全国に25個ある陸上自衛隊の高射特科部隊のなかでも、松戸駐屯地(千葉県)に所在し、飛来する敵の航空機や巡航ミサイルを地上からミサイルなどで迎撃する第2高射特科群は、首都防空部隊として重要な位置付けだ。
2023年3月には高射運用隊が新編され、部隊の情報共有および射撃指揮・統制能力も向上。精強な部隊を作る取り組みや訓練などを、高射特科群長と第3科長に聞いた。
最新の情報を収集し、当事者意識で訓練に臨む
陸上自衛隊第2高射特科群は、松戸駐屯地に本拠を置く陸自東部方面隊直轄の「高射特科」部隊だ。2023年3月に高射運用隊が新編され、態勢を強固なものにしている。
「首都圏の防空、東部方面隊の対空掩護が任務です。高射運用隊が加わり、さらに体制が強化されました。部隊はこれまで、訓練の精度や練度などの評価を受けた際に優秀な成績を収めてきました。これは首都を守る気概を持ち、隊員の意識が高いことの表れだと考えています」と話す第2高射特科群長の西永正孝1等陸佐。
西永1佐は昨今のウクライナ情勢などから、敵を知ることが重要だと隊員に伝えている。
「攻撃手段、対処法などの情報を集め、現実に起こりうるさまざまな脅威にどう対処するか、私たちは常に考えて行動しなくてはなりません」
実射訓練の経験値が首都防衛への意識向上に
高射特科部隊にとって重要な訓練の1つが「実射訓練」だ。
03式中距離地対空誘導弾(中SAM)を装備する部隊はアメリカで実射訓練を行うが、部隊の作戦や訓練を担任する第3科長の平澤大介2等陸佐はアメリカでの実射訓練をこう語る。
「実射訓練をする部隊は、春ごろから訓練を重ね、秋にアメリカに赴きます。現地ではアメリカ軍の協力のもと、ミサイル実射のほか、実戦的な飛行をする戦闘機に対処する訓練なども行います」
さらに平澤2佐は実射訓練の意義をこう述べた。
「シミュレーションを重ねてもミサイルの音や光、レーダーへの映り方などは実際に体感しないと分かりません。実射を経験することが意識を高め、普段の訓練の充実にもつながると考えています」
(MAMOR2023年12月号)
<文/臼井総理 撮影/荒井健(特記を除く)>