鳥取から浜松へ。2021年10月、部隊の引越しという貴重な経験をした第41教育飛行隊の面々に、今の率直な思いを聞いた。合わせて、それぞれの基地近くにあるお店からのメッセージも紹介しよう。
移転後もやることに変わりなし。教育飛行隊同士の相乗効果に期待
【第41教育飛行隊 教育飛行隊長2等空佐 小齋圭司】
浜松基地への移動の効果は、第1航空団の持つ教育ノウハウを共有し、教育要領について連携を密にすることで、より効果的で質の高い飛行教育が実現できる点にあると考えます。教官や学生にとっては、第41教育飛行隊は、これまで近くに基本教育を行う部隊がいなかったので、第31、32両教育飛行隊と同じ場所になることがいい刺激となるでしょう。
私は教育において、日ごろから操作や判断の「根拠」を持つことの重要性を強調しています。単に手順や操作を暗記するのではなく「なぜこの手順をこのタイミングで行うのか」など、1つひとつの意味を理解した上で操作・判断することが、今後実戦部隊においても生きてくると考えています。浜松に来てもやることは基本的に変わりません。これからも優秀でたくましいパイロットを育てるため全力を尽くします。
学生にとって今回の移転は将来へのいい経験になるでしょう
【第41教育飛行隊 教官3等空佐 樋口洋平】
浜松への移動では新たな空域で飛行訓練に臨むため、教官としてさまざまな準備をしてきました。事前に浜松の空域を慣熟飛行して教育の環境を確認し、教材も整えましたので、学生たちには安心してついてきてほしいですね。
今回の引っ越しでは、学生たちも多くの作業を担い、とてもよくやってくれたと思います。彼らも教育期間中の移動に不安があったはず。訓練の場、生活の場が変わることはストレスになりますから。私も、彼らの不安を解消するため今まで以上に声を掛け、気を配ってきました。私たち輸送機パイロットは、全国、いや世界のあちこちを飛びます。降りた経験のない場所に行くこともあります。その意味では、基本操縦課程で2つの基地を経験することは、彼らが今後実戦部隊で活躍する上でもいい経験になると思います。
引っ越しの経験は大変ですが貴重です
【第41教育飛行隊 学生2等空尉 家入清】
所定の訓練のうち、美保で6割ほど終えて浜松に移動しました。部隊の移転に関わることは、教育が始まる際に聞いていたので心構えはありましたが、実際に訓練を続けながら引っ越しを並行して行うのは大変でした。まだ浜松での飛行訓練を行っていないので不安もあります。空域の違い、飛行場の見え方や地形目標、周囲を飛行する航空機の状況も変わりますので、研究し直しですね。実際に飛んで慣れるまでは大変そうだなと思っています。
あとは次に教育を受ける人たちのため、私たちが使い始めた新しい教場や、隊舎をきれいなまま維持しないといけないと考えています。今後の抱負はまずは同期と協力してウイングマークを取得すること。同期はフライトのことからプライベートなことまで何でも話し合える心強い仲間です。そして現場の部隊で活躍すること。操縦士としても自衛官としても信頼される人物になれるよう、これからも努力を続けます。
ようこそ浜松へ!地元のお店からメッセージ
心温まる料理で元気になってください!「桃園」
青山誠志さん(左)、正江さん
浜松基地近くの中国料理店。隊員にはランチやコース料理が人気。「2週間ごとに替わるランチを食べに来てください!」
どんな髪型でもオシャレに!相談してね「理容室HELC hair」
米島成和さん(右)、ひとみさん
若者向けのヘアスタイルを常に研究している浜松基地内の理容店。「オシャレに仕上げるので来てくださいね」
基地でも販売中のスイーツを召し上がれ「サン・ラファエル」
長島貴行さん(左)、古谷歩さん
隊員の支持も高い人気洋菓子店。「当店自慢のスイーツは浜松基地でも出張販売中。甘い物を食べて訓練頑張ってくださいね」
体力を付けるためウナギを食べに来て「うなぎ割烹 康川」
河合繁晴さん
浜松市内でウナギの養殖も手掛けている、うなぎ割烹店。「ようこそ浜松へ。日ごろの体力作りのためにうちのウナギをどうぞ」
いままでありがとう!学生が通ったお店のメッセージ
何年にもわたってありがとう「吉良常」
松本哲司さん
美保基地近くの海鮮料理店。学生が勉強などでも場所を借りていた。「わが子が巣立ったような気持ちです。また顔を見せに来てください」
大空に向かって羽ばたけ!「Yショップ美保基地売店、米子クリーニング店」
(写真左より)藤井典子さん、二島洋子さん、松本千花さん
隊員が常用していた美保基地内の購買とクリーニング店。「新天地での活躍を祈っています」(藤井さん)
寂しいけど、みんな頑張れ!「杏庵」
吉田敏明さん(左)、美保さん
隊員が宴会などで利用していた美保基地近くのすし店。「T-400が見られなくなって寂しいです。新天地の浜松でもみんな、頑張れ!」
<文/臼井総理 撮影/増元幸司>
(MAMOR2022年2月号)