•  来年のパリオリンピックに焦点を当て、毎日練習に励む自衛隊体育学校所属のアスリートを紹介。日本の活躍を祈り、みんなで応援しよう!

    【近代五種 内田美咲 3等陸曹(埼玉県出身)】

    1998年生まれ、埼玉県出身。3人きょうだいの末っ子。好きなアーティストはONE OK ROCK。趣味は買い物と料理。近代五種をやっていなければ、栄養士の道に進んでいたかも。好きな食べ物は焼き肉。嫌いな食べ物はパクチーくらいで、基本何でも食べられる。海外でも食事が合わず困ることはほぼない。

    種目解説「近代五種」

     オリンピック競技としては、1912年のストックホルム大会から実施。当初は男子種目のみで行われ、2000年のシドニー大会から女子種目が追加された。

     フェンシング(エペ)、水泳(200m自由形)、馬術(障害飛越)、レーザーラン(600m走を5回、射撃5的を4回)の5種目を1日で行い順位を競う。

     23年より5種目を90分で行う新ルールが追加され、より試合展開がスピーディーになった。フェンシング、水泳、馬術の合計点を1点=1秒に換算し、得点上位選手からタイム差をつけてレーザーランを開始。レーザーランのゴール順で最終順位が決まる。

    “我慢強さ”が問われる近代五種

     全くジャンルの違う競技5種目(フェンシング[エペ]、水泳[200m自由形]、馬術[障害飛越]、レーザーラン[600m走を5回、射撃5的を4回])を行い、総合得点を競う近代五種。競技力の高さは当然ながら、問われるのは“我慢強さ”だと、内田3曹は語る。

    「5種目を1日でこなすため、1種目の結果が悪くて『もうダメだ』と諦めたら、それが最終結果につながる。挽回できるから最後まで頑張ろうと思える、我慢強い人が向いている競技です」

    「やるなら今しかない」未知の種目への挑戦を決意

     彼女が近代五種を知ったのは高校3年生のころ。出場した水泳のインターハイで、健脚を見た自衛隊体育学校の近代五種のコーチから誘われたのがきっかけだった。

     水泳と陸上の両経験があり、どちらも生かせる競技。興味を抱くも、未知の他種目をこなせるか、不安もあった。

    「ただ、社会人としてスポーツ競技をしながら給料をもらえる経験はなかなかできない。やるとしたら今しかないと思いました」と挑戦を決意する。

     高校卒業後は、自衛隊体育学校へ入校。体育学校には、練習場の限られる馬術、フェンシング、射撃の練習場がそろっており、指導者にも恵まれた。

    「近代五種経験者から指導を受けることができるので、選手一人ひとりの体調や技量に合わせた練習となり、とても助かっています。信頼しているし、なんでも気軽に相談できます」

    ワールドカップファイナルで日本勢歴代最高記録を達成

     その成果は、確かな結果となって出始める。努力の末、2022年6月のワールドカップファイナルでは、当時日本勢歴代最高となる4位を記録した。

    「今まで自信を持てない時期もありました。でも実力を発揮すれば結果は出せると分かり、迷わなくなりました」

     勢いそのままに臨んだ同年11月の全日本選手権でも、見事初優勝を飾る。

    「優勝までの道のりは長かったですが、一番になれて、ここまでやってきて良かったなと、改めて思いました」

    折れない心こそ重要。自信を身に付けて進む、世界への道

     1歩ずつ階段を上る中で、メンタル面も着実に成長を遂げている。

    「以前は自信のなさから、『ここで点数を取れなかったら決勝に残れないかも』とネガティブに考える傾向がありました。でも、今はフェンシングが悪くてもレーザーランで当てていけば決勝・準決勝にも残れるだろうと、強い気持ちを持てるようになりました」

    「第19回アジア競技大会」でパリオリンピック出場権をつかんだ彼女が目指すのは、パリオリンピックでのメダル獲得だ。

    「これからもっと練習を積んでレベルアップしていけば、世界のトップでも戦えると思っています」

     得意の水泳では安定して世界トップレベルの結果が残せており、苦手のフェンシングと馬術を強化すれば、新たな世界が見えてくる。大きな自信を胸に、内田3曹はさらに高みを目指す。

    (MAMOR2023年8月号)

    <文/ナノ・クリエイト 撮影/星 亘(扶桑社)>

    オリンピックを目指す自衛官アスリート

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