• 各地で親しまれている日本の夏の風物詩「盆踊り」が、近年、海外でブームを起こしている。マンガやアニメ、ゲーム、ラーメン、和食などと同様、盆踊りは、今や“Bon Dance”として、日本文化の象徴として世界中で愛されているのだ。国境を超えた交流の場として、人々を結びつける世界の盆踊り事情を紹介しよう。

    なぜ世界で盆踊りが大流行しているのか?

    日本の伝統的な文化である盆踊りの輪が、なぜ国境を超えているのか?

    日本盆踊り協会の高木理恵子専務理事は、「太平洋戦争の前から、移住者がルーツである日系移民社会で行われているというベースの上に、近年のインバウンド観光客の増加に呼応するかのように、マンガやすし同様、世界中で起きている“新ジャポニズム・ブーム”の波に乗り、伝統文化として紹介される機会が増えていることが挙げられます」と、その理由を説明する。

    盆踊りは、本来は先祖の霊の供養のためお盆(旧盆・8月中旬)に行われる踊りだが、外国人にはどこが魅力的なのだろうか。

    「盆踊りは『来る者、拒まず』の精神で、振り付けも簡単。見よう見まねですぐに踊りの輪に入れます。日本の伝統文化を気軽に体験でき、異なる背景・価値観を持った個々人が踊りを通して1つの輪になれることがとても新鮮で、エクスペリエンスを重要視する海外の方に受けたのだと思います」と高木氏は説明してくれた。

    ブラジル:流行の“マツリダンス”で3万人が大熱狂

    画像: J-POPに合わせ踊るマツリダンス参加者たち。やぐらは盆踊りの象徴として会場に設営され、参加者はステージと向かい合って踊っている(写真提供/ロンドリーナ市庁舎)

    J-POPに合わせ踊るマツリダンス参加者たち。やぐらは盆踊りの象徴として会場に設営され、参加者はステージと向かい合って踊っている(写真提供/ロンドリーナ市庁舎)

    ブラジル南部の都市ロンドリーナは戦前から多くの日本人が入植し、現在も日系人が多い地域。

    このブラジル日系社会で1990年代に、若者に日本文化を継承するために日系コミュニティーが始めたのが、伝統的な盆踊りに現代的なダンスやポップスの要素を加えて創作された「ボンオドリ・ノーヴォ(新しい盆踊り)」だ。

    生演奏で男女の歌い手がJポップなどを歌い、舞台上のみこしや太鼓と踊りで盛り上げる新しい盆踊りは「マツリダンス」と名を変え、親しまれている。

    2003年から始まり、今や3万人以上を動員する日系文化イベント「ロンドリーナ祭り」でもマツリダンスは催しの目玉。25年には日本のシンガーで、日本ブラジル友好交流親善大使も務める相川七瀬さんが特別ゲストとして招待されている。

    マレーシア:世界最大級といわれる熱気あふれる盆踊り

    画像: 2025年の盆踊り。近年はたこ焼きやラムネなどの屋台グルメのお店も並ぶ文化交流や体験の場にもなっている(写真提供/クアラルンプール日本人会)

    2025年の盆踊り。近年はたこ焼きやラムネなどの屋台グルメのお店も並ぶ文化交流や体験の場にもなっている(写真提供/クアラルンプール日本人会)

    マレーシアの盆踊りは、クアラルンプール日本人学校で学ぶ子どもたちに、日本文化を体験してもらう行事として1977年に始まった。

    その後、両国の友好イベントとして発展し、2026年に50回目を迎える。この盆踊り大会は、親日家の多い同国民にも人気で、22年には過去最高の約5万人の来場者を記録。中央のやぐらでは現地日本人学校の生徒が太鼓演奏や踊り手として盆踊りをリードし、来場者は見よう見まねで踊りを楽しむ。

    多民族国家であるマレーシアだが、盆踊りはクアラルンプールの夏の風物詩として認知され、日本への関心の高さや多文化共生の理解を深めるきっかけとして参加者も増えている。

    アルゼンチン:深夜まで踊り続ける南米最大級の盆踊り

    画像: 会場では浴衣の着付けなど日本文化の体験イベントも開催され、浴衣姿で盆踊りに参加する人も多い(写真提供/KAZ)

    会場では浴衣の着付けなど日本文化の体験イベントも開催され、浴衣姿で盆踊りに参加する人も多い(写真提供/KAZ)

    アルゼンチン東部、ブエノスアイレス州のラ・プラタで現地の日系コミュニティーが日本の伝統文化や慣習などを広めるイベントとして1999年から始めた「Bon−Odori」。

    南半球の夏にあたる毎年1月に開催。当日は会場までのバス路線が増便、運行時間も延長され、約1万5000人が参加する地域の大イベントだ。盆踊りは例年20時ころにスタート。

    リズミカルな太鼓が響き始めると参加者はわれ先にと広場に集まり、一斉に踊り始めるのが特徴だ。音楽は日本の伝統的な楽曲から隣国ブラジルの「マツリダンス」の影響もあり、日本のアニメソングなど幅広い楽曲で深夜まで踊りが続く。

    (MAMOR2026年8月号)

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    <文/編集部>

    自衛隊で盆踊り

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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