普段は社会人や学生として生活しながら、年間に定められた日数の訓練に臨み、有事には招集に応じて出頭し、自衛官として活動する「予備自衛官」。
予備自の多くは、退官した自衛隊経験者だ。一方で、自衛隊未経験の社会人や学生でも、予備自になれる道があることをご存じだろうか。
予備自制度を所管する担当者に予備自制度の概要と予備自になる方法を紹介してもらった。
【湯舟1佐】
陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課予備自衛官室長。第44普通科連隊(福島県)連隊長などを歴任。現在は予備自衛官、制度を所掌し制度の改善を指揮する
有事に備える「予備自衛官等制度」

戦闘訓練を行う即応予備自たち。限られた日数のなかで、第一線部隊とともに任務を遂行するために技術を高める
国の緊急事態に対処するためには、大きな防衛力が必要だ。しかし、大規模な組織を維持し続けるにはコストも掛かる。
そこで、たいていの国では、常備する軍隊、警察力などのほかに、緊急時急速に集めることのできる予備の防衛力を持っている。これを「予備役」などと呼ぶ。

ヘリコプターで輸送した救援物資を被災地に運び込む隊員や予備自
日本においても、1954年の自衛隊発足と同時に「予備自衛官等制度」が創設された。以来、70年以上の長きにわたり運用されている「予備自衛官等制度」だが、その中身は大きく3つの制度で成り立っている。「即応予備自衛官」、「予備自衛官」、そして「予備自衛官補」である。
「即応予備自と予備自は、有事における役割と、それに伴う平素の招集訓練日数や内容、待遇に違いがあります。
任務の違いを簡単にいえば、即応予備自は現役の自衛官とともに第一線部隊の一員として任務を遂行します。予備自は第一線部隊が出動した後の駐屯地警備や後方支援などの任務にあたります」
このように即応予備自と予備自の違いを説明するのは、陸上幕僚監部で予備自制度を担当する湯舟1等陸佐だ。引き続き、予備自になる方法についても紹介してもらった。
経験がなくても大丈夫!予備自になる方法

ドラム缶に入った燃料を輸送トラックに積み込む予備自
「即応予備自、予備自は、退官した自衛隊経験者が志願してなるのが主なルートです。これに加え『予備自補』という、自衛隊未経験者でも志願できる制度があります。
予備自補は所定の教育訓練を経て、予備自に任用されます。ただし、予備自補のうちは、防衛招集や災害招集の対象とはなりません。

迫撃砲の射撃訓練を行う予備自
予備自補は、「予備自衛官補(一般)」と「予備自衛官補(技能)」に2種類に区分されます。
このうち、予備自補(技能)は、国家資格、例えば医師や看護師、整備士や無線通信士、サイバーや情報処理、通信系の資格などを保有する方を採用し、また予備自補(一般)は、そのほかの方々を採用し、所定の教育訓練を行った後に、予備自衛官として任用されます。
なお、予備自補(一般)から予備自に任用された後に、更に訓練を積んで即応予備自へと進む方もいます」
即応予備自、予備自も災害派遣に活動した例がある。民間人でも自衛隊生活を体験でき、なおかつ、いざというときは国防の一翼を担う究極のボランティアの姿として「民間と予備自の二刀流」にチャレンジしてみてはどうだろうか。
「予備自衛官等制度」の現状と課題

訓練初日に行われる予備自の訓練開始式。皆、背筋が自然と伸び、職務に臨む自衛官としての自覚が表れる瞬間だ
最後に湯舟1佐は、今後の予備自制度発展のため、現状と改善点について、次のように語ってくれた。
「予備自・即応予備自の充足人数はまだまだ不足しています。
広く国民の方々に予備自制度を知っていただいて、民間からチャレンジしてくださる方を増やしていくことが重要なのはもちろんですが、退職する自衛官の皆さんに対する予備自制度の浸透を図って、予備自の充足を向上させていく観点から、現役自衛官やそのご家族にも予備自制度の理解を深めていただくために情報発信することが必要と考えています。
また、われわれ自衛隊として、予備自の人数を増やして充足を向上させていくため、予備自および予備自補の採用上限年齢の引き上げや、技能予備自の任用上限の廃止などの制度改革をはじめ、各種手当の増額や招集された際に個人事業主である即応予備自および予備自にも給付可能な「予備自衛官事業継続給付金」の新設などといった処遇改善にも取り組んでいます。
加えて予備自の有するスキルを活かす職務訓練の充実を図るなど、今後より魅力的な予備自等制度を目指し取り組んでいきます」
(MAMOR2025年8月号)
<文/臼井総理 写真提供/防衛省>
ー楽しい予備活入門ー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

