「防衛大学校」は将来の幹部自衛官を養成する防衛省の教育機関だ。
どんな学校で、どのくらいの学生が在籍し、どんなことを学んで、どんな生活を送っているのか。基本的なことを紹介しよう。
将来の幹部を養成する歴史ある教育訓練機関
防衛大学校は、将来の幹部自衛官を目指す学生の教育・訓練を行う「防衛省の施設等機関」であり、海外の士官学校にあたる。国内で唯一、国防論や軍事史などの「防衛学」が学べる教育機関で、一般大学に準拠した専門科目の履修が必要な4年間の本科、より専門的な教育が受けられる大学院相当の研究科で構成され、本科の卒業生は学士号を取得することができる。
開校祭とは一転、真剣な面持ちで「防衛学」の授業を受ける防大生
応募資格は21歳未満の高校卒業および卒業見込みの男女で、近年では毎年約480人が入学、うち約100人は女性である。学生は「特別職の国家公務員」という身分で、毎月の給与にあたる学生手当と、年2回の賞与にあたる期末手当が支給され、制服や食事など衣食住に関わる多くのものも学校から支給、貸与される。ただし、自衛官ではないため、階級はない。
防大の前身は、1952年に設置された保安庁の付属機関である保安大学校で、54年に「防衛大学校」と改名し、翌年現在の場所に移転した。以来70年以上の間に、統幕長をはじめとする幹部自衛官はもとより、政治家や評論家、研究者を多数輩出。意外なところでは、宇宙飛行士の油井亀美也氏も36期の卒業生である。
訓練に競技会。濃密な4年間を経て幹部の道へ

防大は三浦半島東南端の標高85メートルの小原台にあり、その敷地は65万平方メートルほど。ひと際目立つ「給水塔」は防大のシンボルだ
2025年4月現在の学生数は本科が約2000人、研究科が約170人で、そのうち留学生が約130人在学している。規律正しい集団生活を学ぶため学生舎に起居する全寮制で、学生は平日朝6時に起床し、夜22時30分の消灯まで、授業や訓練はもとより食事や入浴、清掃など生活活動全般を共同で行う。また学生は、4個の大隊からなる学生隊に所属する。大隊は4個の中隊、中隊は3個の小隊で編成されており、学校行事や競技会などは、学生隊主体の大隊対抗で行われることが多い。
一般大学にない防大の特色に、訓練課程がある。毎週2時間の訓練のほかに、四季ごとに年間約6週間の定期訓練があり、2学年からは陸・海・空の要員に分かれ、それぞれ駐屯地や基地、演習場などで、より実戦的な訓練に参加する。
また、棒倒しで有名な開校記念祭のほか、カッターボート、水泳、断郊(クロスカントリー)、持続走など、年間を通して大隊対抗のさまざまな競技会などが実施され、優勝した大隊には優勝看板が贈られる。クラブ活動にあたる校友会活動は、全学生とも運動部への所属が義務付けられていて、文化部や同好会と併せて入部する学生も多い。防大名物の儀仗隊も校友会の1つである。
また、国際交流が盛んなのも防大の特徴で、各国から留学生や研修生を受け入れると同時に、学生の10人に1人は卒業までに海外へ留学している。25年からは、アメリカの士官学校への4年間に及ぶ長期留学も始まった。
こうして濃密な4年間を過ごした学生は、卒業後に曹長に任官され、陸・海・空の幹部候補生学校に入学し、幹部自衛官としての1歩を踏み出す。
(MAMOR2026年3月号)
<文/古里学 写真/村上淳>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです


