未来の航空機搭乗員を目指し、海上自衛隊の若き航空学生は小月教育航空隊に集う。ここで過ごす濃密な日々は全てウイングマーク取得のためだ。
英語や不時着水脱出訓練まで 搭乗員の基礎をここで学ぶ
海自パイロットになるには、高校または大学卒業後に航空学生として小月教育航空隊に入隊する道、または防衛大学校および一般大学から広島県江田島の幹部候補生学校で幹部となった後に小月教育航空隊を経て第201教育航空隊で教育を受ける道の2つの道がある。そのうちの1つ、航空学生の教育期間は約1年半だ。
航空学生の教育内容は、英語、数学や防衛学などの座学だけでなく、自衛官としての規律や心構え、体力を養う訓練も行う。2年次からは、卒業後に本格的に始まる飛行訓練に備えて航空力学、気象などの専門科目が加わる。不時着水脱出訓練など、航空機搭乗員として必要な訓練実習も行われる。
ぎっちり詰まった教育を受け、各種行事を通して成長する
航空学生の1日は、朝6時の起床ラッパとともに始まる。点呼、体操、朝食のあと、7時45分に全員が整列して人員報告や講話の練習などを行う課業整列を行い、その後行進して教室へと向かう。8時10分から「教務」と呼ばれる授業開始。お昼の休憩を挟み午前中4時間、午後3時間の教務の後、16時からはクラブ活動。ファンシードリルもこの時間に練習する。
こうしたルーティンの教務以外に、1年を通して多くの年間行事が実施される。20キロメートルの行軍訓練や海自隊員なら避けて通れない遠泳、短艇競技などの体力系の競技会。航空機の体験搭乗、部隊研修など、航空学生でしか味わえない行事も多い。
厳しい中にも濃密な日々で自己を研さんし、仲間との絆を深めた航空学生は1年半後、さらなる高みを目指して第201教育航空隊へと進む。
(MAMOR2021年3月号)
<文/古里学>