• 航空自衛隊が所有する航空機の安全な航行のために欠かせないのが、各機体の整備。RQ-4B(注1)も、当然のことながら整備作業が行われているが、有人機の航空機整備とは異なる点がある。空自初となる無人機ならではの整備の特異性と、現場で任務に当たる整備隊の苦労ややりがいについて取材した。

    (注1)Rは偵察機、Qは無人機を表す機体種別、4は4回目に設計された機種、Bは機種の型式を表す

    How about the maintenance?
    無人偵察機「RQ-4B」まったく新しい機体の整備の特異性を知る

    有人機とは異なる無人機の機体整備

     空自の航空機の整備は、機体とエンジン、電子機器、武器と担務が分かれ、それぞれの整備員によって実施される。

     また、フライト前後には「飛行前点検」と「飛行後点検」が行われ、航空機の各部に不具合がないかがチェックされる。こうした整備全般に関しては、無人機のRQ-4Bでも、基本的には同様だ。

    画像: 三沢基地に帰投し、けん引車とつなげられて格納庫へと移動を開始するRQ-4B

    三沢基地に帰投し、けん引車とつなげられて格納庫へと移動を開始するRQ-4B

     では、有人機との整備の違いはどこにあるのか。

     まず、RQ-4Bのパイロットは機体に搭乗しないので、エンジンの始動や搭載された機器の立ち上げは、整備員が専用の機材や端末を使用して行うこと。駐機場から滑走路への移動はパイロットが屋内で遠隔操作するため、整備員による誘導は行われないこと。

    画像: RQ-4Bは無人機のため整備員が電源装置「ジェネレーター・セット」を使用してエンジンを始動

    RQ-4Bは無人機のため整備員が電源装置「ジェネレーター・セット」を使用してエンジンを始動

     また、例えばバードストライク(注2)などが発生したとしても、飛行中の状況や、機体の不具合についてパイロットから話を聞くことができないので、飛行データを端末で確認し、その情報を基に各部を入念にチェックする必要があること。

    (注2)重大事故につながる危険性がある、航空機への鳥の衝突

     さらに、翼は一般的な航空機よりも細長い形状をしているため、専用の格納庫内へ移動する際は、翼が損傷しないよう、牽引車の慎重な操縦が求められることなどだ。

    画像: 格納庫内に牽引されるRQ-4B。降雪時には牽引車の前部に雪よけのショベルが装着される

    格納庫内に牽引されるRQ-4B。降雪時には牽引車の前部に雪よけのショベルが装着される

    画像: 帰投後の機体は、クラック(ひび割れ)がないか、タイヤに損傷がないかなどが入念にチェックされる

    帰投後の機体は、クラック(ひび割れ)がないか、タイヤに損傷がないかなどが入念にチェックされる

     なかでもRQ-4Bの整備がほかの空自の航空機と大きく違うのは、偵察航空隊の整備隊だけが行うのではないということ。同機の整備は、部品の調達なども含めメーカーのノースロップ・グラマン社をはじめ、アメリカの関係企業3社との共同で実施されている。

     日本領空周辺の警戒監視活動を遂行するRQ-4Bの安定した運用は、日米の協力によって保たれているのだ。

    「RQ-4B」の安全な航行を支える整備隊のクルーたち

    Electronics Technician

    画像: 「整備した機体がフライトを終え、無事に帰投したときに仕事のやりがいを感じます」という偵察航空隊整備隊電子整備員赤坂空士長

    「整備した機体がフライトを終え、無事に帰投したときに仕事のやりがいを感じます」という偵察航空隊整備隊電子整備員赤坂空士長

    「飛行中の速度を表示する装置や、機体の位置を表示するGPS受信装置などの電子整備を担当しています。業務上の苦労といえば、英語ですね。RQ-4Bの整備マニュアルは全て英語表記ですし、アメリカの企業の方たちとの共同作業では英語での会話が必須なので。また、そのほか取り扱いが複雑な整備機器を操作するという点で難しさもあります。それでも、この部隊で培った知識や経験を生かし、今後、無人機部隊が新編されることがあれば、その立ち上げに携わりたいです」

    Aircraft Mechanic

    画像: 「RQ-4Bを運用する日本での先駆者として、誇りを持って任務に従事しています」と語る偵察航空隊整備隊機体整備員北島3等空曹

    「RQ-4Bを運用する日本での先駆者として、誇りを持って任務に従事しています」と語る偵察航空隊整備隊機体整備員北島3等空曹

    「機体の飛行前後の点検整備などのフライト支援や定期的な整備、航空機に不具合が発生した場合の整備を担当しています。無人機の同機は、以前、整備を行っていたU-125Aとは運用や整備の方法などが大きく異なるので大変なことも多いですが、それ以上に新しい知識や技術が身に付いているという実感があります。歴史を歩みはじめたばかりの部隊なので、文化や伝統を築き上げ、今後の無人機運用部隊の礎になれるようがんばります!」

    (MAMOR2026年4月号)

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    <文/魚本拓 写真/村上淳>

    自衛隊ドローン装備年鑑X

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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