日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は新潟県佐渡分屯基地の「ブリカツ丼」を紹介します。ご当地グルメとして有名な「佐渡天然ブリカツ丼」にアレンジを加えた簡単でおいしいオリジナル丼です。
国籍不明機などを24時間365日監視。航空自衛隊・佐渡分屯基地
佐渡島は新潟県の西方海上にある島で、全域が新潟県佐渡市に属します。日本の島では沖縄本島に次ぐ面積を持ち、新潟港から高速船で約1時間、フェリーで約2時間半かかります。
航空自衛隊佐渡分屯基地は島の北部にある大佐渡山地にあり、妙見山(標高1042メートル)の頂上にレーダーサイトがあります。春から秋にかけては多くのかわいらしい高山植物の花が咲き、トレッキングの名所となりますが、冬は日本海からの強い季節風を受け、湿った重い雪が大量に降ります。
2022年で創設67周年となる当基地は、中空エリア(関東地区を含む宮城県から和歌山県の広範囲)を守る基地の1つで、第46警戒隊が配置されている空自入間基地の分屯基地。監視小隊、通信電子小隊、基地業務小隊、総括班の部隊が所属しています。
主な任務は警戒監視で、国籍不明機の接近などに即座に適切な対応ができるよう、24時間365日態勢で監視しています。山の中の基地なので周りに店などがなく、隊員たちは皆、隊員食堂でのバラエティーに富んだ毎日の食事を楽しみにしています。
今回紹介するメニューは、10年以上前から地元で人気の「佐渡天然ブリカツ丼」をアレンジしたもの。
本来は佐渡産の米粉を使った衣で揚げた天然ブリを、特製あごだししょうゆたれにくぐらせて佐渡産米の上にのせたシンプルな丼ですが、揚げものでもさっぱり食べられるようご飯の上に青ジソを敷き、紅ショウガを添え、刻みのりをふりかけています。
ブリカツとしょうゆたれの相性が抜群
「ブリカツの歯応えと、しょうゆたれの味が食欲をそそり、青ジソの風味と刻みのりで味の変化も楽しめて、最高です!」【1曹/男性・40代】
「脂ののったブリカツと青ジソや紅しょうがのさっぱりした味わいが絶妙。サクサクと歯触りも良く、ご飯が進みます!」【2曹/男性・30代】
「中はふっくら、外はサクサクのブリカツが絶品! これと甘じょっぱいしょうゆたれの相性が抜群で、やみつきになります」【3曹/男性・20代】
「食欲と士気が上がる献立を提供したい」
【航空自衛隊佐渡分屯基地 中部航空警戒管制団 第46警戒隊 基地業務小隊厚生班 樋口智也】
新潟県南魚沼市出身で、入隊したのは2004年。専門的な技能を持ちたいと考え、栄養学校へ入学して栄養士資格を取得する航空自衛隊の制度に応募し、2年間頑張りました。念願かなって、昼食で約90人が利用する当分屯基地に栄養士として配属されて3年目になります。
主な任務は食材選び、献立作成、栄養バランスの計算など。現場の調理員と直接話をして意思疎通を図っています。予算の制約がある中、少しでも食欲と士気が上がる献立を提供したいですね。実務経験を積んで、ステップアップしていきたいです。
「ブリカツ丼」のレシピを紹介!
<材料(2人分)>
ご飯:丼2杯分
ブリ(切り身):2切れ
しょうゆ、酒:各大さじ1/2
揚げ油:適量
青ジソ:4枚
刻みのり、紅ショウガ:適量
【A】
水、しょうゆ:各1/4カップ
みりん:大さじ2
砂糖:大さじ1/2
【B】
小麦粉、溶き卵、パン粉(あれば米粉フレーク):各適量
<作り方>
1:ブリは1切れを3〜4つに切り、しょうゆ、酒をふりかけて15分ほど置き、下味を付ける。
2:鍋に(A)を合わせて弱火にかけ、ひと煮立ちさせ、火を止める。
3:(1)の水気をペーパータオルなどで拭き、(B)の小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせ、パン粉(米粉フレーク)をまぶして衣を付ける。
4:揚げ油を180℃に熱し、(3)を揚げ、油をきったら熱いうちに(2)のたれにさっとくぐらせる。
5:丼にご飯を盛り、青ジソを敷き、(4)をのせる。好みでさらに残ったたれをかけ、刻みのり、紅ショウガをのせる。
※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました。
注目食材:ブリ
成長とともに呼び名が変わり、70センチメートル以上に成長したものがブリ。脳を活性化させ、学習や記憶能力の向上に役立つとされる不飽和脂肪酸が豊富な上、うまみ成分を多く含む。天然物はたっぷりと脂を蓄えて南下する12〜2月が旬で、この時期のものを寒ブリと呼ぶ。
特に佐渡島の東方にある両津湾で水揚げされ、10キログラム以上のブリのうち、船上で血抜きし、急速冷却したものは「佐渡一番寒ブリ」と呼ばれ、高級魚として扱われている。
(MAMOR2022年7月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/山川修一(扶桑社) 写真提供/防衛省>