普段は社会人や学生として生活しながら、年間に定められた日数の訓練に臨み、有事や災害時には招集に応じて出頭し、自衛官として活動するのが「予備自衛官」。
予備自といっても、れっきとした自衛隊の一員。一般の民間企業などでは体験できない、貴重な経験がいろいろとできることも予備自になる魅力の1つ。部隊によって異なるものの、予備自の訓練でこんなことが経験できるかも!? という例を紹介しよう。
現役自衛官の指導で射撃能力がアップ!

予備自の射撃訓練。訓練中は、赤いヘルメットをかぶり射手に対して指導する射撃係が付く。青いヘルメットをかぶった、射撃中の安全管理を担当する安全係が現場の安全を確保する
予備自の訓練の中でも、毎回「やってみたい!」という声が多く寄せられる訓練が、射撃訓練。
日本では映画やドラマでしかお目にかかれない射撃を、現役自衛官の丁寧な指導のもと、安全管理を徹底しながら、射撃の構え方から狙いの定め方まで、基礎から学ぶことができる。
さらに、習熟度を確認する「射撃検定」も実施される。これはまさに、自分の腕前を試す絶好のチャンス。
緊張と集中が入り混じる中で、自分の呼吸と姿勢をコントロールして引き金を引く──そんな非日常の中で、自分の新たな一面に出会えるかもしれない。
ジムでは味わえない実践的ワークアウト!

体力錬成を行う予備自。各種目に得点があり、1級(最高)~7級までの評価がされるため、自己ベストを目指して錬成を行う
予備自にも、現役自衛官同様に年1回の「体力検定」があり、そのためだけではないが日ごろから体を鍛える「体力錬成」も大切な仕事だ。
体力検定には反復横跳び、垂直跳び、ジグザグドリブル、体前屈、握力、そして自衛隊独特の「急歩」がある。
走らず急ぐといういわゆる競歩に近いもので、男性1500メートル、女性1000メートルのタイムを計測する。体力検定では総合得点から「級」がつく。1級目指して頑張ってみよう!
まるで映画の主人公!敵を察知する頭脳戦

チームを組んで偵察を行う予備自たち。駐屯地に侵入した敵を発見する、という想定で訓練が行われることも
戦いにおいて有利な状況をつくり出すために、まず何より大切なのは「敵を知る」こと。そのために欠かせないのが、偵察による情報収集だ。
敵の動き、装備、配置など、わずかな手がかりから状況を読み取るこの任務は、まさに戦いの行方を左右する重要なアクション。
本隊から先行して出発し、地図や地形、状況を照合しながら少人数で敵に近づいていく過程は、訓練とはいえハラハラドキドキの体験ができること間違いなし。
物音ひとつにも神経をとがらせながら、身を隠して前進し、敵の位置や様子を探る。うまく気配を消して敵の目前まで接近できたときの高揚感は、一度味わうと忘れられない。
緊張と判断力が試される、まさに“リアルミッション”を体験しよう。
特殊マスク&防護服で、脅威に備える緊張感!

「状況ガス」の号令とともに、手早くガスマスクを着用する予備自ら。8秒以内に装着する
もし戦場で、有毒ガスや細菌兵器などの特殊な兵器が使われたら──そんな事態に備えるのが「特殊武器防護訓練」だ。
有事には、敵が化学兵器や生物兵器、さらには放射性物質を使用してくる可能性もある。そうした見えない脅威から身を守るには、正しい知識と瞬時の対応力が欠かせない。
訓練では、防毒マスクや防護服をいかに素早く、正確に装着できるかが重要なポイントになる。
マスクなどの着用訓練のほか、実際に催涙ガスの中に身を置いてみるという、非日常すぎる体験ができることも。
テレビの中だけの話と思っていたような“有事の備え”を、自らの体で実感できるこの訓練。まさに、忘れられない体験となるはずだ。
不審車両を見抜け!判断力が試される

鏡を使い、車両の下までくまなく捜索する予備自。爆発物が設置されていないか、不審物の有無や異常の兆候を慎重に確認する
駐屯地や演習場など、自衛隊の拠点に出入りする車両の中には、敵の車両が巧妙に紛れ込んでいる可能性がある――そんな想定のもとで行うのが「車両検索」の訓練だ。
パッと見ただけでは分からないが、実は爆発物が車体の奥深くに隠されているかもしれない。
バンパーの裏、トランクの底、さらにはタイヤハウスや車体下部など、くまなくチェックしていく。鏡を使って車体の裏側までのぞき込み、どこか不自然な点がないか、感覚を研ぎ澄ませて確認する。
もちろん、敵もそう簡単には見つからないよう、爆発物の隠し場所を工夫してくるはずだ。仕掛ける側と見抜く側の「知恵比べ」。スパイ映画や刑事ドラマの捜査シーンを思わせるような、ドキドキする体験だ。
部隊を守るのは君だ!最前線で緊張感MAX

車両の周辺を警戒する予備自。敵が現れた場合に備えて、どのように対応するのか、事前に訓練しておく
予備自の訓練では、駐屯地などの警備警戒はもちろんのこと、野外の演習場での警備警戒訓練が行われる。どんな場所で、どう守るか? どう対応するか? をしっかり学べる。さらに、自分たちの陣地を作る「野戦築城」も体験できるかも。
通信の裏側を体験し、部隊を支える!

通信用のケーブルを展開する予備自。拠点をつないだケーブルは、目立たないように偽装を施す
自衛隊が活動するために必要な重要インフラのひとつが「通信網」。
訓練で通信機器に触ることもある。基本となるのが「有線構成」。遠く離れた拠点間をケーブルでつなぎ、通信するのだ。長いケーブルを這わせ、通信機とつなぐ。
普段スマホに慣れきった身には逆に新鮮な「通信の基礎」を体験できるのだ。
迅速・正確がカギ!現場で光るロジスキル

フォークリフトで大型コンテナを運ぶ予備自。重機の操縦経験など、本業での経験を生かすことができる
予備自が担う役割として、第一線部隊の「後方支援」も重要。特に補給は、これなくして部隊は活動できないという重要なもの。
隊員が訓練中に食べる戦闘糧食やさまざまな消耗品や機械部品など、任務に必要な物資を輸送し、適切に補給することは自衛隊の活動を支える根幹だ。
重機操作の免許がある人は、災害派遣でそのスキルを生かせるチャンスも!?
仲間を守る力が身に付く!知識医療×実践訓練

訓練用のダミー人形で、心肺蘇生法を学ぶ予備自。有事の際は隊員を救う技術だが、日常生活でも役に立つ機会があるかもしれない
医師や看護師などの医療関連資格を持つ技能予備自はもちろん、それ以外の隊員にも、応急手当やけが人の搬送法を学ぶ機会が用意されている。それが「救急法・野外衛生訓練」だ。
訓練では、基礎的な止血法、心肺蘇生法、担架の使い方や即席担架の作成方法などを身につけていく。まさに、誰かの命を救うための“リアルな知識と技術”を自分の手で体得できる貴重な機会となっている。
(MAMOR2025年8月号)
<文/臼井総理 写真提供/防衛省>
ー楽しい予備活入門ー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
