• 陸上自衛隊には、「化学科」という「NBC兵器」の脅威から日本を守るために活動している職種がある。NBC兵器とは、核(Nuclear)・生物(Biological)・化学(Chemical)物質を使用した、目に見えない特殊兵器のことで、対処するには高度な専門知識と特殊技能が求められる。そのため、化学科の隊員は資格を必要とし、検定を受けなければならない。この検定を実施するのが、対NBCの専門部隊である第1特殊武器防護隊だ。マモルは、練馬駐屯地(東京都)で行われた検定の現場を取材。車両を使った除染作業検定に密着した。

    除染用の特殊車両で広範囲の除染作業検定

    画像: 【検定官が受検者に除染の概要を説明】車両による除染作業の検定の前に、受検者たちは検定官から除染作業の概要の説明を受ける。汚染物質や汚染地域、汚染地域に行くまでの車両の速度などが指示された

    【検定官が受検者に除染の概要を説明】車両による除染作業の検定の前に、受検者たちは検定官から除染作業の概要の説明を受ける。汚染物質や汚染地域、汚染地域に行くまでの車両の速度などが指示された

    基礎的な知識を問う筆記試験、汚染物質の検知機器を操作する実技検定、完全防備で行う除染作業検定…。これに続いて行われるのが、車両を使用した除染作業検定だ。検定官から除染作業の流れについて説明を受けた受検者が2人1組となって除染車の後部に乗り込んだ。

    【汚染表旗汚染された場所を示す標識】化学兵器などの特殊武器で汚染された場所を示す標旗。黄色地に「GAS」と表記された旗は有毒ガス、青地に「BIO」と表記された旗は生物兵器で汚染された場所を示す

    有毒ガスによる汚染を示す「GAS」と表記された「汚染標旗」が置かれた地点から、除染がスタート。

    車両の後部に立った2人が、スプレーガンを左右に動かしながら道路やその周囲の草木に除染剤を噴霧する。汚染源となる砲弾が置かれた地点に着くと、1人が道路上に降り立ち、スプレーガンでその一帯に念入りに除染剤を吹き付けて洗い流す。

    【汚染源をブラシで入念に洗浄】汚染源の砲弾の周囲をデッキブラシでゴシゴシとこすって洗浄し、特殊武器である砲弾を道路脇に移動する。その作業を終えた受検者が乗車する際には、靴の裏に車上の隊員から除染剤が噴霧された

    それからデッキブラシで汚染源の周囲をこすって洗浄し、砲弾を道路の端に移動する。汚染標旗のある汚染地域の終点に到着すると、受検者たちは車道に降り、除染作業に使用した車両や器材、お互いの全身など、全てを除染する「完全除染」を実施。

    画像: 【検定官が受検者の除染作業をチェック】車両による除染作業の検定では、検定官がその作業の一部始終をチェック。また、車両の後方には1特防の隊員たちが受検者たちの活動を見学。彼らに対する評価を口にしていた

    【検定官が受検者の除染作業をチェック】車両による除染作業の検定では、検定官がその作業の一部始終をチェック。また、車両の後方には1特防の隊員たちが受検者たちの活動を見学。彼らに対する評価を口にしていた

    その後、除染の取りこぼしはなかったか、装備品の取り扱いや作業手順に間違いはないか、迅速な行動ができたかなど、検定官の講評に、受検者たちが真剣に耳を傾けた後、検定の全項目が完了した。

    広範囲の除染作業検定で使用した装備品

    除染車3形(B)

    広範囲を迅速に除染できる特殊車両

    車両による除染の検定では、専用の特殊車両「除染車3形(B)」が使用された。除染車3形の荷台部分には、スプレーガンに除染剤を供給する、2500リットルもの容量がある大きな液体タンクを装備。

    また、除染剤を溶かすために湯を沸かす加温装置や散布ノズルなどを搭載している。機動力のある車両によって除染剤を強力に散布するため、広い範囲を迅速に除染することが可能だ。

    SPEC
    乗員:2人 全長:約6.9m 全幅:約2.5m 全高:約2.9m

    (MAMOR2026年8月号)

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    <文/魚本拓 写真/荒井健>

    ー検定を突破するぞ!ー

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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