• 画像: 護衛艦『いずも』飛行甲板にて、乗組員と各国の乗艦協力プログラム参加者が集合して記念撮影

    護衛艦『いずも』飛行甲板にて、乗組員と各国の乗艦協力プログラム参加者が集合して記念撮影

     日本を含むインド太平洋地域の国々に繁栄と安定をもたらすため、法に基づく秩序ある世界を構築しようと、2016年に日本が提唱した外交方針「自由で開かれたインド太平洋(略称:FOIP<Free and Open Indo-Pacific>)」。

     これを実現するため、防衛省・自衛隊もさまざまな活動をしているが、その一環として、24年6月に行われたのが「乗艦協力プログラム」である。

     東南アジアや太平洋島しょ国の16カ国から海軍士官などを招いて、グアム〜日本間の洋上で行われた航海訓練にマモル特派員が同乗した。

    日本を含む世界の繁栄と安定を目指す取り組み

    画像: 日本を含む世界の繁栄と安定を目指す取り組み

     日本は、石油ほか物資の大部分を海外に依存している。海が安全な交通路でなくなると、国民の生活すら維持できない。以前から海上交通路「シーレーン」の確保が日本の安全保障の要とされてきたが、中国の海洋進出が顕著な近年、周辺海域の安定がアジア地域、ひいては世界の平和と安定に結び付くといわれるようになった。

     政府の掲げる「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンにのっとり、防衛省・自衛隊も安全保障上多くの課題が存在するこの地域の平和と安定のため、さまざまな取り組みを行っている。

     その1つが「乗艦協力プログラム」だ。東南アジアや太平洋島しょ国の海軍・海洋警察などから参加者を招き、海洋法(領海や排他的経済水域の設定など、海洋に関する国際法)などのセミナーや各種研修を通じて、秩序維持に向けた地域全体の対応力を高め、さらには関係各国の相互理解を深め、人的ネットワーク構築の促進を図るのが目的である。

     この取り組みは2017年に開始、23年からは対象国を拡大し、24年は計16カ国の海軍士官などを海上自衛隊の護衛艦『いずも』艦上に招き、6月19日から29日まで、防衛省の主催で実施された。

    防衛省が考えるプログラムの目的は?

    【芦塚防衛省防衛政策局インド太平洋地域参事官】在イギリス日本大使館参事官、防衛政策局日米防衛協力課企画官などを歴任

     乗艦協力プログラムの責任者、芦塚インド太平洋地域参事官は、その意義と成果を次のように語る。

    「本プログラムは、日本の国益優先ではなく、各国のニーズをくみ取って対応するための機会と捉えています。参加国からの反響は大きく、日本に対する期待もさらに増していると感じており、能力構築支援装備移転などの施策とも連携しながら、関係各国との友好関係を深めたいと考えています」

    【堀川防衛省防衛政策局インド太平洋地域参事官付係長】2023年から乗艦協力プログラムを担当し、『いずも』にも乗艦した

     今回の航海にスタッフとして同乗した堀川事務官は、運営者として工夫したことについて語った。

    「各国間の交流のため、事業実施前に参加者の親睦を深める場を設けたほか、宗教など参加者の情報を取り寄せ、食事など生活面にも気を配りました」

     最後に本プログラムの今後の展望について、芦塚参事官に聞いた。

    「ほかにはない取り組みであり、各国に日本の考え方を共有する良い機会ですので、着実に継続していけたらと考えています」

    (MAMOR2024年11月号)

    <文・写真/臼井総理 写真提供/防衛省>

    マモル特派員が見た笑顔あふれる艦上交流

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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