陸上自衛隊の沖縄県石垣駐屯地の「スタミナやいま丼」を紹介します。石垣島産の米や豚肉を使用した地産地消のガッツリ飯は厳しい暑さにも負けずに頑張れるパワーアップ丼です。
隊員食堂で自衛官たちが味わうおいしさを自宅でも楽しめるよう、レシピもあわせて掲載しています。
八重山地域の防衛を担う、石垣駐屯地

駐屯地正門の柱の上には、魔よけや守り神として知られるシーサーを設置。また建物には、沖縄の伝統的な赤瓦を使用している
陸上自衛隊石垣駐屯地は、石垣島のほぼ中央に位置する沖縄県最高峰の於茂登岳(526メートル)の麓にあります。2023年3月に開設され、八重山警備隊を基幹に、第7高射特科群第348高射中隊、第7地対鑑ミサイル連隊第3地対艦ミサイル中隊などが所在し、八重山地域の防衛警備・災害派遣を担っています。
160もの島からなる沖縄県。八重山地域は台湾に近い南西端の大小32の島々で構成されており、石垣島が政治・経済・教育・交通などの中心地となっています。
自衛隊の食堂で食べる、八重山のソウルフード!

今回紹介する「スタミナやいま丼」の「やいま」は「八重山」を指す方言です。
地元の食材を使った夏季限定のスタミナ丼として発案され、24年7月に登場。「南ぬ豚」のロース肉をニンニク、ショウガ風味の効いた甘辛いたれで炒めてご飯にのせ、長ネギのゴマ油あえをトッピング。好みで温泉卵、刻みのり、白菜キムチをオンすれば、味変も楽しめます。
八重山のソウルフードである八重山そばや、沖縄郷土料理のニンジンしりしりと組み合わせて提供されます。
自衛隊では、隊員の健康維持や士気高揚のために食事が重要視されており、当駐屯地でも24年12月に初めての「炊事競技会」が実施されました。
災害派遣の現場を想定し、野外炊具車を使って制限時間内に110人分の南ぬ豚カレーほか3品を調理。審査には地元の栄養士も協力したそう。八重山警備隊本部中隊と普通科中隊の選抜隊員2チームで競った結果、後者が優勝したそうです。
ショウガの風味と甘い油が溶け合うのがたまらない!

200席ほどある隊員食堂は、昼時になると食事を楽しみにしている隊員たちが集い、一気に活気づく
「口の中でやさしいショウガの風味と南ぬ豚の甘い脂が溶け合うのがたまらないです。気付くと丼は空でした」(曹長/男性 40代)
「南ぬ豚はほんのり甘さを感じます。キムチや温泉卵と一緒に食べると、スタミナが付いて、石垣の暑い夏を乗り切れそう!」(3曹/男性 30代)
「ニンニクだれと卵の黄身が豚肉に絡み、これぞスタミナ丼。キムチで味変ができるのも◎。まーさんどー!(おいしいよ)」(3曹/男性 20代)
台風にも負けず、1日800食を調理する
【陸上自衛隊 石垣駐屯地 業務隊補給科 糧食班 黒島防衛技官】
沖縄県久米島の出身で、東京の大学を卒業後、病院に就職。4年がたち、沖縄に戻りたいなと思ったときに与那国駐屯地で栄養士を募集していたので応募し、2019年に入隊しました。
4年間勤務して、現在の石垣駐屯地が開設されると同時に異動しました。近年は台風上陸も多く、直接ではなく、九州地方接近でも物流が滞るので台風の季節は常に進路が気になります。たとえ突発的な案件が起きても、柔軟な対応を心がけています。
1日平均800食を提供する大量調理ですが、たくさんのおいしい笑顔が見られるよう、努力したいです。
「スタミナやいま丼」のレシピを紹介
<材料(2人分)>
ご飯:丼2杯分
豚ロース薄切り肉(食べやすく切る):160g
タマネギ(薄切り):1/3個
[A]
おろしショウガ、おろしニンニク:各小さじ1/2
[B]
酒、みりん、しょうゆ:各大さじ2
砂糖:小さじ1
[C]
和風顆粒だしの素:小さじ1/3〜1/2
長ネギ(斜め薄切り):1/2本
ゴマ油:大さじ1
白炒りゴマ:小さじ1
ゴマ油(炒め用):大さじ1/2
[トッピング]
温泉卵2個、刻みのり、白菜キムチ:各適量
<作り方>
1:鍋にゴマ油と(A)を入れて熱し、香りが出たら、豚肉を加えて中火で炒める。
2:肉に火が通ってきたら、タマネギを加えて炒め、タマネギがしんなりしてきたら(B)を入れる。中火のまま、水分が飛ぶまで4、5分炒める。
3:小さめのボウルに(C)を入れ、あえる。
4:器にご飯を盛り、上に(2)と(3)をのせる。好みで温泉卵、刻みのり、白菜キムチをトッピングする。
注目食材:南ぬ豚

「南」は八重山地域の方言で「ぱい」、「ぬ」は助詞の「の」が変化したもので、「ぱいぬぶた」と読む。石垣島にあるやえやまファームの自社牧場で、パイナップルの搾りかすなどを用いた独自の発酵飼料で育てられる豚。
一般の豚と比べ、ビタミンB1が約1.4倍で鉄分も豊富。肉質が柔らかくて臭みがなく、脂肪のうまみと甘みが特徴。石垣島のブランド豚として泡盛のもろみ液などを飼料にした「もろみ豚」もある。
(MAMOR2025年5月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理写真/星 亘(扶桑社) 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

