護衛艦で働く海上自衛隊の女性隊員はどんな生活を送っているのでしょうか?
マモルの広報アドバイザー・志田音々さんが、護衛艦の勤務環境や処遇について『もがみ』の掃海士として働く植田3等海尉に聞いてみました。
【志田音々さん】
タレント、女優。1998年、埼玉県出身。2023年から防衛省広報アドバイザー(注1)を務める
【植田3等海尉】
2018年に防衛大学校に入学。卒業後、幹部候補生学校に入校。練習艦隊で8カ月間の勤務を経て、24年11月から『もがみ』の掃海士として、現場の作業監督などを行っている
(注1)防衛省・自衛隊の各種広報活動に協力することを目的として2023年に設けられた制度のこと
護衛艦の勤務環境が改善されたって本当?
『もがみ』の居住区画は、女性隊員のためのエリアが完全に区切られている。写真は女性区画の入り口。居室(ベッドルーム)やトイレなどがあり、男性隊員は入れない
志田音々(以下、「志田」): 護衛艦で働きやすくなったと聞きましたが、いかがですか?
植田3等海尉(以下、植田):2022年に就役した最新の護衛艦『もがみ』には、女性専用の居住区画が設けられています。
私は、24年11月から勤務していますが、従来の艦艇は男女の居住区画が区切られていなかったそうで、男女ともに暮らしやすくなったと思います。
女性専用のトイレやお風呂、シャワー室もありますよ。従来の艦艇では、共同のトイレや風呂・シャワーを使用していたそうです。
志田:それはいいですね。お風呂の水は海水を使うと聞いたことがあるのですが本当ですか?
植田:かつては海水をくんで沸かしていたそうですが、『もがみ』は艦内で海水から真水を精製しているので、真水を使用しています。真水なので肌への刺激も少なく、衛生面でも安心して入れます。
志田:『もがみ』には、何人くらい女性隊員がいるのですか?
植田:乗員約90人のうち、女性幹部が私を含めて2人、女性海曹士が4人います。
志田:オフのときに女性だけで集まることはあるんですか?
植田:なかなか忙しくて集まれませんが、コンパクトな艦艇なので、食堂ではしょっちゅう顔を合わせますよ。人が少ないぶん、普段はできないプライベートな話もできて、密にコミュニケーションが取れるのがいいところだと思います。
志田:仕事仲間というか、家族みたいな関係なんですね。普段の任務では力仕事もあるのですか?
植田:『もがみ』は、機雷を除去する無人ドローンを運用しているので、それを海から艦内に格納するときは力が要ります。
波が高いときは、汗だくになって大変です。ですが、当艦はハイテク化が進んでいるので、ほかの艦艇と比べると甲板での力仕事はほとんどなく、日焼けしにくいというのは『もがみ』ならではですね(笑)。
志田:それはうれしいですね! 海の仕事は日焼けして真っ黒というイメージがありますが、お肌にも優しいなら、女性にもお勧めですね。
手当の増額など、処遇も改善

『もがみ』の食堂。省スペース化のため、全員が同じ食堂で食事をとる。従来の艦艇では、幹部と曹士は別々の部屋で食事をとっていた
志田:勤務環境だけでなく、処遇も改善されたって伺いました。
植田:任務で出航すると長期間拘束されるので、艦艇勤務の隊員には手当が支給されますが、24年度に増額され、数万円(注2)増えました。
志田:うらやましい! でも航海している間は、インターネットが繋がらないですよね。家族と連絡も取れないんじゃ……?
植田:通信環境も充実しているので、艦内ワイファイから家族と連絡を取ったりすることができます。衛星通信なので、出航中でも大丈夫です。もちろん、勤務時間外に使用するなどルールはありますが。
志田:よかった、家族とは連絡できるのですね。そのほかに、『もがみ』で生活していて、楽しいと感じるのはどんなときですか?
植田:実はご飯がとてもおいしいんですよ。『もがみ』の調理員長は『はしだて』での勤務経験があり、食事がとても充実しています。隊員の誕生日などの艦内イベントがあるときはケーキが出たりもします。
実は『もがみ』で勤務することが決まったとき、航海中はあまりおいしいものを食べられないだろうなと思って、ゼリー飲料をたくさん持ち込んだのですが、全く手つかずで残っていますね(笑)。食事の時間になるとテンションが上がっちゃいます。
志田:お話を伺っているだけで、おなかがすいてきちゃいました(笑)。
(注2)支給額は2024年度に基本給の43パーセント(潜水艦の場合は55.5パーセント)に増額され、これにより、たとえば3尉の場合、月額約3万円増加
(MAMOR2025年12月号)
<文/古里学 写真/山川修一(扶桑社、人物)、村上淳(艦内)>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです




