過去最多14カ国が参加。強風のため一部展示が中止に
視察に訪れた小泉防衛大臣。迷彩服に空挺団のマルーン色の帽子を着用。「平和と安定は一国のみでは実現できない」と多国間協調の重要性を語った
2026年1月11日、陸上自衛隊習志野演習場(千葉県)で、第1空挺団による降下訓練始めが行われた。これは1969年から始まった年初の恒例行事で、74年から一般公開も開始。
1年間の降下訓練の安全を祈願し、近年は同盟国・同志国などの空てい部隊も参加する大規模な行事だ。この日はアメリカ軍をはじめ、これまでで最多の14カ国の部隊が参加した。
「国防の最前線に立ち、常に危険と隣り合わせの訓練をこなす第1空挺団と、その隊員を支えるご家族は国の宝であり誇りだ」という小泉大臣の訓示を聞く第1空挺団の隊員たち
訓練展示は日本の離島に侵攻した敵に対し、落下傘による空てい作戦を実施する第1空挺団をはじめ、陸・海・空各自衛隊と各国軍が連携して島しょ部の防衛を果たすというシナリオの下、実施された。
上空からの落下傘降下やヘリコプターからのロープ降下、戦車や機動戦闘車も登場するが、残念ながら当日は強風のため落下傘降下など一部の展示が実施されなかった。この日、視察に訪れた小泉進次郎防衛大臣は行事の最後に隊員を激励し、自衛隊と参加国の一体感をアピールした。
予行では実施された落下傘降下
C-130Hから次々と降下する空挺隊員。各機20人ずつ、5機から100人もの隊員が次々と落下傘を着けて大空へ飛び出した
有事の際などに、日本中のあらゆる場所に落下傘で降下し、作戦を展開する陸上自衛隊第1空挺団は、3つの普通科大隊などで編成される陸自唯一の空挺部隊だ。その降下訓練始めは、第1空挺団長とアメリカ陸軍指揮官による日米指揮官降下からスタート。
続いて日章旗と空挺団旗を掲げた第1空挺団員とアメリカ軍の空てい隊員が星条旗を掲げて降下するセレモニー、最後に訓練展示に参加した同盟国・同志国軍などの各国指揮官が落下傘降下をする「指揮官降下展示」が披露された。
空てい作戦では、指揮官たちも部隊隊員と共に現地に降下するのだ。各国指揮官が見事な落下傘降下を披露したのち、習志野演習場を「島」に見立て、「敵が侵攻した島しょ部を防衛する」シナリオに沿った本格的な地上訓練展示が開始された。
100人の隊員が落下傘で次々に降下
作戦地域に次々と降下する落下傘。空挺団による落下傘降下。東西約1キロメートル、南北約600メートル程度の狭い習志野演習場に、隊員たちは見事な落下傘降下を披露した
訓練展示は空てい作戦、増援を行うヘリボン作戦、即応機動連隊など主力が上陸する地上作戦、他国軍の来援の4つに分かれ、陸・海・空各自衛隊の共同作戦として展開された。
まず海上自衛隊のP−1が島しょ部周辺を飛行し、安全に落下傘降下ができる地点などの情報を収集。この情報に基づき主力部隊の落下傘降下の前に、事前潜入部隊が自由降下で作戦地域に降下した。
これは高度約2000メートルの高高度から専用の落下傘を用いてスカイダイビングの要領で隠密行動する降下法だ。目標地点に着地した事前潜入部隊は作戦地域を偵察し、続いて落下傘で降下する隊員の支援を行う。
目標地域に正確に着地。落下傘で降下した隊員は目標地域に次々と着地。落下傘降下は作戦成功のための手段の1つ。隊員たちは続けて戦闘行動の準備を進める
主力部隊の落下傘降下の前には、航空自衛隊のF−2や海自護衛艦による砲撃(展示では爆発音などで表現)支援で、事前潜入部隊が発見した敵装甲車を撃破。
AH−1Sも火力支援を行い、降下地域の安全が確保されたタイミングで第1空挺団の主力部隊がC−130Hから落下傘で降下。高度約340メートルから次々と飛び出した100人の隊員の落下傘が開き、演習場の空に大輪の落下傘の花を咲かせる見事な光景が展開された。
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(MAMOR2026年5月号)
<文/古里学 写真/荒井健 写真提供/防衛省>
ー降下訓練始め予行ー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
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