•  日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。

     今月は神奈川県久里浜駐屯地の「夏野菜カレー」を紹介します。鶏肉、ナス、カボチャ、アスパラなどが入ったカレーをビタミン強化麦を混ぜて炊いたご飯にたっぷりかけてどうぞ。もりもり食べて疲れた体にパワーチャージ!

    創立74年となる陸自最古の駐屯地

    画像: 1号館と呼ばれる久里浜駐屯地の本部庁舎は、1939年に開校した旧海軍通信学校の本館を、当時の姿を残しつつ改修したもの

    1号館と呼ばれる久里浜駐屯地の本部庁舎は、1939年に開校した旧海軍通信学校の本館を、当時の姿を残しつつ改修したもの

     陸上自衛隊久里浜駐屯地は、神奈川県横須賀市にあります。陸自の前身である警察予備隊が発足した1950年から数えると、創立74年となる陸自最古の駐屯地です。終戦までは旧海軍通信学校があったため、当時の通信装備などが展示してある歴史館が併設されています。

     当駐屯地の隊員食堂を利用する隊員は10代から50代までと年齢層も幅広く、嗜好もさまざま。チキン南蛮やスパゲティの上にカツをのせたスパカツ、ホイコーロー、チンジャオロースーも人気ですが、多くの隊員が好きなのはやっぱりカレー。

     毎週水曜のカレーの日にはいろいろなカレーが提供されており、ポークカレーやチキンカレー、数回に分けてバターを入れて作るバターチキンカレーなども好評です。

    栄養もボリュームも申し分なし!「夏野菜カレー」

    画像: 栄養もボリュームも申し分なし!「夏野菜カレー」

     今回紹介する「夏野菜カレー」は暑い時季の定番カレー。鶏肉と夏野菜がたっぷり入ってボリューム満点。

     カボチャやニンジンに含まれるビタミンAは、脂溶性ビタミンのため、油との相性がよく、ビタミン吸収率がアップするとのこと。さらにご飯にはビタミン強化麦を加えて栄養価はいうことなし。チャーハンや混ぜご飯などにもビタミン強化麦を活用して、疲れ知らずの体づくりを図っているのだそうです。

    夏野菜のうまみたっぷりで大満足の一皿

    画像: 全国から入校する学生を含め、駐屯地で勤務する隊員が笑顔になれるよう、隊員の希望を聞きつつ、必要な栄養を摂取できるようメニューを決めているそう

    全国から入校する学生を含め、駐屯地で勤務する隊員が笑顔になれるよう、隊員の希望を聞きつつ、必要な栄養を摂取できるようメニューを決めているそう

    「野菜のうまみがカレーソースに染み渡って、深みのある味わい。具がたっぷり入っているのも食べ応えがあって良いです」(3曹/女性・20代)

    「家で作るときは火が通りやすいよう野菜を小さめに切るのですが、隊員食堂の夏野菜カレーは具が大きくてボリューム満点」(2曹/女性・40代)

    「ビタミン豊富なナスやカボチャなどの夏野菜のうまみと食感をしっかり感じることができ、毎日でも食べたくなります!」(1曹/男性・50代)

    日々の反応を実感しながら試行錯誤

    【陸上自衛隊久里浜駐屯地 防衛技官 管理栄養士 加藤和香子】

     学校で管理栄養士の資格を取得し、高齢者施設や訪問歯科医院で勤務しながら誤嚥性肺炎を防ぐソフト食について学んでいました。

     そのうち、今度は元気な人の食事を作りたくなり、2008年に入隊して現在に至ります。やればやっただけ、こうすれば食べてくれるんだ、こういうのは苦手なんだと、日々反応を実感できるのがうれしいです。予算の関係もあるのですが、できる限り隊員のリクエストに応えたいと思っています。

     11歳の娘が料理に興味を持ち始めていて、家で試作をしていると、いろいろ意見を言ってくれるんですよ。

    「夏野菜カレー」のレシピを紹介

    <材料(2~3人分)>

    A
    白米:2合
    ビタミン強化麦:50g

    B 
    おろしニンニク、おろしショウガ各小さじ:1/2

    鶏モモ肉(2㎝角に切る):1枚

    C
    タマネギ(くし形切り):1/2個
    ヤングコーン(水煮・半分に切る):8本
    ナス(半月切り):1本
    ニンジン(いちょう切り):1/3本
    カボチャ(2㎝の角切り):100g

    グリーンアスパラガス(さっとゆで、食べやすく切る):2本
    カレールー(市販品):90g
    洋風顆粒スープの素:小さじ1/2
    サラダ油:大さじ1
    コショウ:適量
    福神漬け、ラッキョウなど(好みで):適量

    <作り方>

    1:Aの白米をといで通常と同じ水加減にし、ビタミン強化麦と水1/2カップ(分量外)を加え、全体を軽く混ぜて炊飯する。

    2:鍋にサラダ油を熱し、Bを入れて炒め、香りが出てきたら鶏肉を入れ、色が白っぽくなり始めたら、Cの野菜を加えて炒める。

    3:全体に油が回ったら水4カップ(分量外)を加え、具材がやわらかくなるまで15~20分煮る。

    4:1度火を止め、カレールーを加えて溶かし、再び火にかけ、とろみがついたら洋風顆粒スープの素、コショウで味を調える。最後にグリーンアスパラガスを加える。

    5:器に1を盛り、4をかけ、福神漬けなどを添える。

    注目食材:ビタミン強化麦

    画像: 注目食材:ビタミン強化麦

     大麦の精製加工品である押し麦にビタミンB1やB2を添加したもの。ビタミンの「ビタ」に大麦を表す英語「Barley(バァレー)」を合わせた造語「ビタバァレー」という名称で販売されている。

     一般的な押し麦より小さめでやや黄色い色み。食物繊維が多く、糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑えるという押し麦の長所をそのままに、さらに体に必要とされるビタミンが加わることで疲労回復効果が期待できる。

    <調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/山川修一(扶桑社) 写真提供/防衛省>

    (MAMOR2024年7月号)

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