•  400人余りの日本代表選手が出場し、世界中を熱く盛り上げた2024年パリオリンピック。自衛隊体育学校に所属する7人の自衛官アスリートもそれぞれの活躍を見せてくれた。

     今回は、見事銀メダルを獲得した近代五種(男子)・佐藤大宗2等海曹に凱旋報告をしてもらった。

    【佐藤大宗2等海曹】
    1993年、青森県出身。オフは家族と出掛けるか、料理をしてお酒を飲むことが多い。好きな食べ物は、お肉、ラーメン、ビール

    サポーターの支えがあって手にすることができた銀メダル

     1912年の競技創設以来、112年続く近代五種の歴史上、日本人選手として初めてメダルを獲得した佐藤2曹。5種目を90分ほどの時間の中で競う過酷な戦いの裏には、多くのサポートがあった。

     フェンシングでは、コーチとともに出場選手の得意技を分析。相手の得意技を抑える練習に取り組んだ。

     馬術ではノーザンホースパーク(北海道苫小牧市)に協力を仰ぎ、出場が予想される体格の馬を用意してもらい練習。本番で騎乗する馬が決まると、電話で直接アドバイスを受けた。水泳、射撃、ランニングでは、監督やコーチとメニューを組み、スピードと持久力を鍛えた。

    「皆さんに支えてもらったからこそ、メダルにつながりました。各種目にそれぞれ関わってくださる人たちがいて、チームで戦っている感じでした」

     私生活では2022、24年に子どもが誕生。2児の父親となったが、オリンピック直前は、あえて家に帰らずにいたという。

    「帰りたい思いはありましたが、“オリンピックモード”を切らしたくなかったんです。私も妻も、お互いにストレスのたまる、我慢の多い日々でした」

    練習では果敢にチャレンジし自分の限界を超えていく

    近代五種(男子)個人決勝にて、巧みに馬を操り障害を越える佐藤2曹 写真/ABACA PRESS/時事通信フォト

     コーチや指導者はもちろん、家族の協力なくしてメダル獲得はかなわなかった。佐藤2曹を取り巻く全ての人々が彼の勝利を信じて支えていたのだ。

     練習環境についても、「プール、陸上競技場、馬術、フェンシング、射撃場が全て備わっているのは自衛隊体育学校だけ。そのため1日で複数の種目を続けて練習ができ、より試合に近い練習ができます」と言及。

     練習では果敢にチャレンジし自分の限界を超えていく佐藤2曹。対照的に、試合中は冷静に状況を判断し、戦略を立てていた。

    「実は、限界まで力を振り絞れば、もう数秒だけ水泳のタイムは縮められます。でもあえてやりませんでした。それは、水泳の後に控えるレーザーランを勝負どころにすると決めていたからです。本番では、コーチと考えた戦略が完璧にはまりました」

     決勝戦が終わる最後の1秒まで “オリンピックモード”を保ち続けた佐藤2曹。極限まで自分を追い込んでメダルを勝ち取った今、考えているのは、近代五種の未来だ。

    「近代五種を知ってもらうため、競技人口を増やすために、PR活動をしていきたいです。まずはそこに全力を注いでいきたいと思っています」

     日本人初の近代五種メダリストとして先頭を走る佐藤2曹。さらなる高みと近代五種の発展のために、彼のチャレンジは続く。

    (MAMOR2025年1月号)

    <文/ナノ・クリエイト 写真/増元幸司>

    自衛隊体育学校アスリートの強さとは?

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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