どんな部隊:全国の主要な基地に所在する救難隊に配属される
ヘリコプターからホイスト装置(機体の側面に取り付けられた電動または油圧式の巻き上げ機)などを使って着水し、要救助者をストレッチャーに乗せ、ヘリでつり上げて救出する洋上救出訓練
航空総隊隷下の航空救難団は、航空自衛隊入間基地(埼玉県)に司令部があり、自衛隊機に事故などが発生したとき、乗員の救助活動などを行う組織で、現在は全国10カ所の基地に所在する救難隊および4カ所のヘリコプター空輸隊、小牧基地(愛知県)に所在する整備群および救難教育隊をもつ。
救難員は、救難隊および救難教育隊に所属している。
任務の中身:過酷な状況でも出動する人命救助の最後のとりで
水中での不測の事態(シュノーケルが外れるなど)を、バディと協力して対処する訓練も行う
救難員の主任務は、自衛隊の航空機に事故が発生した場合に現場に急行し、乗員の捜索・救助を行うこと。
現場が海であれ山岳地帯であれ、どのような状況でも出動できるよう、救難員は救難員課程などで学んだ救難・救命に関する高い専門知識と、高い身体能力を有しており、「人命救助の最後のとりで」と呼ばれている。
そのため災害発生時に派遣されることも多い。航空救難団の2026年3月までの累計救助者は、航空救難で256件・救助者154人、災害派遣で2733件・救助者7466人に及ぶ。
求められる能力:荒天、波浪の中で泳ぐ技術と体力が必要
ドライスーツの上に重ねるジャケットには、無線機やライトなどを収納している(写真/赤塚聡)
救難員は現場にヘリコプターで向かい、海の場合は防水性の高いドライスーツなどに、水上でも浮力のあるストレッチャーや各種ストラップ、水中用コンパス、ライト、水深計など救助用の装備品を所持して、人員を上げ下げするホイスト装置などを使ってヘリから降下し着水、泳いで要救助者のもとへと行く。
ヘリからの吹き下ろしの風に加え、遭難現場は総じて荒天で大波が多く、その中で要救助者を抱え、立ち泳ぎや無呼吸での潜水などの技術が求められる。強きょう靭じんな体力が必要なのは言うまでもない。
訓練で大変なこと:人の命を預かる任務だから厳しい訓練からも逃げない
救難員を育てる教育課程は、自衛隊でも指折りの厳しさで知られている。
「基礎泳力と体力向上を目的とした訓練はとてもきついです」と木下2等空曹が語るように、その訓練は過酷そのもの。ただ泳ぐだけでなく、潜水、長時間の立ち泳ぎ、要救助者の引き上げなどが行われる。
「それでも厳しさから逃げて、救える命が救えないほうがもっと恐ろしいと感じています」
取材した人:芦屋救難隊 救難員 木下2等空曹
救難員歴は4年2カ月。得意な泳法はクロール。「水中では体力や技術だけでなく、気持ちも試されます。水泳は自分の成長を実感できるものです」
(MAMOR2026年7月号)
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<文/古里学 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
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