わが国の危機に際して自衛隊が防衛活動するときに、国民の理解と協力、在日アメリカ軍との連帯が不可欠だ。また、日ごろから、有事に備えて防衛施設の充実を図ることも大切である。そのために、日本各地で、表舞台に立つことなく黙々と汗をかくのが「地方防衛局員」たち。
そんな、地方防衛局員が、どんな思いを込め、どのように仕事しているかを知るために、全国の防衛局であった事実を基に、分かりやすい物語にしたマンガでお届けしよう。
「演習場周辺の敷地管理」の巻
北海道防衛局(帯広防衛支局)合掌課長補佐の場合
演習場周辺を活用し地域産業にも貢献
北海道防衛局帯広防衛支局の管轄区域は北海道全体の面積の約40パーセント、3万1000平方キロメートルを占めており、その中に陸上自衛隊演習場の中で最大面積を持つ矢臼別演習場(約168平方キロメートル)がある。
演習場から発生する騒音対策として、これまでに演習場周辺の土地約24.5平方キロメートルを買い入れ「緑地帯その他の緩衝地帯」とすることを目的とした国有地(周辺財産)として同支局が管理している。これらの土地の大部分(約15.9平方キロメートル)においては、酪農地帯である地元の要請に応えて、牧草地として管理を行っている。
同支局では状況に応じ新しい牧草の種子をまくなど、酪農王国である北海道・道東地方の地域振興・発展に貢献している。
【合掌幸児 北海道防衛局帯広防衛支局 施設課 課長補佐】
1992年入局札幌防衛施設局事業部、北関東防衛局企画部などを経て現職
「日米の交流事業計画」の巻
東北防衛局門井室長補佐の場合
地域の交流のためリモート開催を計画
地方防衛局の業務には、地域住民と在日アメリカ軍の相互理解のためのイベントを企画することもある。
東北防衛局は、在日アメリカ陸軍車力通信所の軍人と地域住民の親睦を深める機会を作ろうと、通信所のある青森県つがる市の小学生との交流企画を計画。在日アメリカ軍人と児童が一緒に取り組めるグループワークとして考えたのが、「かかし作り交流プロジェクト inつがる」。
2017年から開始されたこのイベントは「英語は難しいけれど、アメリカ人は明るい人が多くて楽しかった」(児童)、「子どもたちと触れ合うことができ良い経験となった」(在日アメリカ軍人)など双方から喜びの声が。だが、新型コロナウイルスの影響で20年は開催中止になり、21年はリモートで開催することに。
児童はかかしの作り方をイラストや覚えたての英語を使い軍人に説明し、軍人が指示に沿って制作。翌日、児童がデコレーションを担当し、かかしを完成させた。モニター越しではあったが積極的に会話をし、心温まる交流の機会が作れた。
【門井邦夫 東北防衛局 企画部地方調整課 地方協力確保室室長補佐】
1989年入局。青森県出身。キャンプや登山などアウトドアが趣味。1男1女の父親でもある
<文/古里学 マンガ/やまがき秀>
(MAMOR2022年4月号)