今回紹介する「チャーメン」は、稚内の地元飯として有名で、隊員食堂の推し麺! 見た目はあんかけ焼きそばですが、ゆでた生中華麺をゴマ油で炒めているので、食感と風味に違いがあります。
とろみをつけたしょうゆ味のあんには豚肉、魚介、野菜をたっぷり入れて、満腹感を得られるようにし、季節によってはエビ、ホタテを多く入れたり、シイタケなどキノコ類を加えるなど栄養バランスへの配慮も感じられます。
隊員食堂では業務用のラーメンスープの素を使用していますが、市販の麺に付いているスープや、しょうゆ味のラーメンスープがあれば作れます。1人分のラーメンスープの量がチャーメンの2人分と考えればOK。
隊員食堂では大量調理のため、ゆでた麺をじっくり時間をかけて焼くことはできず、少し茶色っぽくなるまで炒めているとのこと。
チャーメンは十分なボリュームですが、副菜にはサラダが付き、さらにこれだけでは足りないという若い隊員のために、チャーハンやおにぎりが一緒に提供されるのだそうです。
食べた感想は?
「スープのうまみが濃厚で、それでいてくどくないのがいい!ボリュームはありますが、あっさりと完食してしまいます」(1曹/男性・50代)
「稚内の地元飯であるチャーメンが、基地内でも食べられて感動しました!熱々のあんかけ麺で冷めにくく、体も温まります」(1曹/男性・40代)
「肉、野菜、海鮮類の素材のうまみが口の中にまんべんなく広がります。夢中で頬張ってしまうくらい、とにかくうまいよ!」(3曹/男性・30代)
隊員には体の温まる料理でパワーアップしてもらいたい!
【海上自衛隊 稚内基地分遣隊 1等海曹 伹木鉄造】
1990年に入隊し、海上での勤務が続きました。なかでも20年以上と長かったのが掃海艇です。当隊に就いてから2年。
掃海艇では約40人分の調理でしたが、さらに小規模の食堂になり、味の調整が細やかにでき、笑顔で食べてくれる姿を直接見られるのがうれしいです。自分で言うのもなんですが、うちの料理は全ておいしい!
毎週水曜日は麺の日で、今回紹介するチャーメンも好評です。函館市出身なので寒さには慣れっこですが、稚内は風が強いのが特徴。寒い日には体の温まる料理でパワーアップしてもらいたいですね。
「チャーメン」のレシピを紹介!
<材料(2人分)>
生中華麺:2玉(300g)
ショウガ(みじん切り):少々
【A】
豚バラ薄切り肉(2㎝幅に切る):2枚(40g)
シーフードミックス(冷凍):80g
白菜(食べやすく切る):1/3枚
タマネギ(薄切り):30g
ニンジン(薄い星形に抜く、または短冊切り):10g
モヤシ:20g
【B】
ラーメンスープしょうゆ味(液状):1袋(40g)
水:1と1/2カップ
【C】
片栗粉:大さじ1と1/2
水:大さじ2
長ネギ(斜め切り):1/5本
サラダ油、ゴマ油:各適量
半熟ゆで卵:1個
<作り方>
1:フライパンにサラダ油を熱してショウガを炒め、香りが出たらAの豚肉を入れて炒める。さらにほかの食材を加えてさっと炒める。
2:1に、合わせたBを加えて全体を混ぜる。
3:2に混ぜ合わせたCを流し入れてとろみをつけ、熱いうちに長ネギを加えてざっと混ぜる。
4:生中華麺は表示より少し短めにゆでて、湯をきり、ゴマ油を熱した別のフライパンに入れ、茶色っぽくなるように炒める。
5:器に4を盛り、3をかけ、縦半分に切った半熟ゆで卵を添える。
チャーメンとは
「稚内のソウルフード」と呼ばれるご当地グルメで、漢字名は「炒麺」。65年ほど前に室蘭市で誕生したといわれているが、現在、チャーメンをメニューとして提供している店舗数は稚内市が圧倒的に多い。
蒸し麺ではなく、生麺を一度ゆでてから炒めたり、揚げたりしてパリッとした食感にし、具だくさんのあんをのせるのが特徴。しょうゆ味、塩味、みそ味の3種があり、最後のほうで酢を加えて食べるのがツウなのだとか。
(MAMOR2024年1月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/山田耕司(扶桑社) 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです