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     海上自衛隊を今、まさに動かしている隊員たちは、どんな点に引かれながら日々任務に励んでいるのでしょう? 艦艇大好き女子として『てるづき』を訪れた内田理央さんが、護衛艦『てるづき』の協力を得て、いつも乗組員たちがやっている艦艇作業をやってみた。

    画像: 内田理央が護衛艦の“艦艇作業”にチャレンジ「夢がかなってうれしい」

    【護衛艦『てるづき』】
    弾道ミサイルの警戒・対処にあたる護衛艦を敵の航空機などの攻撃から守る役割を担う
    <SPEC>基準排水量:5050t 全幅:18.3m 全長:151m 速力:約56㎞/h 深さ:10.9m 喫水:5.4m

    憧れの護衛艦に乗って艦艇作業、夢みたい!!

     艦艇作業とひと言でいっても、熟練した技術が必要なものから力仕事まで、内容はさまざま。今回、初めて護衛艦に乗るという内田さんのために、乗組員らが提案した体験作業は「大砲の砲身清掃」と「もやいで船止め」と「方位を読み海図に記入」の3つ。指導を受ければ誰でも行える、危険の少ない作業だ。聞いたことも見たこともない、護衛艦ならではの作業に、興奮を抑えられない内田さん。

    「旧軍の戦記などを読んで軍艦に興味を持ち、最近ではネットで海自の動画を見てはイメージを膨らませていたので、護衛艦に乗る夢がかなってめちゃくちゃうれしいです!

     見るもの全てが新鮮で舞い上がっているのですが、隊員の皆さんにいろいろ教えてもらいながら、任された作業はきっちりやり遂げたいです!せっかくのチャンス、『てるづき』の乗組員の一員になったつもりで頑張ります!」と意気込んでトライした内田さんですが、その結果は……?

    Mission.1:大砲の砲身清掃

    画像: Mission.1:大砲の砲身清掃

    「イチ・ニ」の号令でブラシを押し引き

     護衛艦『てるづき』が装備する主砲「62口径5インチ砲」。射撃した後の砲身には火薬の燃えかすなどが付着しており、そのままにしておくと砲身の寿命が縮まるため必ず掃除する。専用の「筒中(とうちゅう)ブラシ」を4、5人で持ち、約8メートルにも及ぶ砲身に挿入して掃除する。

     奥から手前に、数段階に分けて各20~30回ずつブラッシングして汚れを落とし、仕上げはブラシにウエス(雑巾)を巻いて洗浄油を付けて拭き上げる。

    『力作業もみんなで協力して行うと楽しいです!』

     力仕事でとても大変な作業だという砲身清掃。内田さんは「仲間と一緒に行う雰囲気が楽しいですね。皆さんが助けてくださったので、私はほとんど力を入れてません(笑)」と感想を。

     隊員は「みんなで息を合わせて動かすのがコツなんです。今日は私たちが張り切ってやってしまったので、内田さんは軽く感じたのかもしれませんね」とのこと。

    Mission.2:もやいで船止め

    画像: Mission.2:もやいで船止め

    ロープを素早くボラードに巻き付け船が動かないようにしっかり固定

     入港した艦艇は、岸壁に設置されている大きな杭や、停泊中の艦艇の甲板などに設置されている突起物(どちらも「ボラード」と呼ぶ)に「もやい」と呼ばれるロープを巻き付けて固定する。『てるづき』で使っているもやいは細くて軽いタイプ。ナイロン製で丈夫、しかも水に浮くという優れものだ。艦長が艦の停泊位置を決めたら迅速に作業。もたもたしていると波で艦が動き、しっかり係留できないのだ。

    『体重を思いっきりかけ必死に引っ張りました!』

     手本を示してくれたのは小柄な女性自衛官。その姿を見て自分にもできそう! と安心したという内田さん。「ロープを8の字に巻くやり方を『ボラード止め』といいます。引っ張りながら素早く巻いていきます」との隊員からの指導に、「私より体が小さい隊員が、軽々とやっていたので、私もできるとなめてました(笑)。思った以上に大変な作業で、2回巻いたらもうヘトヘトに……」と内田さん。

    Mission.3:方位を読み海図に記入

    画像: Mission.3:方位を読み海図に記入

    羅針儀などを用いて方位を読み、自艦の位置を正しく把握する

     海上では安全な航海のため自艦の位置を正確に把握することが大切。GPS(全地球測位システム)も搭載されているが、故障や電波妨害があっても困らないように、普段から羅針儀などを使って方位を読み、海図上に自艦の位置や航路を記入する作業を行う。

     位置の特定は「交差方位法」による。山の頂や建造物など近くの固定された目標2カ所以上を選んで方位を測り、現在地を算出する方法だ。ちなみに、海上で目標物がない場合には星を基準に「天測」を行う。

    『航海士になった気分を味わえました!』

     羅針儀を使って方位の測定を教わる内田さん。「今はナビがあるので、まだこんなアナログな方法で測定してるのは驚きでした。いざというときのために手作業でもできるようにしているのはすごいですよね」との感想に、隊員は「どんな場合でも任務に支障を来さないよう、備えておくことは大切なんです」と説明してくれた。

    「ちょこっとだけの体験なら楽しいと思えた作業でしたが、これが任務となり、毎回やるとなると大変ですよね~」

    (MAMOR2022年4月号)

    <文/臼井総理 写真/鈴木教雄 写真提供/防衛省>

    これからの新・海上自衛隊

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