(注1)本記事では無人機の総称として「ドローン」という言葉を使用している
What kind of plane?
その特徴と与えられた任務を知る
航空自衛隊ではこれまで、空から偵察を行う唯一の部隊として、偵察航空隊が偵察機(RF-4E/J)を運用。だが、機体の老朽化などで2020年に全機が退役した。
その後継機として、防衛省は広域の常時監視能力を強化するため、高高度を長時間、滞空することができ、長距離飛行が可能なRQ-4Bを採用。同機は2004年にアメリカ空軍などが運用を開始し、イラク戦争で実戦投入された大型無人偵察機だ。

航空自衛隊ホームページより(https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/globalhawk/RQ-4B_Globalhawk/)
日本領空周辺を監視するタカの目、RQ-4B
RQ-4B(注2)は、グローバルホーク(世界規模のタカ)という愛称を持つ、情報収集や偵察活動を行う、アメリカのノースロップ・グラマン社製の無人偵察機。
最大高度1万8千メートル上空を昼夜を問わず約30時間以上、広い範囲を飛行し続けることができるのが特徴だ。
RQ-4Bは、無人航空機と同機を操作する地上設備によるシステムとして構成・運用されている。機体には地表の画像をリアルタイムで伝達するアンテナや広域に渡って精密な画像情報を得るための電子光学、赤外線センサーを搭載。また、夜間の暗い状況でも目標の画像の収集を可能にするシステムや、移動する目標を追跡するためのセンサーと、それらの情報を地上設備に送信する通信機能を備えている。
地上設備は、無人機を操縦するパイロット要員の部門と、無人機による任務をコントロールする、機体への偵察活動の指揮や命令の指示を統括する部門に分かれている。
航空自衛隊ではこのRQ-4Bの運用するため2022年に偵察航空隊を三沢基地(青森県)に新編。同部隊に配備された3機のRQ-4Bによって、常時継続的な監視任務を実施している。
(注2)Rは偵察機、Qは無人機を表す機体種別、4は4回目に設計された機種、Bは機種の型式を表す
24時間眠らないドローン、RQ-4Bの内側を公開!
航空自衛隊の中でもレアキャラといえる、頭でっかちなこの飛行機には、パイロットが座るコックピットがない。代わりにあるのは、超高性能センサーと巨大なアンテナだ。雲の上から静かに世界を凝視し続ける、世界最強の無人偵察機の内部構造を、分かりやすく解説しよう!

<SPEC>全幅:39.9m 全長:14.5m 全高:4.7m 重量:6.8トン 最大速度:時速約574km 最大高度:18000m 航続時間:約30時間以上
炭素繊維複合材製主翼
軽くて高強度の素材を使用した主翼
機体の軽量化や高強度、高剛性を実現し、燃費と性能の向上を図るため、CFRP(炭素繊維強化プラスチック) を採用した主翼。旅客機のボーイング787やエアバスA350などにも採用されている
ロールスロイス AE3007H ターボファン
エンジンの推力を増し効率化を実現
イギリスのロールス・ロイス社製の航空機用ジェットエンジン。ジェットエンジンのコンプレッサーにファンを加えたことで、推力の増大や効率化を実現
V字形尾翼
低燃費で滞空時間を最大化するための尾翼
航空機の尾翼には垂直尾翼と水平尾翼があるが、RQ-4Bはこれらを合わせたようなV字型尾翼となっている。このことにより空気抵抗などが減り、低燃費や滞空時間の最大化などに役立っている
電子光学(EO)・赤外線(IR)センサー
夜間でも目標の画像の収集が可能
可視光(EO)と赤外線(IR)の両方のセンサーにより、夜間の暗い状況でも目標の画像の収集を可能にするシステム
直径1.21m Ku波帯域サテコムアンテナ
リアルタイムで伝送する衛星通信用アンテナ
地上波より高周波で帯域が広いKu波帯域を使用することで、高解像度の画像などの偵察情報をほぼリアルタイムで伝送することを可能とする衛星通信用アンテナ
合成開口レーダー(SAR)用 ジンバル・アンテナ
マイクロ波を照射し解析するためのアンテナ
RQ-4Bが対象物へ向けてマイクロ波を照射し、その反射波を解析して、対象物の画像を撮影することが可能なアンテナ
敵味方識別装置(IFF)アンテナ
味方か敵かを識別し同士討ちを防ぐ
レーダー波によって周囲の目標が味方か敵かを識別し、同士討ちを防ぐために航空機や艦船に搭載されるアンテナ
(MAMOR2026年4月号)
* * *
<文/魚本拓 写真/村上淳 イラスト/坂本明>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
* * *

