自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってくる。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、鹿児島県に所在する「鹿屋航空基地 第1航空隊」の「第1航空隊歌」をご紹介します。
第1航空隊とは…
鹿屋航空基地(鹿児島県)にある海上自衛隊の部隊。哨戒機P‐1 を用いて、わが国周辺海域における警戒監視などの任務にあたる。
「第1航空隊歌」の歌詞を紹介
一
高隈(たかくま)(1)の麓に 猛き轟音響かせ
昼夜を翔る気高き翼
期待と希望を胸に秘め
いざ往かん大海原へ
我らが精強 第1航空隊
二
開聞(かいもん)(2)の雄姿に 漲る力奮い立て
大空を舞う気高き翼
荒ぶる魂胸に秘め
いざ往かん地平の彼方
我らが精強 第1航空隊
三
錦江湾(きんこうわん)(3)を背に桜島(4)から飛びたたん
日本を担う気高き翼
平和の願いを叶えよう
いざ往かん未来に向かい
我らが精強 第1航空隊
「第1航空隊歌」の歌詞を解説
(1)鹿児島県鹿屋市と垂水市の境にある高隈山のことで、大隅半島北西部にある高隈山地の最高峰
(2)鹿児島県薩摩半島の最南端に位置する開聞岳のことで、薩摩富士の異名を持つ
(3)薩摩半島と大隅半島の間に挟まれた鹿児島湾のことで、鹿児島県内では錦江湾と呼ぶ
(4)鹿児島のシンボルといわれる活火山で、今も噴煙を上げ、灰を降らせている
<作詞/渡邊 英 作曲/萩原千代>
旧1空と旧7空の思いを1つにした隊歌
「2008年の部隊改編に伴い、旧第1航空隊(旧1空)と旧第7航空隊(旧7空)が合併し、現在の第1航空隊(1空)が新編されました。
日本周辺国との緊張感が高まり、またジブチへの海外派遣(注)の期待も高まる中で新編された1空が忙しさを極める折、当時の副長が隊員の士気を鼓舞する手段の1つとして、新しい1空の隊歌を作ろう!と提案し、隊員から歌詞の募集をすることになったのです」
そう教えてくれたのは、現在1空に所属する佐藤大志郎2等海尉だ。作詞者の渡邊英3等海佐は、旧1空と旧7空で搭乗員として勤務していたことがあり、任務に明け暮れた日々を思い返しながら、クルーが一丸となって任務に取り組む様を歌詞に表したそう。
「哨戒機からも見下ろせる鹿児島の雄大な自然を歌詞に散りばめることで、旧1空と旧7空の隊員の思いが1つになれる歌になったのではないでしょうか」と佐藤2尉。
ちなみに作曲者は、当時1空に在籍していた隊員の、ピアニストの奥さまなのだとか。海上防衛の最前線の部隊としての誇りを感じるという隊歌を、ぜひ聴いてみて!
(注)ソマリア沖・アデン湾で2007年ごろから発生している武装した海賊から民間船舶を守るため、海上自衛隊は護衛艦1隻と哨戒機2機をジブチに派遣し、空と海から海域を監視して洋上の船舶を護衛している
MAMOR 2024年8月号これが部隊のテーマソング『第1航空隊歌』
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