将来の幹部自衛官を育成する防衛省の教育機関「防衛大学校」。その開校記念祭は、毎年1万5000人以上もの観客が訪れる人気行事となっている。
その開校祭で女子学生によって行われる競技「棒引き」を紹介しよう。気力、体力、団結心が試される競技は、見どころ満載の内容だ。
より自陣近くまで棒を引き得点を取って勝つ
棒引き競技に使うのは、長さ約4メートル、直径約10センチメートルの木の棒
棒引きは2チームの対抗戦で、各チーム30人の選手が競技場の中心に置かれた10本の棒を引き合う競技。中心線からより自陣近くまで引っ張ったほうが得点が高くなる。

ビブス着用選手はボーナス点を持つ半面、各セット開始時に持った棒からほかの棒に持ち替えることができない。このルールも戦術の鍵となる 写真/荒井健
また両チームには赤、黄、青のビブスを着用した選手が1人ずついて、それぞれ3点、2点、1点の持ち点があり、試合終了時にビブスを着けた選手が持っていた棒に得点が付けば、持ち点が加算される。ただし、ビブス着用選手が反則をした場合は、ビブスの加点は失効する。
試合は1セット1分で戦い、最大3セットで2セット先取したほうが勝ちとなる。セットごとに3分間の休憩があり、この間に控えの選手と交代(選手登録の上限はないため全員交代も可)をすることができる。
1勝1敗1引き分けになった場合は、3セットの総得点で勝敗を決定。それも同得点だった場合は、各チーム3人の代表選手が1本の棒の両端を持って綱引きのように引き合う代表戦を行う。
棒引きの得点方法をイラストで解説

得点の数字は、試合終了時の棒の位置がイラストの場所だった場合
試合終了時に、自陣側の棒端が触れている(①)、または越えている(②)ラインの点数が入る。中心線側の棒端が3点ラインを越えれば(③)引き切ったことになり、5点獲得。ビブスを着けた選手が引いていれば各持ち点が加算される。
A:1本の棒に対し、1人の学生審判が付き、反則行為や危険がないかを確認している
B:棒にまたがったり、棒に故意に脚を掛けるのは反則となり、学生審判による警告を受け、スタートラインから再スタートとなる
C:1本の棒を引く人数は決められていない。また、ビブスを着けた選手以外は、1セット1分の間に状況を見ながら、ほかの棒に移動して引っ張ることができる
D:ビブスを着けた選手は、自陣まで引き切れば、ビブスを脱いでほかの棒を引くことができる
瞬時の判断力や戦略性が勝敗を左右する
「選手が棒引きを楽しんでくれるのが一番」と話す井村学生
「始まって2年目の“棒引き”競技なので、ルール作りから行っています」と話すのは、練習計画を立てるなど主に運営を担当する防衛大学校学生隊・棒引き責任者の井村学生(2大隊・4学年)だ。
昨年は引っ張る棒によって点数が異なるルールだったが、今年はそれを廃止し、新たにビブス制を取り入れたそう。それにより、いっそう判断力や戦略性が重要となり、競技の魅力度が増したと語る井村学生。「練習を通じて団結力が増した女子学生の総力戦を、ぜひ見てほしいですね」。
(MAMOR2026年3月号)
<文/古里学 写真/村上淳 イラスト/内山弘隆>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです


