近年の不穏な国際情勢の中、一層、必要性を感じる自衛隊だが、私たち国民の理解なくしては本来の実力を発揮できない。
そこで、多くの方に自衛隊について知ってもらいたく、マモルではクイズを用意した。特別教練に参加して楽しみながら脳を鍛え、自衛隊の知識を増やしてくれ!
脳トレ特別教練「混入者を探せ!」
自衛官にとって注意深く物事を観察して判断を下す能力は必須。以下に複数表示されている写真やイラストなどの項目の中に、1つだけほかとは違う種類やグループのものが混入しているので、それを指摘してほしい。心してかかれ!
Q1:水上艦艇の中で、用途の違う混入艦はどれ?
A1:解答はこちら!
(E)輸送艦『おおすみ』
【各画像の船名はこちら】
(A)護衛艦『やまぎり』
(B)護衛艦『もがみ』
(C)護衛艦『さみだれ』
(D)護衛艦『かが』
(E)輸送艦『おおすみ』
(A)~(D)は全て護衛艦。(E)のみ輸送艦なので、混入艦は(E)。護衛艦は、敵の水上艦艇や潜水艦、航空機による脅威に対処する能力を備え、周辺海域の防衛や海上交通の安全確保などを任務としている。かたや輸送艦は、陸上やほかの艦艇に対し、補給物品や人員などを運ぶことを任務としている。
水上艦艇には、掃海艦やミサイル艇などもある
水上艦艇とは、潜水艦以外の艦艇のこと。海自の水上艦艇には、用途別に護衛艦、輸送艦のほか、掃海艦、掃海艇、掃海母艦、ミサイル艇、輸送艇、エアクッション艇などがある。
掃海艦や掃海艇は、海の爆弾である機雷を海中や洋上から除去することが主な任務。またミサイル艇は、日本海沿岸における哨戒、対艦攻撃を主任務とする。
エアクッション艇は、大量の空気を噴出させながら、機体を浮かせて進むホバークラフト型の輸送艇。艦艇が近づけない砂浜にも上陸できるため、有事の際にも迅速かつスムーズな輸送が可能だ。
Q2:水陸機動団の遊泳斥候員が身に着けない混入品はどれ?

A2:解答はこちら!
(C)保護具
【各画像の装備品名はこちら】
(A)戦闘靴
(B)水中コンパス
(C)保護具
(D)ライト
(E)水中ナイフ
(A)は、陸上自衛隊水陸機動団において、目標地点まで泳いで最初に接近する偵察任務を担う「遊泳斥候員」の装具。(C)のみ偵察ボートに乗船し目標地点に上陸する「ボート要員」の装具なので、混入品は(C)。遊泳斥候員は水中および陸上で行動するのに必要な装具を、ボート要員は激しく揺れるボート上で打撲から保護する装具を身に着ける。
独自のアイテムを身に着ける水陸機動団とは?
陸上自衛隊の水陸機動団は、占拠された離島を奪還するため、海、空からの火力、輸送の支援の下、洋上の艦艇より発進し、目標地点へ上陸。そして占拠された地点を奪還する作戦を遂行する第一線部隊だ。上陸するまでに高度で専門的な技術を要するため、隊員には非常に高いスキルと体力が求められる。
現在、部隊は相浦駐屯地(長崎県)を中心に、崎辺分屯地(同)や湯布院駐屯地(大分県)など九州北部一円に配置されている。その重要性の高まりに伴い、2024年3月に竹松駐屯地(長崎県)にも新たな連隊が配置され、約3300人体制になった。
Q3:海上自衛隊が装備していない混入ミサイルはどれ?

A3:解答はこちら!
(E)03式中距離地対空誘導弾
【各イラストのミサイルの名称はこちら】
(A)弾道ミサイル防衛用誘導弾 スタンダード・ミサイル(SM‐3)
(B)艦対艦誘導弾ハープーン
(C)短距離艦対空誘導弾シー・スパロー(RIM‐7)
(D)艦対空誘導弾スタンダード・ミサイル(SM‐2)
(E)03式中距離地対空誘導弾
(A)~(D)は海上自衛隊の所有するミサイル。(E)のみ陸上自衛隊が所有するミサイルなので、混入ミサイルは(E)。取り上げた海自のミサイルは全て艦艇から発射されるが、(A)のSM-3は全長約6.5メートルあり、自衛隊の所有するミサイルの中で最も大きく、射程範囲も1200キロメートル以上と最も広い。
陸・海・空各自衛隊のミサイルにはどんな種類があるのだろう?
自衛隊ではミサイルのことを「誘導弾」と呼ぶ。また、名称を見れば、どこからどこに向けて発射されるのかが明確に分かる。例えば地上から航空機を目標に発射される誘導弾は「地対空」と表し、地対空誘導弾の略称は「SAM(Surface-to-Air Missile)」となる。
サイズは、一番大きな海自のSM‐3で全長6.5メートルほどで、外国の全長20メートル前後の弾道ミサイルと比べると、圧倒的に小ぶりだ。現存する地対空誘導弾のなかで最も優れたシステムとされる「地対空誘導弾ペトリオット(PAC‐3MSE・航空自衛隊)」でも全長5メートルほどしかない。
Q4:空自衛隊の救難員が着用しない混入服はどれ?
A4:解答はこちら!
(B)飽和潜水装備
【それぞれの画像の装備品名はこちら】
(A)落下傘降下装備
(B)飽和潜水装備
(C)洋上装備
(D)冬季山岳装
(A)、(C)、(D)は、航空自衛隊の救難員が着用し、(B)のみ海上自衛隊の潜水士が深海で作業(注)する際に着用する特殊服なので、混入服は(B)。(A)はヘリコプターが安全に降下できない場所で、救難員が落下傘降下をする際の装備。(C)は洋上用の装備で酸素ボンベも携帯。(D)は冬季山岳用の装備で保温性の高い防寒着のほか、スキーなども携行する。
状況に合わせた装備を身に着ける救難員とは?
救難隊の主な任務は、航空救難、災害派遣、航空輪送。例えば、山岳地に不時着したパイロットの救出など、自衛官に何かがあったとき、すぐに救助に向かい復帰させ、自衛隊の戦力を落とさない、それが彼らの仕事だ。
万が一の事故に備え、24時間365日態勢でスタンバイし、航空クルー、救難クルー、地上クルーらによるチームで、天候や場所を問わず対応する。
救難員になるためには、高い水準の体力テストなどをクリアし、約9カ月間の救難員教育を修了しなければならない。修了後も強靱な体力と精神力を維持するために、厳しい訓練を重ねる。
※(注)海上自衛隊には、深海で遭難した潜水艦から乗員を救出するという特殊な任務を担う潜水士(飽和潜水員)がおり、彼らを養成するのが潜水医学実験隊(神奈川県)だ
Q5:下傘降下をする空てい隊員が身に着けない混入品はどれ?
A5:解答はこちら!
(A)風速計
【それぞれの画像の装備品名はこちら】
(A)風速計
(B)降下専用ヘルメット
(C)89式小銃
(D)高度計
(E)携帯用酸素ボンベ
(B)~(E)は、陸上自衛隊第1空挺団の隊員が、自由降下傘MC-4と呼ばれる落下傘で降下するときに身に着ける装備。(A)の風速計は携帯しないので、混入品は(A)。高空から降下するため、酸素ボンベは不可欠で、ヘルメットも酸素マスクが装着可能となっている。さらに自身のいる高度を知るための高度計のほか、地上に降りてからの戦闘で必要となる小銃も携行する。
重装備で落下傘降下をする第1空挺団とは?
空ていとは「空中挺進」の略。空てい部隊は輸送機などの航空機を利用し、落下傘でほかの部隊では近づけない場所に、空から舞い降りる「空中機動」が可能な部隊を指す。
第1空挺団は、日本で唯一の「空てい部隊」だ。本拠は陸上自衛隊習志野駐屯地(千葉県)だが、卓越した空中機動力を生かし、日本全国で活動する。
所属する全隊員が落下傘降下可能な「空てい資格」を持ち、さらに幹部・陸曹は全員、レンジャーの資格も持つ「空挺レンジャー」隊員だ。災害派遣では、最も困難かつ重要な場面において投入される、陸自の精鋭部隊なのだ。
<イラスト/松岡正記 写真提供/防衛省>
(MAMOR2024年6月号)
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです