• 占領された島しょ部に上陸し奪回する陸上自衛隊の「水陸機動団員」。水陸機動団の主に普通科隊員は、主力部隊として海や空から敵の占領地に侵入し、奪還をはかる。特に海からの侵入は、敵に見つからないよう隠密かつ迅速に行うことが重要だ。水陸機動団 第1水陸機動連隊 本部管理中隊 狙撃小隊 木山2等陸曹に訓練事情を聞いた。

    どんな部隊:島しょ部防衛の最前線を担う自衛隊きっての精鋭部隊

    訓練にて、占領された領土に海から侵入する水陸機動団員。上陸した後もすぐさま警戒にあたる

    水陸両用作戦を展開する水陸機動団は、陸上総隊隷下の部隊として2018年に創設され、相浦駐屯地と竹松駐屯地(ともに長崎県)などに所在する。「日本版海兵隊」ともいわれる、特殊な任務を遂行する自衛隊屈指の精鋭部隊だ。

    任務の内容:あらゆる手段を使って敵地へ上陸し奪回する

    洋上で小銃を構えながら、上陸のタイミングを計る。敵に見つからないよう隠密に行動するのが鉄則だ

    水陸機動団の基幹部隊である水陸機動連隊の普通科隊員は、航空機による空からの侵入・上陸が敵に見つかりやすく困難な場合に、海から隠密に敵地へと接近する。状況や作戦によってその侵入経路は、ヘリコプターから隊員が海上に降下し着水後は泳いだり、沖合の艦艇から発進されるボートやLCAC、AAV7での上陸など、さまざまな手段を使う。上陸後は、速やかに人員、器材を配置し、作戦を展開できる態勢を取る。

    求められる能力:さまざまな状況に応じる泳ぎ。共通するのは早く、速やかに

    画像: 戦闘フィン(写真/村上淳)

    戦闘フィン(写真/村上淳)

    隊員は、推進力が増すように先割れになっている戦闘フィンを使っての泳ぎや潜水、また攻撃を受けて転覆したボートや水陸両用車からの緊急脱出など、状況に応じてフル装備で泳いだり、負傷者を抱えて泳いだりと、柔軟な泳ぎが必要となるが、木山2等陸曹によると、「上陸しない限り、作戦は失敗」ということで、常に判断力と隠密性、迅速性が求められるとのこと。そのためプールはもとより、洋上でも訓練を繰り返す。

    訓練で大変なこと:きつい、つらいは当たり前。あえて怖いのはサメくらい

    ボートで上陸する水陸機動団員たち。ボートが目立つ上、人数も多いので、より静かに、速やかに、慎重に行動する

    最前線に泳いで潜入、あるいはボートで潜入するという厳しい条件下で任務を遂行するため、その訓練は過酷だ。だから訓練がきついとか大変だとか感じるのは当たり前のことだそうで、「強いて怖いものを挙げるとするなら、海でサメなどの危険生物と遭遇するくらいですかね」と木山2曹は言う。

    ボートで上陸する水陸機動団員たち。ボートが目立つ上、人数も多いので、より静かに、速やかに、慎重に行動する

    取材した人:水陸機動団 第1水陸機動連隊 本部管理中隊 狙撃小隊 木山2等陸曹

    水陸機動団員歴は8年。得意な泳法はフィンを装着して泳ぐ「フィン泳」。「水泳は静寂を裂かず、水と同化し、波紋すら残さず、ただの移動ではなく、敵地へ至る侵入の技と心得ております」

    (MAMOR2026年7月号)

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    <文/古里学 写真提供/防衛省>

    ー国防のスイマーたちー

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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