•  日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は福岡県前川原駐屯地の「剛健カレー」を紹介します。

     駐屯する陸上自衛隊幹部候補生学校の校風に合わせた名物メニュー。鶏、豚、牛、3種の肉を使ってボリュームたっぷり、これを食べたら午後の課目も頑張れる!と人気です。

    福岡県久留米市にある陸上自衛隊前川原駐屯地

    画像: 前川原駐屯地は、旧陸軍予備士官学校の跡地に建てられているため、当時の面影も残っている

    前川原駐屯地は、旧陸軍予備士官学校の跡地に建てられているため、当時の面影も残っている

     陸上自衛隊前川原駐屯地は、福岡県南部に広がる筑後平野の中心に位置する久留米市にあり、陸自幹部候補生学校などが所在しています。

     当校の開校は1954年。陸自の初級幹部としての職務を遂行するために必要な知識と技能の習得を目的とし、厳しい教育訓練を通じて、統率力に優れた人材の育成が行われています。校風は「質実剛健にして清廉高潔」。

     今回紹介する「剛健カレー」はその校風になぞらえ、剛健らしさを出すべく、「肉の総合戦闘力の最大限の発揮」をテーマに、鶏、豚、牛3種類の肉が使用されています。

     肉に含まれるたんぱく質は体が資本である自衛官には欠かせません。鶏肉は崩れやすいので、隊員食堂ではオーブンで焼いて後から入れていますが、家庭ではフライパンで焼いて大丈夫。野菜は大きめに切ることで食べ応えが増します。

     また、それぞれでスパイスや味わいが異なるため、3種類のカレールウを使うのもポイント。コクと深みが出るそうです。当食堂では中辛にしていますが、辛口、甘口を混合してもよいとのこと。ひと口目は野菜の甘みが感じられ、後からじわじわとくるピリッとした味わいは、まさに優しく厳しい教官のイメージだそう。

     栄養面、腹持ちアップのために白米に16穀米を混ぜたご飯にしていますが、陸自の職種が16種というのも偶然ではない!?

     日本全国から幹部自衛官となるべく入校し、このカレーを食べて卒業、新たなステージに向かっていくというわけです。

    食べた感想は?

    画像: 日本全国から入校し、日々厳しい教育訓練に励んでいる幹部候補生に対し、少しでも力になれるよう、バラエティーに富んだおいしいメニューを提供している

    日本全国から入校し、日々厳しい教育訓練に励んでいる幹部候補生に対し、少しでも力になれるよう、バラエティーに富んだおいしいメニューを提供している

    「たっぷりのお肉とコロコロ野菜が入っていて具だくさんなのがうれしい。16穀米とスパイシーなルウも相性抜群!」【3曹/男性・50代】

    「3種の肉はもちろんのこと、甘みを感じる野菜やスパイスの効いたルウ全てが混じり合って、最高においしい!」【2曹/女性・30代】

    「厳しい教育訓練の合い間に、この剛健カレーを食べたら、いろんな意味でおいしすぎて癒やされて、忘れられん!」【曹長/男性・20代】

    愛情のこもったおいしい料理を提供していきたい

    【陸上自衛隊 前川原駐屯地 総務部管理課糧食班 栄養担当官 管理栄養士 河野歩】

     管理栄養士として、体の弱い人を健康にしていくのではなく、元気な人たちの栄養管理をするということが魅力的だったので、2010年に入隊しました。多いときの昼食で950人分を準備しています。

     調理はアウトソーシングではなく直接運営で、技官と自衛官の混成で行っています。隊員からのリクエストが多いのはハンバーグ、唐揚げなどのがっつり肉料理ですが、九州の素朴な郷土料理も取り入れています。

     これからも日々厳しい訓練に励む幹部候補生に、愛情のこもったおいしい料理を提供していきたいです。

    3種類の肉でパワーアップ!剛健カレーの作り方

    画像: ※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました

    ※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました

    <材料>

    [A]
    白米:2合(約300g)
    16穀米:30g

    [B]
    鶏モモ肉(角切り):60g
    カレー粉:小さじ1/2
    サラダ油:小さじ1

    牛肩肉(角切り):60g
    バター:20g
    ニンニク(みじん切り):1かけ
    タマネギ(半分は薄切り、残りは大きめに切る):1個
    ニンジン(乱切り):1/5本
    ジャガイモ(乱切り):1個
    豚モモ肉(角切り):80g

    [C]
    カレールウ(中辛):90g(メーカー違い3種類各30g)
    チャツネ:大さじ1
    ウスターソース、カレー粉:各小さじ1
    ガラムマサラ:少々

    グリーンピース(缶詰または冷凍):適量

    <作り方>

    1:Aの白米を洗って通常と同じ水加減にし、16穀米と水大さじ4(分量外)を加え、全体を軽く混ぜて炊飯する。

    ※配合量は好みだが、白米1合に対して16穀米15gが目安。水分量は表示どおりに

    2:Bの鶏肉にカレー粉をまぶし、フライパンにサラダ油を熱して全体を焼く。

    3:鍋に水3と1/2〜4カップ(分量外)と牛肉を入れて中火弱にかけ、アクを取りながら7〜8分煮る。

    4:別の鍋にバター1/2量を溶かし、ニンニクと薄切りにしたタマネギをあめ色になるまで炒める。

    5:4に残りのタマネギ、ニンジン、ジャガイモと豚肉を入れて炒め、3をゆで汁ごと加えて、具材が柔らかくなるまで20分ほど煮る。

    6:Cを加えてときどき混ぜながら4〜5分煮る。さらに2と残りのバターを加える。

    7:器に1を盛り、6をかけ、彩りにグリーンピースを散らす。

    注目食材:16穀米

    画像: 注目食材:16穀米

     数種類の雑穀を混ぜたもので、ブレンドした穀類が5種なら「5穀米」、16種なら「16穀米」となる。

     代表的な穀類として玄米、アワ、ヒエ、キビ、黒米、大麦、ハトムギなどがある。白米だけでは補えない栄養素が多く含まれ、特に食物繊維が豊富なため、胃腸の働きを促し、整腸作用が期待できる。

     血糖値の急上昇を抑制する働きもあり、ダイエットにも効果的。また、かみ応えがあるので満腹感を得やすく、腹持ちもよい。

    (MAMOR2024年4月号)

    <調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/星 亘(扶桑社) 写真提供/防衛省>

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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