•  日本の空を守るためには、さまざまな分野で活動する専門家や技術者が必要だ。

     全国には4万人以上の航空自衛官が約60種の職種に分かれて活躍している。

     その中から主な21の職種を選び、それぞれを担当する隊員たちの声を聞いた。今回は後半の11つの職種を紹介する。

    ⇒前編はこちら

    通信:無線通信からデータ通信、情報システムのサイバー防護も行う

    画像: 通信:無線通信からデータ通信、情報システムのサイバー防護も行う

    【宮田容平空曹長】
    土佐清水通信隊総括班・サイバー運用係長。約30年通信員として勤務後、「サイバー運用員」に転換した

    「データ通信、無線通信を用いて全国の基地・分屯基地との情報伝送や器材の整備・管理を担います。私の任務は、空自の運用する情報システムへのサイバー攻撃などの未然防止、攻撃を受けた場合の対処を行っています」

    武装:戦闘機に搭載する武器や弾薬などの整備を一手に担う

    【河野陸玖空士長】
    第5航空団装備隊武器小隊所属。武装の任務のほか、小隊員の休暇・代休の管理など庶務業務も行う

    画像: 戦闘機にミサイルを搭載する隊員ら。危険物の取り扱いに関する資格をもつ隊員も

    戦闘機にミサイルを搭載する隊員ら。危険物の取り扱いに関する資格をもつ隊員も

    「戦闘機に搭載する武器弾薬やレーダーなどの整備を行う職種です。武器や弾薬を扱うため常に危険と隣り合わせの仕事ですが、防空任務を直接行うパイロットに対して、間近で支援できることに大きなやりがいを感じます」

    航空機整備:空自が運用する航空機や搭載機器などの整備を行う

    【井出理奈空士長】
    飛行教育航空隊整備隊・救命装備品整備係。パイロットのヘルメット、救命胴衣などの整備を担当

    画像: エンジン整備を行う隊員。整備項目は多岐にわたり、高度な知識が必要だ

    エンジン整備を行う隊員。整備項目は多岐にわたり、高度な知識が必要だ

    「航空機の機体やエンジン、搭載する各種装置の整備に関する業務を行う航空機整備。中でも私の担当する救命装備品整備は直接パイロットが身に着け、いざというときに命を守る重要な装備品なので、責任の重い仕事です」

    施設:基地の滑走路や建物の維持補修、電気、ボイラーの管理も行う

    【青山右京3等空曹】
    第15警戒隊・基地業務小隊施設班所属。土木建築係員として基地の建物および工作物の維持補修を担当

    画像: 重機を操縦する青山3曹。職務に必要な資格・免許は入隊後にも取得できる

    重機を操縦する青山3曹。職務に必要な資格・免許は入隊後にも取得できる

    「施設は、基地のインフラの骨幹を維持する大切な任務です。重機などの操作に加え、建材も扱うので体力も使う仕事ですが、手がけたものが形になり、何年も残ります。作業中の充実感や終えた後の達成感はほかでは味わえません」

    輸送:貨物搭載などの空港業務も担当。人や貨物の運び手

    【梶原瑠要空士長】
    第5航空団基地業務群管理隊輸送小隊員。約6年高射操作員として勤務後退職、一般企業を経て再入隊

    画像: 航空機に荷物を積み込む梶原空士長。技能向上を図り自己研さんを行うことも

    航空機に荷物を積み込む梶原空士長。技能向上を図り自己研さんを行うことも

    「人員・装備品などの輸送や、輸送機に搭載する貨物の準備、物品などの輸送手配などが主な任務です。無事故で任務を達成したときが最も達成感を感じる瞬間です。さまざまな車両を運転するので車好きにはピッタリです」

    会計:使用する物品の購入や給与、出張旅費の計算・出納をおこなう

    【横山竜也3等空曹】
    第5航空団基地業務群会計隊旅費係。隊員の出張や転勤に伴う旅費の計算や支払いを担当する

    「物品の購入や隊員の給与、出張旅費などの計算や出納にまつわる業務を担当します。自衛隊の予算を取り扱う、非常に責任の伴う仕事ですが、相談を受けた際に『ありがとう』と声を掛けてもらったときが一番うれしいですね」

