•  近年、他国軍と意思疎通を図り、相手国との関係性を深める目的などから、自衛隊と諸外国との共同訓練が増えている。

     その中から、2025年に行われた、アメリカ海軍主催の多国間共同訓練「パシフィック・バンガード」をレポート。

     訓練に参加した自衛官に、自衛隊単独の訓練と何が違い、どんな知見が得られ、どんな意義を感じたのか聞いてみた。

    インド太平洋地域の安定のため、沿岸5カ国の海軍が集結し訓練

    画像: グアム島周辺海空域で、対艦ミサイル射撃訓練を行う海自の哨戒ヘリSH-60K

    グアム島周辺海空域で、対艦ミサイル射撃訓練を行う海自の哨戒ヘリSH-60K

     海上自衛隊は毎年、インド太平洋地域に部隊を派遣して各国海軍との共同訓練や親善訓練(相手国との信頼や協力関係を深めるための艦艇の相互訪問や交流行事など)を行う「インド太平洋方面派遣(IPD)」を実施している。

    画像: 日本、アメリカ、韓国の参加艦艇によるフォトエクササイズ(動画、写真を用いた広報を効果的に行うため、撮影を行う訓練)

    日本、アメリカ、韓国の参加艦艇によるフォトエクササイズ(動画、写真を用いた広報を効果的に行うため、撮影を行う訓練)

     その一環として、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて同志国の連携強化を図る目的で行われている、アメリカ海軍主催の多国間共同訓練「パシフィック・バンガード」にも参加してきた。

    画像: ミサイル発射訓練を終えた護衛艦『いせ』の乗員たち

    ミサイル発射訓練を終えた護衛艦『いせ』の乗員たち

     25年は日本を含む5カ国が参加して実施され、護衛艦からのミサイル発射、対空・対地射撃訓練や哨戒ヘリコプターからのミサイル射撃訓練など、対地、対水上、対空、対潜のあらゆる角度からの戦術技量向上のための訓練が行われた。

    訓練DATA(2025年)

    ●訓練開始年/2019年 
    ●直近実施日/2025年8月24日~9月3日 
    ●実施場所/グアム島周辺海空域(アメリカ) 
    ●参加国/日本、アメリカ、オーストラリア、韓国、ニュージーランド 
    ●自衛隊の参加部隊/海自護衛艦『いせ』ほか3艦(潜水艦含む)

    初めてアメリカ艦艇で1泊して両国の強い信頼関係を実感

    【護衛艦『いせ』/井上1等海曹】

     私は護衛艦『いせ』で通信・ネットワーク業務を任務としており、これまで2024年の「日米韓共同訓練フリーダム・エッジ」など共同訓練には3回参加しています。

     今回参加した「パシフィック・バンガード」も、過去の訓練と内容自体は大きく変わりません。ただ今回は、アメリカの駆逐艦『ヒギンズ』に1泊するという初の経験をしました。

     拙い英語で乗員と会話をしてアメリカ艦艇の情報システムを見学するなど、いろいろ学ぶべきところが多かったですね。

     退艦する際には艦長から直筆の手紙を渡され、改めてアメリカ海軍と海自の強い信頼関係を実感することができました。

    国は違えど同じ仲間として切磋琢磨するのが訓練の意義

    【護衛艦『いせ』/渡邉2等海尉】

     今回で4回目の共同訓練への参加となりましたが、一番印象に残っているのは、護衛艦『いせ』に乗艦した韓国海軍の連絡官(少尉)と、艦内で生活支援および通訳として昼夜行動を共にしたことです。

     訓練ではその少尉とほかの艦艇の動きや交信を確認したり、迅速で正確な陣形を作る方法を話し合いました。また、彼以外にも20カ国以上の海軍士官と知り合いになりました。

     育った環境や文化が違っても、同じ艦乗りとしてお互いを高め合うことができるのも共同訓練の意義の1つでしょう。今後も海自と各国海軍との架け橋になり、志を同じくする仲間を増やしていきたいと思っています。

    (MAMOR2026年1月号)

    <文/古里 学 写真提供/防衛省>

    日本と世界の平和につなぐ国際共同訓練

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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