将来の幹部自衛官を育成する防衛省の教育機関「防衛大学校」。毎年、約480人の学生が高倍率の受験を経て入学、寮での学生生活の後、卒業後は、陸・海・空各自衛隊の幹部候補生学校へと進んでいく。
そんな防衛大の開校記念祭は、毎年1万5000人以上もの観客が訪れる人気行事となっている。その様子を紹介しよう。
多くの観客が訪れる70年以上続く伝統行事
いろいろ試せる学生のうちに学校全体の行事に携わってみたいと思い、実行委員長に手を挙げたという金井学生
防衛大学校(防大)の開校記念祭(開校祭)は、例年11月の土、日曜日の2日間にわたり開催される。
一般大学の学園祭にあたる行事だが、「お祭り要素だけでなく、観閲式や儀じょう、訓練展示など、将来の幹部自衛官となるわれわれの訓練の様子や、防大ならではのイベントが多いのが他大学との違いです」と、開校祭実行委員長の金井学生(1大隊・4学年)は説明する。
防大は、前身の保安大学校が1953年に横須賀市久里浜の仮校舎で開校し、翌年、防衛大学校と改名され、55年に現在の場所に移転した。92年からは女子学生も受け入れるようになり、現在、部隊指揮や業務処理の基礎的能力を修得するため、約1510人の男子学生と約340人の女子学生が4個の大隊に分かれ、それぞれの学生舎で暮らしている。
開校祭は、53年に運動会として始まり、当初から一般に開放され、翌年には文化祭と運動会の2部構成となり、55年の移転を機に開校祭として現在の形で実施されるようになった。近年では毎年1万5000人以上もの観客が訪れる人気行事となっている。
2026年度からは、これまでの4個大隊から5個大隊に増えるという。その4個大隊制最後の年の開校祭のテーマは『桜幹』。その意味を金井学生は、「これまでの伝統を生かしながら、新しく変化する防大の基盤をわれわれが作っていくんだ、という気持ちを込めました」と語る。
目玉は男子学生による「棒倒し」

「棒倒し」の決勝戦。棒を倒されまいと周囲を固めて必死に守る防御陣と、その隙を狙ってどうにか棒を傾けたいと飛びかかる攻撃陣
先に挙げたイベントのほか、開校祭で観客に一番人気なのが男子学生による「棒倒し」の競技だ。大学創設時から実施され、途中、けが人が続出したりコロナ禍で中止になったこともあったが、現在に至るまで同校の伝統行事として連綿と続いている。

「棒引き」の決勝戦。棒を敵陣に運ばれまいと棒にしがみつき、一方、棒を自陣に運び込もうと力の限り棒を引っ張る女子学生たち
一方、女子学生は、棒倒しに後方支援として参加してきたが、自分たちも主体的に競技がしたいという要望が強くなり、24年から女子学生だけの「棒引き」競技が始まった。
金井学生は、「こうした競技によって、学生は気力、体力、団結心が育成され、企画力・指導力が向上していきます」と力説した。
(MAMOR2026年3月号)
<文/古里学 写真/村上淳、荒井健>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