    警備:基地を警備し、施設と物品、そして隊員の安全を守る

    【田所清伸2等空曹】
    航空気象群基地業務隊・管理小隊警備班所属。武器係として基地で保有する警備火器の維持管理を行う

    画像: 基地警備の訓練を行う田所2曹。装甲車を盾に銃を構えて射撃体勢をとる

    基地警備の訓練を行う田所2曹。装甲車を盾に銃を構えて射撃体勢をとる

    「来訪者の受け付けをはじめ、基地の警備を担当します。空自の中でも小銃や拳銃、機関銃などの警備火器のスペシャリストでなければなりません。射撃はもちろん、格闘訓練も欠かせません。安全に訓練を終えたときにはホッとします」

    救難:航空機に搭乗し、遭難者の捜索・救助・救急処置を行う

    【新藤翔也3等空曹】
    新田原救難隊飛行班員。航空機による捜索救助活動、離島地域における救急患者の輸送を担う

    画像: ヘリからホイストで降下する新藤3曹。救助を行うため、日夜訓練を行っている

    ヘリからホイストで降下する新藤3曹。救助を行うため、日夜訓練を行っている

    「いついかなる状況にも対応できるよう日々訓練を積んでいます。任務は幅広く、空からの捜索はもちろん、山や海にも展開し、雨の日も雪の日も遭難者救助にあたります。過酷な任務ですが、人の命を救うという、大切な仕事です」

    補給:使用する物品の取得から、保管、管理、配分などを担う

    【池田蓮空士長】
    第5航空団補給隊器材小隊所属。廃品の出納管理業務を担当。不用物品の管理や処分を行っている

    画像: フォークリフトで補給物資の搬入を行う池田空士長。常に整理整頓を心掛けている

    フォークリフトで補給物資の搬入を行う池田空士長。常に整理整頓を心掛けている

    「裏方ではありますが、航空機を運用・整備する上で重要な職種です。必要な部品を素早く供給できるようきちんと保管・管理し、在庫がない場合には他基地と連携して入手するなど、物品の取得から保管、処分までを担います」

    音楽:演奏で隊員の士気高揚を図るほか、各種式典での演奏を行う

    画像: 音楽:演奏で隊員の士気高揚を図るほか、各種式典での演奏を行う

    【無安波里州3等空曹】
    航空中央音楽隊演奏班・サックス担当。空自入隊前は北九州市消防音楽隊に所属していたことも

    「演奏を通じて士気高揚を図るほか、国家行事、儀式・式典などでの演奏、さらには広報活動や災害派遣に伴う慰問演奏などを行います。聴衆の方々から『感動しました!』との声をいただいたときには、こちらも感動します」

    衛生:隊員の健康管理、衛生環境を担い、隊員の病気・けがに対処する

    【永妻美子2等空曹】
    第7警戒隊・総括班衛生係。看護師資格を保有して入隊。高尾山分屯基地(島根県)に勤務する

    画像: 担架で負傷者を運ぶ訓練を行う隊員ら。その後は迅速に負傷者の処置を行う

    担架で負傷者を運ぶ訓練を行う隊員ら。その後は迅速に負傷者の処置を行う

    「隊員が培った能力をいつでもフルに発揮できるよう、心身の健康維持のために活動しています。病気・けがの予防、健康診断の実施、不測の事態に備えた救護訓練などを行っています。災害派遣でも活動機会が多い職種です」

    まだまだある、航空自衛隊のさまざまな職種

    法務:航空自衛隊の活動に関する損害賠償や民事裁判などの訴訟業務を担当するほか、各種作戦における法制面を担う

    語学:外国軍との共同訓練や国際活動などで翻訳や通訳を行う

    情報:外国の航空機やミサイルなどに関する情報収集や分析を行う

    工作:航空機の塗装や部品の溶接、道具の製作、部品修理などを行う

    給養:食事を作り隊員に提供するほか、献立の作成、食材の準備・管理、喫食者の集計、厨房の衛生管理なども行う

    印刷製図:部隊で使用する教材製作のほか、広報などで使用する写真撮影、映像や写真の加工・編集などを行う

    総務:部隊の行動に関する公文書の作成や保管、部内行事の運営など庶務に関する業務を行う

    人事:自衛官の昇給や昇進に関する業務や人事異動、表彰や懲戒処分などに関する業務を担う

    厚生:隊員の福利厚生や各種保険に関する業務のほか、宿舎の管理、基地内で営業する業者の対応も担当する

    教育訓練:航空自衛官としての基本教育の訓練指導や服務指導など、入隊者に対して教育を行う

    (MAMOR2024年7月号)

    <文/臼井総理 写真提供/防衛省>

    ありがとう、航空自衛隊!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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