千葉県峯岡山分屯基地の「鯨カツ」を紹介します。地元で取れるクジラの肉を使った地産地消メニュー。臭みのないサクッとジューシーな仕上がりです。
日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂についてレポート! みなさんにもぜひ味わっていただこうと、レシピを取り寄せました。
首都圏唯一の航空警戒管制レーダー部隊を配置!峯岡山分屯基地

分屯基地内にある愛宕山山頂付近の三角点の標識
航空自衛隊峯岡山分屯基地は千葉県南部の南房総市、鴨川市の2市にまたがる嶺岡山系愛宕山山頂部に所在しています。標高408メートルの愛宕山は千葉県では最高峰で、基地内に三角点があり、「山頂が基地の中にあるのでなかなか登れない山(注)」として人気です。
1955年に開庁し、今年で70周年を迎える当分屯基地には、首都圏唯一の航空警戒管制レーダー部隊である中部航空警戒管制団第44警戒隊や、中部高射群第1指揮所運用隊峯岡山派遣班が配置され、日夜、警戒監視の任務と訓練に励んでいます。
(注)愛宕山は申請すれば一般登山が可能。詳しくは峯岡山分屯基地HP参照
クジラの町ならではのメニュー「鯨カツ」

※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました
地元である南房総市の和田町は、知る人ぞ知る「クジラの町」で、水揚げされるクジラは貴重なタンパク源として食されてきました。
スライスし、特製のたれに漬け込んで天日干しにする「クジラのたれ」や、「クジラベーコン」、「クジラ汁」などクジラ料理は多種ありますが、今回紹介する隊員食堂のメニューは「鯨カツ」。口の中に広がるジューシーなクジラの風味がクセになると好評を得ています。
クジラの赤肉におろしショウガと酒で下味を付けて臭みを除き、肉質を少し柔らかくすること、硬くならないよう揚げすぎないことがポイントだそうです。
揚げ物に定番のキャベツの千切りをたっぷり添え、中濃ソース、ポン酢、しょうゆ、塩などを卓上に用意。隊員それぞれ好みのものをかけて食すのだとか。
クジラは、高タンパク、高ミネラル、低脂肪、低カロリーで栄養価の高い、自衛官には最適の食材なのです。
注目食材:クジラ赤肉

1950年代には日本人の摂取する動物性タンパク質の50%以上をクジラ肉が占めていたとされる。
4カ所(和歌山県太地町、宮城県石巻市、北海道網走市、千葉県南房総市)ある小型沿岸捕鯨基地の1つが南房総市の和田漁港。6月末~8月末にツチクジラ(体長約10メートル、体重約10トン)を捕獲、解体し、余すことなく食用、肥料として活用する。
赤肉(背中、腹の肉)は脂肪分が少なく、揚げ物、ステーキなどに。
隊員の感想は?

分屯基地ならではのこぢんまりとした隊員食堂は、アットホームな雰囲気で、隊員の憩いの場所、交流の場所となっている
「衣はサクッ、肉はやわらか、クジラ肉特有の臭みもなく高タンパクで低カロリー。私たち自衛官には最高のメニューです!」(准尉/男性・50代)
「隊員食堂の鯨カツを食べたら、あまりにおいしく、家族にも食べさせてあげたいとレシピを教えてもらったほどです」(3佐/女性・50代)
「初めてクジラ肉を食べましたが、臭みもなく、とにかくお肉がやわらかくてビックリ! 白米との相性も抜群でした」(1士/女性・20代)
航空自衛隊基地の調理員だった父に影響を受け、入隊
【航空自衛隊 峯岡山分屯基地 第44警戒隊 基地業務小隊 厚生班給養係 阿川3等空曹】
石川県出身で、高校を卒業してから別の分野の仕事に就いて3年。父が航空自衛隊小松基地の調理員だったこともあり(現在は別部署)、自分も向いているかなと転職を決め、2019年に入隊しました。
小さいころから父と一緒に料理をしていたのですが、仕事となるとやはり大変。味付けが偏らないよう、濃すぎず、薄すぎず、しょっぱすぎず、甘すぎず、を心がけています。
某メジャーリーガーと同じ名前は祖父母がつけてくれたのですが、調理と各種事務処理の二刀流を目指して、この道で羽ばたけるよう努めていきたいです。
「鯨カツ」のレシピを紹介
<材料(2人分)>
クジラ赤肉:160g
<A>
酒:大さじ11/3
おろしショウガ、塩、コショウ:各適量
<B>
小麦粉、パン粉:各適量
溶き卵:1個分
野菜コロッケ(市販品):2個(120g)
揚げ油:適量
[付け合わせ]
キャベツ(千切り)、トマト(くし形切り)、キュウリ(斜め薄切り)、レモン(輪切りまたはくし形切り):各適量
<作り方>
1:クジラ赤肉にAの酒、おろしショウガを塗り、塩、コショウを振って下味を付ける。
2:1に小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣を付ける。
3:170~180℃に熱した揚げ油で、2と野菜コロッケ(揚げてある市販品の場合はオーブントースターなどで温める)を衣が色づくくらいに揚げる。
4:3の油をきり、付け合わせの野菜と共に盛る。好みで、中濃ソース、ポン酢、しょうゆ、塩(各分量外)などをかけて食べる。
(MAMOR2025年7月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/星 亘(扶桑社) 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

