将来の幹部自衛官を育成する防衛省の教育機関「防衛大学校」。その開校記念祭は、毎年1万5000人以上もの観客が訪れる人気行事となっている。
その開校祭の目玉である、男子学生による競技「棒倒し」のルールと見どころを紹介しよう。迫力満点の体当たり戦は、一見の価値ありだ。
棒を垂直線より30度傾けたら勝ち
棒倒し競技に使うのは、長さ約4メートル、直径約14センチメートルのヒノキの棒
棒倒しは2チームの対抗戦で、各チームの参加選手150人は攻撃と防御の二手に分かれ、攻撃陣はスタートの合図とともに相手陣内の棒へ攻撃を開始、防御陣は自陣の棒を攻撃から守る。このとき、防御要員によって防御サークル・ラインの外に出された攻撃要員は、退場となる。

敵の攻撃要員を防御サークル・ラインの外に出そうと、攻防を繰り広げる。どこのポジションに何人配置するか、何に重点をおくか、チームごとの作戦がある
試合は2分の勝負で、その間に先に相手の棒を垂直線より30度以上傾けたほうが勝ちとなる。2分以内に勝敗がつかない場合は、再試合は行わず、反則の数および試合時間中の優劣で勝敗を決する。
首から上を殴る、蹴る、肘打ちや首絞めなどが反則行為と見なされる。
激しい攻防が繰り広げられる競技であるため、参加者全員がヘッドギアを着用し、防御要員はノーズガードも着け、けがの予防に努める。
「棒倒し」の勝負決定方法
試合の2分の間に、相手の棒を垂直線より30度以上傾けたほうが勝ち。2分以内に勝敗がつかなかった場合は、審判が反則の数および試合時間中の優劣を協議し、勝敗が決まる。
ポジションとその役割は?

●攻撃側のポジション
突攻:敵の棒に飛びついて棒を倒す役
スクラム:スクラムを組んでサークルに突っ込み、突攻の踏み台になる役
遊撃:味方のスクラムを敵のキラーから守るなど、攻撃全般を支援する役
●防御側のポジション
上のり:棒に登り、敵の突攻から棒を守る役。登る人数に制限はない
棒もち:棒を支え続け、倒されないようにする役
サークル:棒を囲んで、敵が侵入することを阻む役
キラー:スクラムや遊撃による敵からの攻撃を妨げる役
荒々しい体当たり戦にハラハラドキドキ
「練習中のけががないように、各大隊に注意を伝えるのも私の役目」と植林学生
「1つの棒をめぐって150人がぶつかり合う華のある棒倒しですが、さまざまなポジションがあって、そこに各大隊ごとの作戦が垣間見えるので、選手全体の動きに注目してほしいです」と語るのは、防衛大学校学生隊の棒倒し運営の責任者、植林学生(4大隊・4学年)だ。
攻撃は、棒を目がけて高く飛びつくのか、連続ジャンプで波状攻撃をかけるのか。防御陣の棒の支え方には各大隊の門外不出の伝統もあり、人垣の中はどうなっているのか、想像を膨らませて見るのも楽しいという。
(MAMOR2026年3月号)
<文/古里学 写真/村上淳 イラスト/内山弘隆>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです


