•  日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう?

     ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は島根県高尾山分屯基地の「赤天そば」を紹介します。

     島根県の名産品「出雲そば」と「赤天」の2つを使ったかけそば。昆布だしとそばの香り、赤天のピリ辛味が絶妙にマッチしたひと皿です。

    航空自衛隊高尾山分屯基地とは

    画像: 高尾山分屯基地は、大山隠岐国立公園に囲まれた、緑豊かな場所にある

    高尾山分屯基地は、大山隠岐国立公園に囲まれた、緑豊かな場所にある

     島根県松江市にある航空自衛隊高尾山分屯基地は、全国に28カ所あるレーダー基地の1つで県庁所在地にあります。

     国宝松江城、境港や、島根、鳥取、岡山の3県にまたがる大山隠岐国立公園など観光スポットの多い風光明媚な環境にあり、日本海の長い海岸線に接しています。

     空自春日基地(福岡県)の分屯基地であり、2024年で開庁63周年を迎えます。当分屯基地には第7警戒隊が配置され、周辺空域における警戒業務を365日昼夜を問わず行っています。

    ピリ辛の赤天がアクセント「赤天そば」

    画像: ※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました

    ※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました

     今回、紹介する「赤天そば」は、1年ほど前に地産地消を目的として発案されたオリジナルメニューで、島根県名産の「出雲そば」と「赤天」が使われています。

     出雲そばは、長野県の「戸隠そば」、岩手県の「わんこそば」と並ぶ、日本三大そばの1つ。そば粉を製粉する際に、粉の選別をせず、殻の付いたそばの実をそのままひき込む製法で作られているため、一般的なそばに比べて色が黒く、栄養価と香りが高いのが特徴です。

     汁は水出しの昆布だし。最低でも3時間、できれば1晩漬けておくと、じんわりと自然なうま味が出て、おいしく仕上がるそうです。

     さらにモチッ&サクッの食感がうれしいピリ辛の赤天、香りと甘さを引き出した焼ネギをトッピング。さまざまな味わいが組み合わさって、だしの1滴まで飽きずに残さず食べられると好評だとか。

     そばに一味や七味唐辛子をかけて食べることも多いと思いますが、赤天に練り込まれているのでかけなくても十分おいしいそうです。

    隊員たちの感想は?

    画像: 隊員食堂は、分屯基地内で唯一食事をとれる場所であり、24時間シフト勤務に就く隊員にとっては、日々の活力の源となっている

    隊員食堂は、分屯基地内で唯一食事をとれる場所であり、24時間シフト勤務に就く隊員にとっては、日々の活力の源となっている

    「島根県の特産品を食べたことがなかったので、1度で出雲そばと赤天の2品も味わうことができ、うれしかったです」【士長/男性・20代】

    「赤天は出雲そばとの相性も抜群で、あっという間に完食してしまいました。食べ応えもあり、満足度の高い1品です」【2曹/男性・30代】

    「日ごろからそばには一味唐辛子を使用しているのですが、赤天そばは、赤天の辛さがちょうどよく、おいしく食べられました!」【1曹/男性・40代】

    初心を忘れず調理と事務作業に当たっている

    【航空自衛隊 高尾山分屯基地 基地業務小隊 厚生班給養係 名久井空士長】

     福岡県北九州市出身で2021年に入隊、こちらに配属されて4年目になります。慣れてはきましたが初心を忘れず、調理と事務作業に当たっています。

     利用する隊員は約60人で、食べる人と作る人の笑顔であふれています。一般にも浸透してきた空自の「空上げ」(唐揚げのこと)は、空自のウェブサイトにほかの基地のレシピも載っているので、それを参考に各基地の空上げを作って提供しています。自衛官は転勤も多いので懐かしがってくれたりするとうれしいです。

     趣味は料理のほかにロードバイク。休みには島根の大自然を味わっています。

    「赤天そば」のレシピを紹介

    <材料(2人分)>

    出雲生そば:300g

    [A]
    水:5カップ
    だし昆布(5×5cm):1枚
    しょうゆ、みりん:各大さじ2と2/3

    赤天:2枚(140g)
    長ネギ(5cm長さに切る):1本
    刻みのり:適量

    <作り方>

    1:Aでだし汁を作る。鍋に水とだし昆布を入れて、しばらくおく。時間があれば1晩おく。だし昆布を取り出し、火にかけ、しょうゆ、みりんを加える。
    2:赤天はオーブントースターやフライパン、グリルなどで、ふっくらとして少し焼き色が付くくらいに焼き、1枚を2等分に切る。
    3:長ネギはフライパンで焼き色が付くまで焼く。
    4:鍋に湯(分量外)を沸かし、出雲そばを表示どおりにゆでる。
    5:器に4を湯をきって盛り、1のだし汁を注ぎ入れる。2と3をのせ、刻みのりをのせる。好みで練りわさび少々(分量外)を添えてもよい。

    注目食材:赤天

    画像: 注目食材:赤天

     島根県浜田市の特産品。魚のすり身に唐辛子で辛みを、食紅で色を加えて、パン粉を薄くまぶして揚げたもので、県内のスーパーにはたいてい置いてある。

     あぶってからマヨネーズを付けて食べるのが地元流。戦後の食料難の際、浜田市のカマボコ店の店主が、おいしい練りものを食べてもらおうと開発したといわれている。酒のさかなとしても人気。インターネットショップで購入できる。

    (MAMOR2024年10月号)

    <調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/星 亘(扶桑社) 写真提供/防衛省>

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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