2025年10月29日、マモルは練馬駐屯地(東京都)の夕方から翌朝までの16時間に密着し、自衛隊の夜間勤務の実像を追った。
長い夜の任務を終えた隊員たちには、緊張の連続だった時間や、静かな駐屯地で感じたこと、支えになった工夫など、それぞれに“夜勤ならでは”の体験がある。当直を終えたばかりの5人に、一夜を振り返って語ってもらった。
駐屯地当直司令:“ギアを上げた一夜”を終え、ニュートラルへ

戦闘部隊の指揮を担う、第1後方支援連隊連隊本部に所属する大渡1等陸尉。今回密着する数日前から、駐屯地当直司令として任務に従事
駐屯地当直司令の任務は、課業時間外の駐屯地の警備、消防、秘密保全のほか、隊員の規律維持や健康管理、緊急時の取材対応や、一般市民からの問い合わせへの対応や駐屯地へのクレームの対応まで多岐にわたります。
そのため何があっても迅速に対応できるよう前もってシミュレーションをしています。
いつも以上に基本や基礎を徹底して、ギアを1つ上げるというイメージですね。そのため交代して駐屯地当直司令室を出たとき、さらに自宅に戻った時は、ニュートラルにした感じでホッとします。
駐屯地当直伝令: 緊張の1日を無事に終え、達成感と安堵の夜明け
戦闘部隊を支援する本部の支援を担当する、第1後方支援連隊連隊本部付隊に所属する中村3等陸曹。補佐役である駐屯地当直伝令を担当
1日を通して大きな異常もなく、無事に勤務を終えられてホッとしています。
朝早くから夜遅くまで続く当直勤務間は緊張の途切れない時間で、終わる頃にはやはり疲労も感じますが、その分だけ達成感ややりがいも大きいです。
特に駐屯地当直伝令は、各所への連絡や報告を正確に行う役目があるため、常に状況を把握しながら対応するよう心がけています。
明日以降の当直勤務者たちも、何事もなく無事に勤務を終えられることを願っています。
駐屯地当直副官: 責任を果たし、ひと息。無事の引き継ぎが何よりの安心
戦闘部隊の支援を担当する、第1後方支援連隊連隊本部付隊に所属する成田陸曹長。駐屯地当直副官として駐屯地当直司令の補佐を行った
駐屯地当直副官の任務には、人員の掌握や規律の維持、火災予防などの役割がありますが、無事に当直勤務を終えることができ、まずはホッとしています。
駐屯地当直司令に次ぐ立場として、問題が起きれば即応しなければならないので、緊張の続く勤務でした。
次の当直勤務者へ申し送りも済ませたので、事務室に戻ったらコーヒーでも飲んで一息つきたいですね。そして今日は早めに帰宅して、妻とゆっくり晩酌を楽しもうと思っています。
警衛司令: 厳しい夜の警戒を終えて、家族のぬくもりにほっとする
駐屯地警備の根幹を担う、警衛隊の司令、吉光1等陸曹。警衛員の配置や巡察の計画、警戒態勢の維持、緊急時の初動判断まで幅広い任務を統括
駐屯地の警備の根幹を担うのが警衛の任務です。出入者のチェックや警戒、秘密保全などが基本の任務ですが、われわれは駐屯地の顔として来訪者に最初に接するので、ていねいに、また厳正に対応するよう心がけています。
警備システムが導入されているとはいえ、夜間の警衛は暗くて見えづらいので緊張しますし、眠気との戦いもあります。
やはり警衛勤務が終了して、帰宅後に家族の顔を見ることができたときが、最も安心できる時間ですね。
消防班長: 備えを尽くしたからこそ、無火災の夜が何よりうれしい
密着当日、消防班長として勤務していた、小林3等陸曹。駐屯地内で発生しうる火災や事故に備え、夜間を通して緊張感のある任務にあたっていた
幸いなことに、私はこれまで消防活動で出動したことはありません。しかしいつ出動がかかるか分からないという不安感はありますし、いざというときに迅速に現場に急行できるよう、毎日1回は必ず消防車両の点検・整備を行っています。
また駐屯地内の消火設備の点検や器材・物品の整理整頓も欠かせません。
勤務中は常に出動待機している状態なので、やはり緊張します。火災が発生しないまま消防勤務が明けたときは良かったなと思います。
(MAMOR2026年2月号)
<文/古里学 写真/荒井健>
ー国防は眠らないー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです




