自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は航空自衛隊「航空学生の歌」をご紹介します。
航空学生とは

高校卒業または中等教育学校卒業者(卒業見込みを含む)、高専3年修了者(見込みを含む)、高校卒業と同等以上の学力があると認められる男女を対象とした、海上自衛隊・航空自衛隊のパイロットなどを養成する制度。
海自は小月航空基地(山口県)小月教育航空隊に1年4カ月、空自は防府北基地(山口県)第12飛行教育団に2年入隊し、全員が学生宿舎に入って、2年間、座学を中心とした基礎教育を受ける
「航空学生の歌」の歌詞を紹介
一
晴れ渡る明日の空に
若き憧れ輝く翼
光溢れる学び舎に
伝統の火をともすべく
ここに集い励まん
われら航空学生
二
寄せる波集える我ら 花咲き匂う(1)周防のほとり
学び究めん空の技術 たぎる血潮の高鳴りを
ここに鍛え奮わん われら航空学生
三
うるわしき祖国を守り 翼連ねんその日まで
胸に誇りの猛き鷲 力を競う雲の果て
ここに結び誓わん われら航空学生
「航空学生の歌」の歌詞を解説
(1)旧国名の1つ。今の山口県東部にあたり、航空自衛隊の航空学生が学ぶ防府北基地も所在する
<作詞/第19期生一同 作曲/中沢匡之>
先輩・後輩の垣根なく集えば口ずさむ歌
「当歌は、1963年に航空学生19期生としてギター片手に入隊してきた中沢匡之が、航空学生を讃える歌を作ることを思いつき、自身が作曲、同期生らが作詞をして誕生したようです」と教えてくれたのは、第12飛行教育団航空学生教育群の都築2等空佐だ。
当時、航空学生は芦屋基地(福岡県)で教育を受けており、元々は芦屋の地に合わせた歌詞だったが、70年に現在の防府北基地に移転した際に、防府の地に合わせた今の歌詞に変更になったのだとか。
「今も昔も戦闘操縦者になることを夢見た若者たちが、空を飛ぶ日を思い描きながら、地上における過酷な教育訓練で切磋琢磨する気概や、世代を超えた航空学生の絆を歌っていると思う」と都築2佐。
その都築2佐が歌詞の中でポイントとして挙げたのが、“ここ”という言葉。地理的には、航空学生の教育が行われた各基地となるのだが、航空学生課程を過ごした場所として共有できる“ここ”でもあり、世代を超えた共通の“ここ”を守らなければ、という使命感にかられるという。
航空学生出身者なら、集えば歌ってしまうという歌を、ぜひ聴いてみて!
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youtu.be(MAMOR2024年11月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです